著者
水野 君平 柳岡 開地
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.97-108, 2020-09-25 (Released:2020-09-25)
参考文献数
36
被引用文献数
5 3

本研究の目的は中高生を対象にして「スクールカースト」における友だちグループ間の地位と複数の心理的適応および仮想的有能感の関連性と学校段階間の差を検討することであった。本研究では心理的適応として学校享受感,顕在的自尊心,潜在的自尊心を扱った。中高生408名に対して自己報告式のweb調査を行った。その結果,中高生ともに所属グループの地位が高い生徒ほど学校享受感も高く,グループ内での地位が高い生徒ほど顕在的自尊心も高いことが明らかとなった。また,高校生のみ高地位グループの生徒ほど顕在的自尊心も高いことが明らかとなった。潜在的自尊心と仮想的有能感についての関連はみられず,中高生の間で関連性の差も見られなかった。最後に,以上の結果をもとに,中高生における「スクールカースト」と本研究が用いた複数の指標との関連性について議論した。
著者
柳岡 開地
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.395-406, 2016-09-30 (Released:2016-10-31)
参考文献数
40
被引用文献数
1

私たちは日常様々な場面でスクリプト(Schank & Abelson, 1977)を利用している。スクリプトは, 様々な場面に共通する要素と場面特異的な要素から構成される。本研究ではこうした要素間の区別を, 場面変更時に柔軟に利用できるようになる発達過程とその認知的基盤に関する検討を行った。実験1では, 幼児67名を対象に柳岡(2014)の人形課題を改良した課題を実施した。実験2では, 幼児66名を対象として2つの時期に分けて, 実験1と同様の人形課題, 実行機能を測定する赤/青課題, DCCS, 9ボックス課題の3課題, 語彙能力を測定する絵画語い発達検査を実施した。本研究の人形課題では, ある行き先にむけて人形に服を着せる途中に, 他者が別の行き先への変更を指示する課題であった。この課題では, “着替えスクリプト”の共通要素と固有な要素を区別して変更できるかどうかを測定した。結果, 幼児期後期になると, 2つの行き先間で変更する際に共通の要素を脱がさず固有の要素のみ変更していたことから, スクリプトを柔軟に利用できることが明らかとなった。さらに, その認知的基盤として実行機能の発達が関連することが示唆された。
著者
柳岡 開地
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.395-406, 2016
被引用文献数
1

私たちは日常様々な場面でスクリプト(Schank & Abelson, 1977)を利用している。スクリプトは, 様々な場面に共通する要素と場面特異的な要素から構成される。本研究ではこうした要素間の区別を, 場面変更時に柔軟に利用できるようになる発達過程とその認知的基盤に関する検討を行った。実験1では, 幼児67名を対象に柳岡(2014)の人形課題を改良した課題を実施した。実験2では, 幼児66名を対象として2つの時期に分けて, 実験1と同様の人形課題, 実行機能を測定する赤/青課題, DCCS, 9ボックス課題の3課題, 語彙能力を測定する絵画語い発達検査を実施した。本研究の人形課題では, ある行き先にむけて人形に服を着せる途中に, 他者が別の行き先への変更を指示する課題であった。この課題では, "着替えスクリプト"の共通要素と固有な要素を区別して変更できるかどうかを測定した。結果, 幼児期後期になると, 2つの行き先間で変更する際に共通の要素を脱がさず固有の要素のみ変更していたことから, スクリプトを柔軟に利用できることが明らかとなった。さらに, その認知的基盤として実行機能の発達が関連することが示唆された。
著者
柳岡 開地
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.545-554, 2016
被引用文献数
2

This research examined the effects of planning and executive functions on young children's (ages 3-to 5-years) strategies in changing scripts. Young children (<i>N</i> = 77) performed a script task (doll task), three executive function tasks (DCCS, red/blue task, and nine box task), a planning task, and a receptive vocabulary task. In the doll task, young children first enacted a "changing clothes" script, and then faced a situation in which some elements of the script were inappropriate. They needed to enact a script by compensating inappropriate items for the other script items or by changing to the other script in advance. The results showed that shifting, a factor of executive function, had a positive influence on whether young children could compensate inappropriate items. In addition, planning was also an important factor that helped children to change to the other script in advance. These findings suggest that shifting and planning play different roles in using the two strategies appropriately when young children enact scripts in unexpected situations.
著者
柳岡 開地
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.232-241, 2014

本研究では,スクリプト(Schank & Abelson, 1977)の実行中に起こる「いつもと異なる」状況において後戻りを用いて対処することに,プラニングと実行機能がどのような影響を与えるのか検討を行った。年少から年長の幼児94名を対象として,オリジナルに作成した人形課題,プラニングを測定するケーキ課題,抑制を測定する赤/青課題,シフティングを測定するDCCSと絵画語い発達検査を実施した。人形課題では,「幼稚園服を着るスクリプト」を幼児に実際に行ってもらった後,邪魔なアイテムを脱がして,後戻りをしなければならない状況を設定した。人形課題の成績により,最短で成功した最短群,余分に手順を要したが成功した非最短群,最後まで着せられなかった群を誤答群と分類したところ,年少児では誤答群が有意に多く,年長児では最短群が有意に多かった。さらに,実行機能の下位機能であるシフティングの成績が,後戻りを実施するか,しないかを予測し,プラニングの成績がスクリプトの変更をより少ない手順で実行するかどうかを予測することが示された。これらの結果より,「いつもと同じ」状況でスクリプトを実行することはほとんどの年少児で可能であるが,「いつもと異なる」状況において後戻りを用いてスクリプトを変更することには,シフティングとプラニングがそれぞれ異なる役割をもつことが示唆された。