著者
那須 裕子 岡垣 雅美 小林 ゆき子 馬引 美香 重村 智栄子 練谷 弘子 中野 貴美子 市川 寛 吉川 敏一 東 あかね
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.919-926, 2010 (Released:2011-04-22)
参考文献数
23

[目的]透析未導入の慢性腎不全患者に対する減塩指導を効果的に実施するために、塩分味覚障害の頻度と食習慣や服薬状況との関連を明らかにすることを目的とした。[方法]集団食事指導に参加した透析未導入の慢性腎不全患者のうち、有効回答を得た50名を対象者とした。濾紙法による味覚検査と食習慣など46項目にわたる自記式アンケートを実施し、身体状況および血液生化学検査値に関してはカルテを参照した。[結果]対象者の味覚障害の頻度は36%であり、味覚障害と食べる速さ、降圧剤であるアンギオテンシンII受容体拮抗剤の服用が有意に多かった。[結論]慢性腎不全患者に対して、食べる速さや降圧剤内服に関連する味覚障害に配慮して減塩指導する必要性が示唆された。
著者
多賀谷 昭 深山 智代 深山 智代 北山 秋雄 那須 裕 野坂 俊弥 多賀谷 昭 吉村 隆
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中山間地域の里山における女性高齢者のグループ農業の実態を調査し,人々の健康と地域社会に及ぼす影響とグループ農業が成立するための諸条件を検討した。その結果,グループ農業の活動は,地域アイデンティティの表出としてとらえることができ,相互扶助ネットワークの強化,共同体の維持,文化の伝承など,その多面的な機能により,地域住民の心身の健康を増進し保障すると考えられる。グループ農業の成立には,表出すべき地域アイデンティティおよびそれを認知する者の存在が必須と考えられる。
著者
多賀谷 昭 那須 裕 北山 秋雄 深山 智代
出版者
長野県看護大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

里山の環境の健康への影響を明らかにするため、里山の環境の評価尺度の開発を試みた。現地調査と面接により質問項目を作成し、26集落510戸を対象に調査を実施した。242人の回答を分析し、27項目の6下位尺度(人々との絆、地域への愛着、自然の恩恵、共同体運営への関心、共同体の構造的強度、人間関係の窮屈さ)を得た。これらの健康への影響を検討するため、健康尺度SF-8を目的変数として重回帰分析を行った結果、共同体の構造的強度と地域への愛着が高く人間関係の窮屈さが低いほど精神的健康が良好であることが示された。自然の恩恵は直接的な寄与を示さなかったが、濃密な人間関係の逆機能を減じる効果が認められた。
著者
鹿島 薫 那須 裕郎 奥村 晃史 本郷 一美 高村 弘毅 吉村 和久 小口 高 西秋 良宏 茅根 創 三宅 裕
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、これまで研究の遅れてきた中東および中央アジアにおける平野、盆地、湿地、湖沼などの陸地域における現地調査を行った。これらの地域では多数の遺跡が立地しており、それらを手がかりとして、最新の分析探査手法を用いながら、環境変動の実態を明らかとすることができた。そして地球環境が短期(10~100 年オーダー)で急激に変化してきたという事実とそれが遺跡立地に与えた影響を検証し、それらの結果から今後の地球環境の変動予測への応用を行った。
著者
岩月 和彦 那須 裕 野坂 俊弥 岩崎 朗子 御子柴 裕子 本田 智子 楊箸 隆哉 奥野 茂代 田村 正枝 山田 幸宏
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

水中運動参加者の中で,生活習慣病を有する高齢者(高血圧症,高脂血症,糖尿病)と,生活習慣病を持たない高齢者の血圧,心拍数の3年間における変化を比較検討した.その結果,高血圧症を有する高齢者では,収縮期圧は140台、拡張期圧は80前後、心拍は73から76の間で保たれ、3年間安定しており服薬による血圧コントロールが適切に行われた場合,血圧及び心拍の上昇は見られなかった.「生活習慣病を持たない高齢者」の血圧、心拍数の平均値の3年間の推移です。高血圧症群と比べますと、収縮期圧が10ほど低く130台の値を示しています。拡張期圧は先ほどと同様で80前後でした。心拍は73から76の間で保たれていました。「高脂血症を有する高齢者」の血圧と心拍数は、生活習病を持たない高齢者と同様に、血圧、心拍とも正常値の範囲内で安定しています。「糖尿病を有する高齢者」は、こちらも同様に、3年問を通して、血圧、心拍とも正常値内で保たれていました。健脚度の「最大一歩幅」は、「高血圧症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」、「高脂血症を有する高齢者」「生活習慣病を持たない高齢者」ともに、平成17年4月の時点で年齢相応の平均値より高く、移動能力のレベルが高いことが確認されますが、水中運動継続3年後には、両群ともに、さらに向上する傾向が認められました。「10m全力歩行」は、「高血圧症を有する高齢者」も、「生活習慣病を持たない高齢者」も、5秒前後の値であり、年齢相応の平均値よりも値が小さく、つまり早く歩けること、それも、3年間の年齢の増加に関わらず、3年後にはさらに値が小さく、「歩く」移動能力の向上が見られます。以上の結果、65歳以上を対象とした生活習慣病を有する高齢者の水中運動の継続による身体面への影響を検討した結果、生活習慣病を有する高齢者の血圧及び心拍に水中運動による悪影響は認められず、生活習慣病を持たない高齢者と同様に、下肢筋力や柔軟性が改善され、維持される傾向が認められました。
著者
那須 裕 楊箸 隆哉 岩月 和彦 北山 秋雄 本田 智子 坂口 けさみ 大平 雅美 堀内 美和 木村 貞治 藤原 孝之
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

施設入居高齢者や一人暮らし高齢者は外界との接触が減り、生活環境も画一になりがちで、また一方この人たちに継続的な刺激を与える周囲の余裕も中々持てないのが現状である。そのような高齢者のADLを維持しQOLを高めるために実施出来る可能性のあることについて検討を加え、また高齢者の運動機能及び高次脳機能を簡便に測定・評価する方法を開発するための基礎データ集積を行った。1 高次脳機能評価:予備調査として有料老人ホームにおいてADLがほぼ自立している高齢者10名に対して事象関連電位(P300)の測定を行い、平均潜時、平均振幅等の数値を得た。より多くの対象者を求め、指標としての有効性を示してゆくことが今後の課題である。2 睡眠に関する検討:若年者を対象に睡眠実験を実施した。P300及び反応時間を用いた寝起きのテスト、主観評価による寝起きのテストを行い、かつレム睡眠とノンレム睡眠との顕れ方のパターンについて検討しつつある。ここで得られた結果を施設内高齢者の快適な睡眠環境形成のために如何に役立てるかが今後の課題である。3 マッサージが筋肉の凝りに与える身体の主観的評価及び生理反応への影響:肩凝りを持つ若年者を対象にマッサージの効果について検討した。マッサージは肩凝り症状を軽減し血流を増加させることが示された。高齢者に対する効果については現在検討を継続中である。4 高齢者水中運動継続による運動機能及び高次脳機能の変化:水中運動継続が高齢者の運動機能、血圧、心拍数等に及ぼす影響につき、継続的に観察中である。