- 著者
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林 幹也
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
- 巻号頁・発行日
- pp.PC-122, 2021 (Released:2022-03-30)
一般的に言って,組織には,判断力に優れた人,洞察力に富んだ人が存在すると考えられており,重大な問題が発生したときには彼らの助言や判断が尊重される。このような判断力は学歴や学識とはあまり関係がないように思われる。本研究は,日常的に単独行動を忌避しない人々が判断力に優れた人々であるとの仮説を提示した。集団で行動する場合,人は他の人々の総意や権威者の意向に従うことが多いが,単独で行動する場合には,様々な判断をすべて個人的に行わねばならないからである。本研究のオンライン調査(N=416)では,社会問題や,日常生活における様々な状況における判断の的確さを問う質問項目を作成した。また,日常生活の様々な行動を単独で行う場合に,どの程度の躊躇を感じると予想するかを測定した。その結果,一般的に単独で行うことの多い行動(銀行口座を開設する等)に対して,単独行動を躊躇する傾向が強ければ強いほど,社会的判断の的確さが低くなるという相関関係が見いだされた。因果関係は明らかにはならなかったが,以上の結果をもとに,単独行動を志向することによって判断力を涵養することが可能かを議論した。