著者
本田 智子
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.191-199, 2018-06-01 (Released:2018-06-21)
参考文献数
14
被引用文献数
2

産褥期は育児のために母親の睡眠が分断され,睡眠時間の減少や疲労の訴えがしばしばみられる[1].特に,産褥早期の育児において授乳の占める割合は大きく,睡眠への影響因子の一つであると考え,本研究では褥婦の授乳方法・授乳姿勢と睡眠感の関連について明らかにすることを目的とした.入院中(経腟分娩では初産婦6日目,経産婦5日目,帝王切開分娩では8日目)と産後1ヶ月の2回,授乳や睡眠に関する質問紙と,睡眠感の評価にOSA睡眠調査票MA版を用いて調査を実施した.その結果,分娩歴や分娩方法の違いによる睡眠感に有意差は見られなかったが,入院中の授乳方法において,夜間は直接授乳群(n = 46)で疲労回復や睡眠時間の項目の得点が有意に高く(P < 0.05),授乳姿勢においては添え乳群(n = 14)で疲労回復に関連する項目の得点が高かった(P < 0.05).さらに産後1ヶ月の授乳方法でも,昼(P < 0.01)・夜(P < 0.05)ともに直接授乳を行う褥婦の睡眠感が良好であることが分かったことから,産褥期の睡眠感を高めるには,直接授乳と添え乳が効果的であった.また,産後1ヶ月で睡眠感の改善がみられた.産後1ヶ月で睡眠感の改善がみられたのは,母親が育児に慣れたことや,授乳パターンが把握できるようになったことなどにより,スムーズに授乳できるようになったことが影響していると考えられる.
著者
谷田 恵子 楊箸 隆哉 本田 智子 柴田 真志
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1_191-1_198, 2011-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
28

本研究では,睡眠時の心拍変動(HRV)データを1分と5分間区分でMemCalc法により周波数解析してHRV指標を求め,PSGで判定した各睡眠段階におけるHRV指標についてそれぞれ比較検討した。20~44歳の女性8名から得られた16夜分のPSGおよびHRVデータを解析した。HRV解析は,超低周波数高領域(0.016~0.04Hz:VLF-hi),低周波数(0.04~0.15Hz:LF),高周波数(0.15~0.4Hz:HF)の各帯域のパワースペクトル値を算出した。LF/HF,HF/(LF+HF),HF/(VLF-hi+LF+HF),VLF-hiの4つの指標において,1分と5分間区分解析共に,REM睡眠,浅睡眠,深睡眠の各睡眠段階間に有意な差が認められた。これまでHRV周波数解析指標の算出は5分間区分が主であったが,睡眠段階の推定にはPSGの1エポック20~30秒により近似する1分間区分解析結果を用いる方が有用である可能性が示唆された。
著者
本田 智子 今村 徹
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.237-242, 2019-06-30 (Released:2020-07-06)
参考文献数
23

症例は 57 歳, 右利き男性。兄には左利きの矯正歴がみられた。右頭頂後頭葉皮質下出血発症 4 週時点で左半側空間無視, 構成障害, 着衣失行を認めた。音声言語の理解, 表出および読字には問題なかったが, 漢字書字に障害がみられ, 無反応, 部分反応, 存在字近似反応などの純粋失書と思われる反応に加えて, 文字の構成要素はすべて書き出されているが空間配置が乱れた構成失書がみられた。小学校 1, 2, 3 年生の教育漢字から無作為に選択した 51 文字の書取と写字では, 純粋失書は写字で著明に減少したが, 構成失書は書取と写字で同程度の割合でみられ, 偏と旁など, 部首と部首との空間配置が乱れる場合と, 1 つの部首を構成する字画の主要なまとまり同士の空間配置が乱れる場合とがあった。近年, 右半球損傷による構成失書の症例がいくつか報告されている。構成失書は従来指摘されてきた左頭頂葉病変以外にも, 非定型側性化を背景に有する右半球病変で出現する可能性がある。
著者
本田 智子 城戸 滋里 岡崎 寿美子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.4_45-4_57, 2003-09-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
33

本研究は,入院施設などで個別的な睡眠環境温度が保持できない対象者へ,快適な睡眠を提供するために,冷却パックの後頭部冷却が睡眠に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 調査期間中を通して,決まった時間に自宅での就寝が可能な健常者7名に対し,通常の環境下と冷却パック使用下での睡眠中の活動量と覚醒回数・覚醒時間のアクチグラフによる測定,及び,寝つきの主観的評価についての質問紙調査を行い,両環境下でのデータを比較検討した。 調査の結果,睡眠中の活動量は,入眠後90分から180分の間で冷却パック使用下での睡眠中の活動量が有意に減少しており,覚醒時間と覚醒回数においても冷却パック使用下の方が減少していたことが明らかになった。 (p<0.05) また質問紙調査からも,冷却パックの使用は,高温多湿環境下における睡眠の助けになることが示唆された。
著者
本田 智子
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.191-199, 2018
被引用文献数
2

産褥期は育児のために母親の睡眠が分断され,睡眠時間の減少や疲労の訴えがしばしばみられる[1].特に,産褥早期の育児において授乳の占める割合は大きく,睡眠への影響因子の一つであると考え,本研究では褥婦の授乳方法・授乳姿勢と睡眠感の関連について明らかにすることを目的とした.入院中(経腟分娩では初産婦6日目,経産婦5日目,帝王切開分娩では8日目)と産後1ヶ月の2回,授乳や睡眠に関する質問紙と,睡眠感の評価にOSA睡眠調査票MA版を用いて調査を実施した.その結果,分娩歴や分娩方法の違いによる睡眠感に有意差は見られなかったが,入院中の授乳方法において,夜間は直接授乳群(n = 46)で疲労回復や睡眠時間の項目の得点が有意に高く(<i>P</i> < 0.05),授乳姿勢においては添え乳群(n = 14)で疲労回復に関連する項目の得点が高かった(<i>P</i> < 0.05).さらに産後1ヶ月の授乳方法でも,昼(<i>P</i> < 0.01)・夜(<i>P</i> < 0.05)ともに直接授乳を行う褥婦の睡眠感が良好であることが分かったことから,産褥期の睡眠感を高めるには,直接授乳と添え乳が効果的であった.また,産後1ヶ月で睡眠感の改善がみられた.産後1ヶ月で睡眠感の改善がみられたのは,母親が育児に慣れたことや,授乳パターンが把握できるようになったことなどにより,スムーズに授乳できるようになったことが影響していると考えられる.
著者
岩月 和彦 那須 裕 野坂 俊弥 岩崎 朗子 御子柴 裕子 本田 智子 楊箸 隆哉 奥野 茂代 田村 正枝 山田 幸宏
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

水中運動参加者の中で,生活習慣病を有する高齢者(高血圧症,高脂血症,糖尿病)と,生活習慣病を持たない高齢者の血圧,心拍数の3年間における変化を比較検討した.その結果,高血圧症を有する高齢者では,収縮期圧は140台、拡張期圧は80前後、心拍は73から76の間で保たれ、3年間安定しており服薬による血圧コントロールが適切に行われた場合,血圧及び心拍の上昇は見られなかった.「生活習慣病を持たない高齢者」の血圧、心拍数の平均値の3年間の推移です。高血圧症群と比べますと、収縮期圧が10ほど低く130台の値を示しています。拡張期圧は先ほどと同様で80前後でした。心拍は73から76の間で保たれていました。「高脂血症を有する高齢者」の血圧と心拍数は、生活習病を持たない高齢者と同様に、血圧、心拍とも正常値の範囲内で安定しています。「糖尿病を有する高齢者」は、こちらも同様に、3年問を通して、血圧、心拍とも正常値内で保たれていました。健脚度の「最大一歩幅」は、「高血圧症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」「生活習慣病を持たない高齢者」ともに、平成17年4月の時点で年齢相応の平均値より高く、移動能力のレベルが高いことが確認されますが、水中運動継続3年後には、両群ともに、さらに向上する傾向が認められました。「10m全力歩行」は、「高血圧症を有する高齢者」も、「生活習慣病を持たない高齢者」も、5秒前後の値であり、年齢相応の平均値よりも値が小さく、つまり早く歩けること、それも、3年間の年齢の増加に関わらず、3年後にはさらに値が小さく、「歩く」移動能力の向上が見られます。以上の結果、65歳以上を対象とした生活習慣病を有する高齢者の水中運動の継続による身体面への影響を検討した結果、生活習慣病を有する高齢者の血圧及び心拍に水中運動による悪影響は認められず、生活習慣病を持たない高齢者と同様に、下肢筋力や柔軟性が改善され、維持される傾向が認められました。
著者
那須 裕 楊箸 隆哉 岩月 和彦 北山 秋雄 本田 智子 坂口 けさみ 大平 雅美 堀内 美和 木村 貞治 藤原 孝之
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

施設入居高齢者や一人暮らし高齢者は外界との接触が減り、生活環境も画一になりがちで、また一方この人たちに継続的な刺激を与える周囲の余裕も中々持てないのが現状である。そのような高齢者のADLを維持しQOLを高めるために実施出来る可能性のあることについて検討を加え、また高齢者の運動機能及び高次脳機能を簡便に測定・評価する方法を開発するための基礎データ集積を行った。1 高次脳機能評価:予備調査として有料老人ホームにおいてADLがほぼ自立している高齢者10名に対して事象関連電位(P300)の測定を行い、平均潜時、平均振幅等の数値を得た。より多くの対象者を求め、指標としての有効性を示してゆくことが今後の課題である。2 睡眠に関する検討:若年者を対象に睡眠実験を実施した。P300及び反応時間を用いた寝起きのテスト、主観評価による寝起きのテストを行い、かつレム睡眠とノンレム睡眠との顕れ方のパターンについて検討しつつある。ここで得られた結果を施設内高齢者の快適な睡眠環境形成のために如何に役立てるかが今後の課題である。3 マッサージが筋肉の凝りに与える身体の主観的評価及び生理反応への影響:肩凝りを持つ若年者を対象にマッサージの効果について検討した。マッサージは肩凝り症状を軽減し血流を増加させることが示された。高齢者に対する効果については現在検討を継続中である。4 高齢者水中運動継続による運動機能及び高次脳機能の変化:水中運動継続が高齢者の運動機能、血圧、心拍数等に及ぼす影響につき、継続的に観察中である。