著者
桃井 尊央 大林 宏也 栃木 紀郎 小林 純 故塩倉 高義
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-8, 2014-01-25 (Released:2014-01-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

前報で構築した東京都西多摩郡奥多摩町に生育する7樹種の樹木年輪指数(年輪幅指数:IWar,年輪内平均密度指数:IDar)と同町で観測された気候変数との関係を検討した。その結果,樹木年輪指数と気候変数との間で認められた有意な相関関係の中には,多くの樹種間に共通した相関関係が,(1)IWarと当年1月から3月の月平均気温との間,(2)IDarと当年5月から8月の月平均気温との間,(3)IDarと前年5月から7月の月平均気温との間,(4)IDarと当年6月から9月の月降水日数との間で確認された。さらに,上記した4つの相関関係には樹種による違いも確認できた。また,月平均気温と月最高気温,月最低気温は,樹木年輪指数との相関関係において似た傾向が認められたが,月最高気温の方が月平均気温や月最低気温よりも樹木年輪指数との間に有意な相関関係が多く,その相関係数の絶対値は大きかった。
著者
安江 恒 藤原 健 大山 幹成 桃井 尊央 武津 英太郎 古賀 信也 田村 明 織部 雄一朗 内海 泰弘 米延 仁志 中田 了五 中塚 武
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

将来予想される気候変動下での国産主要4樹種の肥大成長量や密度変化の予測を目的とし,年輪年代学的手法による気候応答解析を行った。スギ,ヒノキ,カラマツ,ブナのクロノロジーネットワークを構築し,気候データとの相関解析を行った。スギとヒノキについては,ほとんどの生育地において冬~春の気温が年輪幅変動に対して促進的に影響していた。ブナにおいては,比較的寒冷な生育地では,夏季の気温が年輪幅に促進的に影響しており,一方温暖な生育地では気温が制限要因となっていないことが示唆された。カラマツについては,生育地によって年輪幅や密度と相関を示す気候要素が大きく異なっていた。