著者
柴 裕子 茂木 泰子
出版者
中京学院大学看護学部
雑誌
中京学院大学看護学部紀要 = Bulletin of Faculty of Nursing of Chukyo Gakuin University (ISSN:21854742)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.39-48, 2017

本稿の目的は,2012年の障害福祉サービス開始前後の長期入院の精神障がい者の退院支援の研究を概観し,今後の退院支援の課題を明らかにすることである.方法は,2002~2016年のキーワード検索を行い,「精神科and長期入院or長期療養」で186編,「精神障がい者and退院支援」で54編,「精神障がい者and地域連携or 地域ネットワーク」で74編を抽出した.そのうち,退院支援を受けた者と行なった者を対象とし,退院支援の状況をよく表している20編を分析した.結果,2012年以前は,阻害要因や回復過程に応じて支援することが退院促進につながっていた.2013年以降は,患者も看護師も退院が可能という認識に変化した.退院にふみ込めない理由は,社会的スキルの低さ,言葉の分かりにくさ,外泊の少なさであった.今後,退院支援に関する制度を各職種が理解し利用でき,長期入院の状態を現実的な患者の苦しみとして捉えること,患者の今後の生き方を支えることが課題である.
著者
御子柴 裕子 多賀谷 昭 中畑 千夏子 宮越 幸代 内田 雅代
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.80-81, 2011-08

A市立の全小学校に在籍する5・6年生の児童を対象に,定期発育測定に合わせて腹囲,臀囲,血圧,腹壁皮下脂肪厚(Smin),腹膜前脂肪厚(Pmax)を測定した.その結果,腹壁皮下脂肪厚および腹膜前脂肪厚と血圧との間に有意な関連が認められたが,血中脂質との関連は認められず,児童の肥満は内臓脂肪型ではなく皮下脂肪型である可能性が高いことが示唆された.
著者
柴 裕子 溝尻 源太郎 野崎 智嗣
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.184-191, 1995-04-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2

声門閉鎖不全は, 声帯突起の部位は閉鎖し声門膜間部にのみ閉鎖不全がみられるものと, 声帯突起の部位が閉鎖せず声門軟骨間部から声門膜間部にかけて後方を底とした三角形の声門閉鎖不全がみられるものとに大別される.後者は, Posterior Glottal Chink (PGC) と呼ばれ, 声帯結節との関連が注目されている.われわれは, 声帯結節31例をPGCの有無によってPGC (+) 16例, PGC (-) 15例に分類し, 比較検討した.その結果, 1.PGC (+) 群では硬起声や, 起声時の声帯の過内転が高頻度にみられ, PGCと過緊張性発声の関連が示唆された.2.声帯結節31例の音声は, 平均すると気息性を特徴とする軽度の嗄声で, 総合的嗄声度ではPGC (+) 群がPGC (-) 群より悪化していた.音響分析の結果には両群間に差はなかった.3.PGC (+) 群はPGC (-) 群より発声時の声門間隙が大きく, 呼気流率の上昇と発声持続時間の短縮がみられた.
著者
柴 裕子 志水 賢一郎 藤田 彰
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.124, no.10, pp.1392-1397, 2021-10-20 (Released:2021-11-01)
参考文献数
9

地域の耳鼻咽喉科診療所は, 在宅療養中の嚥下障害患者の診療を受け持っている. 耳鼻咽喉科医がその嚥下障害診療を継続していくには, 言語聴覚士等専門職による嚥下障害のリハビリテーション (嚥下リハビリ) が必要となる. 一般に在宅での嚥下リハビリには介護保険を活用するが, 介護保険要介護認定を受けていない, あるいは要介護認定を受けていても給付枠が十分でないため, 嚥下リハビリを付加することが困難な場合も少なくない. このような場合に筆者らは介護保険主治医意見書を作成し対応してきた. 介護保険主治医意見書を作成した8症例のうち要介護認定された7症例では, 嚥下リハビリのみならず生活援助や身体介護に介護保険を活用した. 課題としては, 主治医意見書を作成したものの期待した要介護度が得られない場合があること, 誤嚥性肺炎等の全身状態悪化や胃瘻造設の場合には入院や施設入所となることが多く, 診療所耳鼻咽喉科医のかかわりが難しくなることも分かった. 今後耳鼻咽喉科医による在宅嚥下障害診療を推進していくには, 自ら介護保険主治医意見書を作成し, 積極的に介護保険を活用していくことが重要と考えた.
著者
岩月 和彦 那須 裕 野坂 俊弥 岩崎 朗子 御子柴 裕子 本田 智子 楊箸 隆哉 奥野 茂代 田村 正枝 山田 幸宏
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

水中運動参加者の中で,生活習慣病を有する高齢者(高血圧症,高脂血症,糖尿病)と,生活習慣病を持たない高齢者の血圧,心拍数の3年間における変化を比較検討した.その結果,高血圧症を有する高齢者では,収縮期圧は140台、拡張期圧は80前後、心拍は73から76の間で保たれ、3年間安定しており服薬による血圧コントロールが適切に行われた場合,血圧及び心拍の上昇は見られなかった.「生活習慣病を持たない高齢者」の血圧、心拍数の平均値の3年間の推移です。高血圧症群と比べますと、収縮期圧が10ほど低く130台の値を示しています。拡張期圧は先ほどと同様で80前後でした。心拍は73から76の間で保たれていました。「高脂血症を有する高齢者」の血圧と心拍数は、生活習病を持たない高齢者と同様に、血圧、心拍とも正常値の範囲内で安定しています。「糖尿病を有する高齢者」は、こちらも同様に、3年問を通して、血圧、心拍とも正常値内で保たれていました。健脚度の「最大一歩幅」は、「高血圧症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」「生活習慣病を持たない高齢者」ともに、平成17年4月の時点で年齢相応の平均値より高く、移動能力のレベルが高いことが確認されますが、水中運動継続3年後には、両群ともに、さらに向上する傾向が認められました。「10m全力歩行」は、「高血圧症を有する高齢者」も、「生活習慣病を持たない高齢者」も、5秒前後の値であり、年齢相応の平均値よりも値が小さく、つまり早く歩けること、それも、3年間の年齢の増加に関わらず、3年後にはさらに値が小さく、「歩く」移動能力の向上が見られます。以上の結果、65歳以上を対象とした生活習慣病を有する高齢者の水中運動の継続による身体面への影響を検討した結果、生活習慣病を有する高齢者の血圧及び心拍に水中運動による悪影響は認められず、生活習慣病を持たない高齢者と同様に、下肢筋力や柔軟性が改善され、維持される傾向が認められました。