著者
高妻 和哉 首藤 愛呼 石丸 琴美 高野 和彦 太田 七絵 竹原 功 桂木 能久
出版者
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会
雑誌
健康・栄養食品研究 (ISSN:13458388)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-8, 2021-06-11 (Released:2021-06-11)
参考文献数
16

背景と目的 コーヒー豆由来クロロゲン酸は,降圧作用,抗肥満作用,認知機能改善作用,肌性状改善作用等の様々な生理効果を持つことが知られている.本試験では,日本人の健常成人を対象に,コーヒー豆由来クロロゲン酸の過剰摂取時の安全性を検証した.方法 日本人の健常成人(20~60歳)を対象に,コーヒー豆由来クロロゲン酸を一日摂取目安量(270 mg/日)の5倍量(1,350 mg/日)または,プラセボを4週間摂取させるランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験で,臨床検査値の異常や発生した有害事象から安全性を評価した.結果 26名が試験に参加し,参加した全員を安全性評価の対象とした.コーヒー豆由来クロロゲン酸または,プラセボ摂取による,臨床検査値の異常は認められず,コーヒー豆由来クロロゲン酸または,プラセボ摂取と因果関係がある有害事象も認められなかった.結論 日本人の健常成人に対する,コーヒー豆由来クロロゲン酸の過剰摂取時の安全性が確認された.臨床試験登録 大学病院医療情報ネットワーク臨床試験登録システム(UMIN-CTR)ID: UMIN000037230.
著者
栗原 堅三 庄司 隆行 柏柳 誠 松岡 一郎 桂木 能久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

大豆由来のホスファチジン酸と牛乳由来のβラクトグロブリンからなるリポ蛋白質は、味細胞の微絨毛膜に結合し、苦味物質が受容サイトに結合することを妨害することにより、苦味を選択的に抑制することがわっかた。この苦味抑制剤を実用化するためには、安定性やコストの面で、蛋白質を使うことに問題があった。そこで、蛋白質を含まない苦味抑制剤の開発を試みた。ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホファチジルイノシトールなどに苦味抑制作用があったが、ホセファチジン酸の作用は、他のリン脂質よりはるかに強力であった。ホォスファチジン酸を苦味抑制剤として使用する場合、これを純品にする必要があるかどうかを検討した。ホスファチジン酸に他のリン脂質が共存した場合でも、その苦味抑制作用は妨害を受けなっかた。そこで、大豆レスチンから、ホスファチジン酸を高含量含む分画を作成し、苦味抑制効果を調べた。この結果、このレシチン分画は、各種の物質の苦味を十分抑制することがわかった。このレシチン分画を各種の薬物と混合し、苦味抑制効果を調べたところ、苦味を十分抑制することがわかった。また、このレシチン分画で、錠剤や顆粒剤をコートすると、苦味が効率的に抑制された。また、食品の苦味成分に対する苦味抑制効果を調べた。蛋白質加水分解物のあるものは、機能性食品として注目されているが、一般に強い苦味がある。レスチン分画は、蛋白質加水分解物の苦味を抑制した。ポリフェノールは、活性酸素の作用を抑制する物質として注目を集めているが、非常に強い渋味と苦味を有する。レシチン分画は、ポリフェノールの渋味と苦味を抑制することがわかった。チョコレートには、ポリフェノールが多量に含まれているが、その渋味と苦味のため、従来はこの含量を減少させていた。レシチン分画をチョコレートに入れると、ポリフェノールを高含量含んでいても、良好な味になる。