著者
柏柳 誠
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.132, no.11, pp.1247-1253, 2012-11-01 (Released:2012-11-01)
参考文献数
51
被引用文献数
3 1

Olfactory cells receive numerous odorants including toxic substances. To avoid complete loss of the olfactory function by toxic odorants, continuous neurogenesis of olfactory cells occurs even at adulthood. Newly generated olfactory neurons extend their axons to the olfactory bulb. Various molecules including polypeptides, proteins, polynucleotides, virus, and cells administrated intranasally have been reported to move from the olfactory epithelium to the brain tissue via the olfactory epithelium-olfactory bulb pathway. I discuss the pathway of substances intranasally administrated to the brain from the view point of characteristics of the olfactory epithelium.
著者
柏柳 誠 長田 和実 宮園 貞治
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.112-118, 2016-03-25 (Released:2020-09-01)
参考文献数
21

ニホンオオカミが絶滅してから,100年以上が経過している.最後にニホンオオカミが目撃された場所は,紀伊半島であった.その後,福岡で目撃情報があったが,群れをつくるオオカミが単独で行動することが考えられないために野犬ではないかと結論づけられた.本小論は,絶滅以来100年を経過しているためにオオカミに対する怖さを体験していないエゾシカがオオカミ尿由来物質(P-mix)を忌避するとともに恐怖関連行動を示した研究成果を中心に紹介する.
著者
長田 和実 柏柳 誠
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本申請者らは、野生動物の制御と、共存のための有効な手段としてオオカミ尿中のピラジン化合物 (P-mix) に着目し、マウス、ラット、エゾシカなど動物種を超えて恐怖を誘起するカイロモン(天敵由来の恐怖誘起物質)であることを見出した。またピラジン化合物の構造活性相関の解明に取り組み、強い恐怖反応を誘起するピラジンの官能基の特徴を明らかにした。さらに恐怖行動を誘起する神経機構の解明に取り組み、P-mix は、通常のにおい成分とは異なり、主嗅覚系、鋤鼻系の両方を刺激し、恐怖誘発の情報を受容し、扁桃体内側部,同中心核、視床下部などを活性化し、先天的な恐怖行動や皮膚温低下などを引き起こす事を明らかにした。
著者
松井 等 松井 等 高井 章 柏柳 誠
出版者
PHYSIOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本生理学会大会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.S123, 2005 (Released:2005-04-16)

In olfactory receptor cells, it is well established that cAMP acts as a main second messenger during odor responses. Biochemical experiments, however, showed failure of accumulation of cAMP in olfactory cilia by odorants of 40% examined (Sklar et al., 1996). We have shown that application of water soluble odorants and volatile odorants induced inward currents in olfactory cells of the Xenopus water nose but dialysis with cAMP did not (Iida and Kashiwayanagi, 1999). Breer and Boekhoff showed that odorants, which did not induce cAMP accumulation in olfactory cilia, induced IP3 accumulation (1990). Dialysis of olfactory cells in Xenopus water nose with IP3 induced inward currents. In addition, the turtle olfactory cells responded to dialysis with cyclic ADP-ribose (cADPR) with an inward current (Sekimoto and Kashiwayanagi, 2003). The magnitudes of the inward current responses to cAMP-increasing odorants were greatly reduced by prior dialyses of a high concentration of cADPR or 8-Br-cADPR, an antagonist. It is possible that IP3 and cADPR play as second messengers during the olfactory transduction. At present, channel molecules which are activated by these second messenger candidates have not been identified in olfactory cells. Transient receptor potential (TRP) channels, which are expressed in many tissues and cell types in vertebrates, are activated by various stimulations. In the present study, we explore roles of TRP channels in the olfactory system by RT-PCR and immunohistochemical techniques. [Jpn J Physiol 55 Suppl:S123 (2005)]

1 0 0 0 OA 味覚の生理学

著者
柏柳 誠
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.207-215, 2006-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1

味覚障害はQOLの向上のために治癒することが望ましいが, 味受容のメカニズムが不明だったために, 基礎的な実験事実に裏打ちされた治療方針はたてることが不可能だった.味がどのように受容されているかを明らかにする研究は, 1970年代から主に電気生理学的な手法で進んできた.味刺激は比較的高い濃度が必要だったために, 生化学的な手法による受容体蛋白質の単離は成功しなかった.2000年を前後して分子生物学的な手法が適用されることにより味覚受容体がクローニングされ, 味受容が分子のレベルで語られるようになった.
著者
柏柳 誠 松岡 一郎
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

フェロモン受容細胞は神経細胞の一種であり、フェロモン情報を中枢に伝えるためには、電気的信号に変換することが必須であるが、その性質はほとんど不明であった。カメのフェロモン受容細胞が存在する鋤鼻器感覚上皮にアデニル酸シクラーゼの活性化剤であるforskolinを与えたところ、フェロモン受容細胞で神経インパルスの増加が見られたことから、フェロモン受容細胞にアデニル酸シクラーゼとcAMP依存性チャネルが存在することが示唆された。そこで、電気生理学的にcAMP依存性チャネルの存在の確認し、さらにその性質を解析した。カメのフェロモン受容細胞に各種濃度のcAMPを投与したところ、濃度依存的に内向き電流応答が生ずることを見出した(J. Neurosci.,1996)。濃度依存性は、嗅細胞で得られたものと類似していた。この際、膜コンダクタンスは上昇した。内向き電流が生じている時にランプ波を与えることにより逆転電位を調べたところ、カメの嗅細胞の逆転電位に近い値が得られた。以上の結果から、カメのフェロモン受容細胞には嗅細胞と同様のcAMP依存性チャネルが存在することが明らかになった。カメの鋤鼻器感覚上皮から調製した膜標品を用いて、アデニル酸シクラーゼ活性のforskolinおよびGTP依存性を調べた。フェロモン受容細胞におけるアデニル酸シクラーゼ活性は、嗅上皮と同様であった(Biochem. Biophys. Res. Commun.,1996)。さらに、forskolinをフェロモン受容細胞に与えたところ、副嗅球から誘起脳波を測定できたことから、cAMP依存性経路を介した応答が中枢に伝達されることを確認した(Chem. Senses, 1996)。ヘビなどでは、フェロモンがcAMP濃度を変化させることが報告されていることから、爬虫類におけるフェロモン受容はcAMPを介して行われている可能性が考えられる。
著者
栗原 堅三 庄司 隆行 柏柳 誠 松岡 一郎 桂木 能久
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

大豆由来のホスファチジン酸と牛乳由来のβラクトグロブリンからなるリポ蛋白質は、味細胞の微絨毛膜に結合し、苦味物質が受容サイトに結合することを妨害することにより、苦味を選択的に抑制することがわっかた。この苦味抑制剤を実用化するためには、安定性やコストの面で、蛋白質を使うことに問題があった。そこで、蛋白質を含まない苦味抑制剤の開発を試みた。ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホファチジルイノシトールなどに苦味抑制作用があったが、ホセファチジン酸の作用は、他のリン脂質よりはるかに強力であった。ホォスファチジン酸を苦味抑制剤として使用する場合、これを純品にする必要があるかどうかを検討した。ホスファチジン酸に他のリン脂質が共存した場合でも、その苦味抑制作用は妨害を受けなっかた。そこで、大豆レスチンから、ホスファチジン酸を高含量含む分画を作成し、苦味抑制効果を調べた。この結果、このレシチン分画は、各種の物質の苦味を十分抑制することがわかった。このレシチン分画を各種の薬物と混合し、苦味抑制効果を調べたところ、苦味を十分抑制することがわかった。また、このレシチン分画で、錠剤や顆粒剤をコートすると、苦味が効率的に抑制された。また、食品の苦味成分に対する苦味抑制効果を調べた。蛋白質加水分解物のあるものは、機能性食品として注目されているが、一般に強い苦味がある。レスチン分画は、蛋白質加水分解物の苦味を抑制した。ポリフェノールは、活性酸素の作用を抑制する物質として注目を集めているが、非常に強い渋味と苦味を有する。レシチン分画は、ポリフェノールの渋味と苦味を抑制することがわかった。チョコレートには、ポリフェノールが多量に含まれているが、その渋味と苦味のため、従来はこの含量を減少させていた。レシチン分画をチョコレートに入れると、ポリフェノールを高含量含んでいても、良好な味になる。
著者
柏柳 誠
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.88-89, 2005-04

新雪が白く積もった冬道のために、少し自宅を早めに出て旭川空港に到着したのは9時20分だった。東京行きの飛行機の出発は10時25分、本著の書評を書くために、読み始めることにした。予定では、一泊の東京出張の間に一読して書評を書き始めることができたらいいかと思っていたが、東京行きの飛行機の中でシートベルト着用のサインが消えた後にはすぐに本稿を書き始めていた。評者は、今の子供たちと比べて本好きである。おもしろい本ほど早く読み終える。そのような指標から考えると、本著は間違いなくおもしろい、評者の"感性"にあった本だったといえる。日本味と匂学会は、著者のようなセンサー開発に関わる工学者、生理, 生物系の基礎研究者、味覚, 嗅覚に関する臨床医から企業で食品の商品開発に携わる研究者まで、非常に幅広い会員から構成されている。味と匂いをどのように語るかは、筆者の専門がどこにあるかで切り口、視点が大きく変わるので様々である。