著者
高橋 正也 比屋根 哲 林 雅秀
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.174-182, 2012-09-30
被引用文献数
3 1

農山村集落(以下,集落と表記)は高齢化,担い手不足による農業の荒廃や伝統行事の途絶,地理的要因における生活水準の低下や経営困難に陥った交通機関の撤退など様々な面で不利な状況が続いており,何らかの維持・活性化が望まれている。本研究では集落住民の社会ネットワークに注目し,ソーシャル・キャピタルがどのように活動の展開に作用したのか過程をみながら分析した。本研究の分析から,集落のソーシャル・キャピタルが作用し,活動へと展開するためには,1)普段からの付き合い関係が豊富な住民を活動の初期段階から関係させること,2)集落住民自らにイベントや事業が実現可能か判断させること,の2つが不可欠であることが要件として明らかになった。
著者
比屋根 哲 佐藤 晴美 青井 俊樹
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.17-24, 2001
参考文献数
12

本研究は,苫小牧演習林における1980年代以降の演習林の市民への開放の取り組みについて,演習林利用者や一般市民へのアンケート調査ならびに聞き取り調査をもとにして,市民の演習林に対する認知度や演習林の市民開放の取り組みに対する意識や要望について把握し,今後の演習林の課題等について検討したものである。検討の結果,苫小牧演習林は市民の認知度が極めて高く,市民は演習林の市民開放の取り組みを好意的に受けとめていることがわかった。また,演習林利用者のマナーが次第に向上し,演習林職員との触れ合いが利用者のゴミ拾いの活動等に結びつく事例も認められた。これらのことから,一般市民への森林の開放は,森林管理を考える上でプラスの側面が十分に期待でき,その際には森林管理者との交流が重要であると考えられた。
著者
馬依拉 阿夏木江 比屋根 哲 山本 清龍
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.317-322, 2014
被引用文献数
1

近年,中国の経済は著しく発展したが,都市と農村の経済格差は拡大している。そのため中国政府は,経済発展が遅れている農村や少数民族が暮らす辺境地域において「生活を向上させるための手段として,観光開発による産業振興が最も効果的な施策であると判断し,その施策を現在推し進めているとしている。本研究の対象地である新疆ウイグル自治区(面積166.49万km2,人口約2180万人。年平均気温約10℃,年間降水量約300mm。以下,新疆と略記)には,草原や砂漠に代表される自然・農地景観とシルクロード等に関わる歴史・文化景観が存在し,観光資源に恵まれている。これらの観光地の多くは,少数民族が生活する農村部や辺境地域に立地する。新疆の観光業は1978年から始まり,35年以上の歴史があるが,まだまだ発展途上にあり,とくに農村部等での観光振興が重要な課題となっている。観光振興のためには,魅力的な観光地の整備とともに,多くの旅行者を迎える方策が重要であるが,そのためには旅行者が持つ旅行に対する価値観を理解し,旅行者の意向に即した対応が重要と考えられる。本研究は,岩手大学の学生を,将来,海外旅行に出かける可能性を持つ日本の若者と位置づけ,将来,新疆ウイグル自治区に多くの日本人旅行者を呼び込むための基本的な知見として,彼らの海外旅行に対する価値観の一端を明らかにしようと試みたものである。
著者
大石 康彦 金濱 聖子 比屋根 哲 田口 春孝
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.70-77, 2003-02-16
被引用文献数
14

日林誌85:70〜77,2003 森林環境のイメージと気分を比較検討することを目的に,5種類の森林と対照区(森林外)で実験を行った。各実験区においては被験者(n=44)に10分間の自由行動を与えた後にPOMSおよびSD法により評価させ,最後に5種類の森林を順位付けさせた。POMSの結果,活気を除く5尺度(緊張,抑うつ,怒り,疲労,混乱)に森林外と各実験区の間に有意差が認められたが,5実験区相互の間では一部を除き有意差が認められなかった。SD法の結果,価値因子,空間因子が認められた。価値因子においては,2区が最高,1区が最低の評価を得た。空間因子においては,1区が最も開放的な評価を得,4区が最も閉鎖的な評価を得た。好みの順位は2区-5区-4区-3区-1区であった。POMS尺度,SD法因子,好みの順位の結果からSpiamanの順位相関係数を求めた。POMSの活気尺度と好みの順位の間にプラスの相関が,疲労尺度と好みの順位の間にマイナスの相関が認められた。
著者
比屋根 哲 大石 康彦 山本 信次
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は,野外における森林教育・林業教育のあり方について,その理念と今後の課題,森林教育の現状,森林教育効果の把握手法に関して,多面的に検討したものである。また,ドイツ(フライブルク)とイギリス(ロンドン,他)で,森林教育関連事項の予備的なインタビュー調査を実施し,それぞれの国民の森林観,とくに林業観について日本人と比較・検討した。森林教育の理念と今後の課題については,これまでの実践の中で得られた野外活動の意義上可能性,また活動上の留意点について具体的に明らかにするとともに,森林教育研究の意義と課題についても整理した。森林教育の現状については,岩手県,秋田県,福島県の事例をとりあげて調査・検討した。主として林業家が主体的に教育活動を実践している事例分析からは,林業関係団体などが市民,行政と協力しつつ林業家を後押しするシステムを構築することで,市民の動きと連動した森林教育実践が可能になること,また行政による森林インストラクターの養成活動は,インストラクターが活躍できる場を確保しつつ,活動の場となるソフトの運営などはフレキシブルな対応が可能なNPO等の民間団体に依拠して進めることが有効なことを明らかにした。森林教育効果の把握は,質問紙法,ビデオカメラを用いた児童の行動分析,森林活動家のライフヒストリーの分析等を試み,それぞれの手法の有効性を明らかにした。海外調査では,とくにドイツ人と日本人において自国の林業に対する認識や評価のあり方が大きく異なっていることを明らかにした。学会セッシヨン「森林教育の課題と展望」では,森林教育の目標は多様であり得るが,実践においては目標の明確化が重要であり,また教育を実施する側が楽しく実践できる取り組みを創造していくことが重要であることが浮き彫りにされた。
著者
比屋根 哲
出版者
一般社団法人 日本環境教育学会
雑誌
環境教育 (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1_79-80, 2009 (Released:2011-01-25)
参考文献数
3
被引用文献数
2 3