著者
太子堂 正称 井上 義朗 間宮 陽介 桑田 学 原谷 直樹 野原 慎司 高橋 泰城 板井 広明 江頭 進 小沢 佳史 佐藤 方宣 笠井 高人 高橋 聡 村井 明彦
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、現代の経済理論が前提としている人間像について、その思想的系譜を解明することを目指して行われた。スコットランド啓蒙における「経済学の成立」から現代の行動経済学・神経経済学へと至るまでの野党な経済学者、理論の分析を通じて、効用や利潤の最大化を図る利己的人間観が登場してきた過程だけではなく、それぞれの経済思想家の主張の背後には、利他性や社会性を含む多様な人間像が含まれていたことが明らかとなった。
著者
桑田 学
出版者
千葉大学経済学会
雑誌
経済研究 = Economic journal of Chiba University (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.469-508, 2015-03

たとえばカール・ポランニーがメンガーやウェーバーのテクスト,あるいはアリストテレスの〈オイコノミア〉の概念にたどらせて論じたように,「経済=エコノミー」は手段の希少性から生じる合理的選択という形式性の次元に切り詰められるものではなく,自然環境との相互作用として成立する欲求充足のための継続的な物質的手段の供給という実体的局面をふくんでいる。後者の視点をつきつめれば,経済は人間の社会的な相互依存関係のみならず,多様な生物種や鉱物,土壌そしてそれらを貫いて流動するエネルギーを含みこんだ自然界の物質的な相互依存関係やその健全な再生産の一環として成立するものであることがわかる。いくつかの先行研究で強調されてきたように,市場の価格メカニズムに還元されない経済の生物-物理的(biophysical)な次元への関心は「エコノミー」の概念史的な展開からみれば必ずしも特異なものではなく,黎明期の経済思想には明確に存在し,18世紀の啓蒙思想や古典派経済学の時代にはさまざまな形で持続していた。これは富・人口・資源・土地を支配する法と秩序としてのエコノミーが自然科学的な知の対象でもあったことと無関係ではない。ポール・クリステンセンは,生理学や化学,博物学と緊密な関係を保持していた「古典派以前の経済学やフィジオクラート,19世紀初頭の古典派経済学には,限界革命以降の主流派経済学には欠けている経済活動の物理的側面への関心が存在した」と論じている。科学史家マーガレット・シェイバスもまたこのようなエコノミーの理解を,18世紀のスウェーデンの博物学者カール・フォン・リ欧文抄録: p.285-286
著者
桑田 学 クワタ マナブ
出版者
千葉大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
公共研究 (ISSN:18814859)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.238-282, 2005-09

千葉大学公共研究センター21世紀COEプログラム「持続可能な福祉社会に向けた公共研究拠点」