著者
佐藤 修彰 桐島 陽 秋山 大輔
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.591-603, 2018-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
21
被引用文献数
1

2011年3月に発生した東京電力福島第一発電所事故に関して,燃料デブリの性状評価や含まれている核燃料物質や核分裂生成物,マイナーアクチノイドの炉内への移行挙動評価,環境中の汚染状況評価とデブリを含む廃棄物の処理・処分についての研究例を紹介した。さらに,当該研究の核燃料サイクルのおける位置づけと,研究展開に必要な核燃及びRI使用施設の在り方についても述べた。
著者
池田 泰久 三村 均 佐藤 修彰 新堀 雄一 小崎 完 佐藤 努 佐々木 隆之 桐島 陽 出光 一哉 稲垣 八穂広 鈴木 達也 竹下 健二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

福島原発事故で発生した汚染物の合理的な処理・処分システム構築に向け、従来とは異なる固体・液体汚染物の性状研究、固体・液体汚染物の処理研究、発生廃棄物の処分研究の3分野に分け、基盤データの取得を行ってきた。その結果、燃料デブリの性状、核種の溶出挙動、汚染物の除染法、汚染水の処理法、高塩濃度環境下での核種の移行挙動等、燃料デブリをはじめとした従来知見の少ない海水を含む水溶液に接する条件下で発生した放射性廃棄物の処理・処分技術の開発に資する多くのデータを取得し、福島原発事故廃棄物の処理・処分方策に貢献しうるとともに、放射性廃棄物の処理・処分分野の進展に寄与しうる成果を出している。
著者
長尾 誠也 山本 政儀 福士 圭介 桐島 陽 井上 睦夫 富原 聖一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年3月11日に発生した福島原発事故により環境中に放出された放射性核種の陸域と沿岸域での影響評価を行うために、主に福島県浜通りを調査地域に設定し、沈着した放射性セシウムの河川流域から沿岸域への二次的な移行動態を調べた。2011年5月から2014年12月までの観測結果では、河川水中の放射性セシウムの放射能濃度は、降雨時に一時的に増加するが、平水時には時間の経過とともに指数関数的に減少した。また、2011年度には、粒子態に含まれる放射性セシウムの存在割合が、それ以降の観測試料に比べて20~30ポイント低く、放射性セシウムの河川への流出挙動が事故初期時とそれ以降では異なることが明らかとなった。
著者
三村 均 佐藤 修彰 桐島 陽
出版者
Japan Society of Ion Exchange
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.96-108, 2011
被引用文献数
5 15

東日本大震災で発生した大津波は,福島第一原子力発電所を襲い,原子力発電の安全神話を覆すレベル 7 の原子力事故を引き起こした。国内最悪の事故はいまだ収束に至らず,発電所周辺住民は,震災と原子力事故という二重の苦しみの生活を強いられている。事故対策を進める上で,各タービン建屋地下の溜まり水など放射性物質を多く含んだ 20 万トン規模の高レベル汚染水が大きな障害となっている。海水が混入した高汚染水の浄化,特に Cs の選択的分離・除去に対しては,高選択性を有する無機イオン交換体の使用が効果的である。一方,発電所より大気中へ放出された Cs や I は福島県を中心に広範囲に拡散し,汚染された雨水の処理や土壌の除染が緊急の課題となっている。事故後数か月を経過した現在,セシウム(<sup>137</sup>Cs, <sup>134</sup>Cs)による放射能が主であり,放射性 Cs の選択的分離・除去用の吸着剤が重要な役割を担っている。最近,発電所サイトでは外国製技術を導入した除染プラントが稼動し始めたが,運転システムや廃棄物処理など課題がある。そこで,わが国独自の高汚染水処理システムの構築が急がれており,ここではイオン交換分離技術に大きな期待が寄せられている。特に汚染水処理現場では,わが国に豊富に産出する天然産ゼオライトの高い Cs 吸着能に期待が高まっている。ここでは,ゼオライトによる放射性核種の分離・除去,特に放射性 Cs の選択的分離・固化に関して解説する。<br>