- 著者
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林 勲
ウィリアムソン ジェームズ R.
- 出版者
- 日本知能情報ファジィ学会
- 雑誌
- 知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.3, pp.434-442, 2006-06-15
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
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人の視覚系では, 網膜に入力された画像信号は受容野に対応した視細胞で処理され, 外側膝状体を介して第一次視覚野に入力される. 視覚系処理過程を表現するHubel-Wieselの階層仮説モデルの一例としてTAMネットワークがある. TAMネットワークは4層の階層構造からなり, 第一次視覚野以降の視覚前野を模擬している. 与えられた教師値と出力値に差がある場合, 共振学習, ビジランス機能, 中間層へのノード増加によって, 高い学習機能を確保することができる. 一方, 受容野における方位選択性モデルとしてガボール関数があり, 画像の任意の周波数成分を抽出するガボールフィルタリングを構成できる.<br>本論文では, 入力層以前にガボール型受容野層を導入した新たなTAMネットワークを提案する. 受容野層は網膜層, 神経節細胞層, 外側膝状体 (LGN) 層から構成され, ガボールフィルタリングを用いて対象画像の方位選択成分を抽出し, 輝度情報を正規化して特徴マップを構成する. ここでは, 受容野構造と特徴マップ構造について議論し, 輝度情報の信号処理アルゴリズムを定式化する. また, アルファベットの文字認識の例を用いて, 本モデルの有用性と頑健性について検討する. なお, 他のHubel-Wieselモデルと異なり, ネットワーク構造から画像特徴をファジィルールとして獲得できるので, 獲得されたファジィルールの妥当性についても検討する.