- 著者
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林 雅秀
金澤 悠介
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.2, pp.241-259, 2014 (Released:2016-07-10)
- 参考文献数
- 72
- 被引用文献数
-
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多くのコモンズ研究は,人々の過剰利用によりコモンズが荒廃するリスクがあるという想定のもと,過剰利用を防ぐ制度的な仕組みを解明してきた.しかし,現代日本のコモンズに目を転じると,近代化や少子高齢化といった社会変動の結果,従来のコモンズ研究が想定しない状況が生じてきた.本研究の目的は,既存の研究を検討することで,このような新しいコモンズ問題を解明する糸口を探ることである.まず,新しいコモンズ問題の特徴を把握するために,従来のコモンズ研究の到達点を確認した.次に,新たなコモンズ問題として,社会変動の問題,資源利用の多様化の問題,過少利用問題をとりあげ,それぞれの問題の解明を試みた.その結果,社会的ジレンマモデルに基づく従来の研究では利用者のコミュニティが大きな役割を果たしているが,新しいコモンズ問題では利用者のコミュニティとその外部の関係が大きな役割を果たしていることが判明した.加えて,新しいコモンズ問題を探求する研究の絶対数が少ないことも判明した.