著者
高橋 泰城
出版者
Transdisciplinary Federation of Science and Technology
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.119-122, 2018 (Released:2018-10-12)
参考文献数
16

In behavioral economics, violation of rationality in human judgment and decision making has been investigated. In neoclassical economics, on the contrary, almost all human behavior (in- cluding addiction) has been assumed to be rational. Recent developments in Neuroeconomics have revealed neural foundations for human judgment and decision making. Cyber technologies offer new risks for new types of addiction (e.g., internet addiction, online video game addiction, and smartphone addiction); while these technologies can potentially offer new intervention methods for the treatment of addiction. In this review, current findings in the studies of addiction in the age of “super smart society” (i.e., societies highly digitized and connected via SNSs) are introduced and future directions are discussed.
著者
高橋 泰城
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.17-30, 2013-12-20 (Released:2014-06-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

One of the recent promising theoretical approaches to accounts of the violation of rationality (or generalize the concept of rationality) in human decision making is quantum decision theory. In this expository review article, I introduce 1) problems of rationality in quantum decision theory and 2) relationships between psychophysics, theoretical neuroscience including neuroeconomics, and quantum decision theory.
著者
松井 知子 村上 大輔 椿 広計 高橋 泰城 船渡川 伊久子 山形 与志樹
出版者
統計数理研究所
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2021-07-09

COVID-19、SDGsの複雑に絡み合った課題に対しては、多くの異分野に跨がる学際的研究が 不可欠であり、異分野相関を俯瞰できる方法論が必要となる。従来の統合評価モデルによるアプローチには、1) 不確かさの所在が不明瞭、2) 多様なデータの十分な活用が困難、3) COVID-19のような突発事象への対応不可等の問題がある。本研究では、統計・機械学習により、この従来モデルをデータ駆動型の確率モデルに転換させて、上記の問題1)、2)を解決する方法論Iを確立する。さらにこの方法論Iを、突発事象を含め、様々な事象を包括できるモデル統合の方法論IIへと変革させ、問題3)を解決する。
著者
高橋 泰城
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.69-71, 2008 (Released:2011-12-03)
参考文献数
21

神経科学と経済学との境界分野は,Neuroeconomics(神経経済学)と名づけられ,近年活発な研究がなされている.本発表では,時間割引および不確実性下の意思決定に関して,経済学における規範的意思決定からの乖離に関する神経経済学的研究(神経ホルモンや中毒財との関連),および行動経済学·進化生物学との関連を紹介する.
著者
守 真太郎 久門 正人 高橋 泰城
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第8回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.B-1-1, 2017 (Released:2018-02-18)

Collective intelligence is a mechanism to aggregate information held by many agents and generate useful information. In order for the generated information to be useful, it is a sufficient condition that the agents should independently generate information to be aggregated. On the other hand, in the case of humans, as they give priority to the return of each individual, not to the accuracy of the collective intelligence, they often use social learning and imitate the choices and actions of others. Independence of information to be aggregated is not preserved and the collective intelligence mechanism does not function. We conducted an information cascade experiment using two-choice general knowledge quizzes. When quizzes are easy, collective intelligence functions and the correct answer rate improves. However, when the quizzes are difficult, it becomes random whether the correct answer rate improves or deteriorates This change is a phase transition due to a change in the number of stable states of nonlinear Polya urn process. The essence of the phase transition is whether the in uence of the rst subject's choice (Domino effect) percolates or not in the in nitely long subjects' sequence.
著者
清成 透子 高橋 泰城
出版者
青山学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

テストステロン(T)は一般に社会的支配性を促進すると考えられているが、Tと経済ゲーム実験における意思決定の関係は研究により一貫していない。本研究では、日常的に社会的地位格差のある集団(大学体育会ラグビー部)を対象に唾液中のT値と最後通牒取引ゲーム(UG)における意思決定との関係を一連の実験にて検討した。その結果、TはUGにおいて学年(社会的地位)の高い参加者の間では支配的な行動を促進することが明らかになったが、学年の低い参加者に関しては結果が安定しなかったため、今後のさらなる検討が必要である。
著者
太子堂 正称 井上 義朗 間宮 陽介 桑田 学 原谷 直樹 野原 慎司 高橋 泰城 板井 広明 江頭 進 小沢 佳史 佐藤 方宣 笠井 高人 高橋 聡 村井 明彦
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、現代の経済理論が前提としている人間像について、その思想的系譜を解明することを目指して行われた。スコットランド啓蒙における「経済学の成立」から現代の行動経済学・神経経済学へと至るまでの野党な経済学者、理論の分析を通じて、効用や利潤の最大化を図る利己的人間観が登場してきた過程だけではなく、それぞれの経済思想家の主張の背後には、利他性や社会性を含む多様な人間像が含まれていたことが明らかとなった。
著者
高橋 泰城
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第8回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.B-1-4, 2017 (Released:2018-02-18)

Recently, neuroeconomics---a unified discipline of economics and neuroscience---has been developed. Research topics of neuroeconomics include neural processing underlying decision under risk, intertemporal choice, and social preferences. Studies in neuroeconomics have revealed that human judgment and decision making usually violates classical rationality (e.g., Kolmogorovian probability theory, exponential time-discounting, von Neumann-Morgenstern’s expected utility theory). We observed that rationality and intelligence defined in terms of neuroeconomics is related to human intelligence and rationality in terms of cognitive science. These findings are relevant to problems in financial markets, artificial intelligence, and robotics.
著者
高橋 泰城
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.23-34, 2014-06-20 (Released:2014-10-03)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本稿では,ニューロエコノミックス(神経経済学)の現在の新しい展開に関して,物理的入力刺激と知覚反応の大きさとの関連を調べる「心理物理学」の方法や知見を応用することが重要であることを解説し,経営やマーケティングの観点からも概観的に解説を行う.また,筆者の行っている研究を,そのような観点から紹介し,経営判断などにも関係するタイムマネジメント,ワークライフバランスやビジネスエシックスの研究への応用の方向性についても論じる.
著者
晝間 文彦 池田 新介 須斎 正幸 高橋 泰城 筒井 義郎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

時間割引率は人々の現在と将来にかかわる意思決定を決める重要な要因で、時間割引率が高いほど現在を重視した(せっかちな)、低いほど将来を重視した(我慢強い)意思決定を意味する。この研究では、時間割引率がどのような要因に関係しているかをアンケートによって調べたが、時間割引率は自制力が高いほど、認知能力が高いほど、低いことが明らかとなった。これは時間割引率に対する教育の有効性を示唆するものである。
著者
筒井 義郎 大竹 文雄 藤田 一郎 晝間 文彦 高橋 泰城
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

時間割引は多くの経済実験において、少額を早く受け取るオプションと多額を遅く受け取るオプションのどちらを選択するか、というタスクで測定される。本研究課題は、(1)遅れ(現在から最初のオプションまでの時間)と期間(2つのオプションの間の時間)を明示的に分離して、それぞれが時間割引に与える効果を特定する、(2)喫煙が時間割引に対してもたらす効果について明らかにする、という2つの課題を主たる目的とする。(1)については、これまでに行った実験の結果を論文にまとめ、本年度6月にJournal of Risk and Uncertaintyに掲載した。(2)については、昨年度早稲田大学で行った、非喫煙者と喫煙者、断煙者と非断煙者を比較する実験の結果を分析した。その結果、喫煙者は非喫煙者に比べて高い時間割引を示すことが明らかにされた。また、断煙者は非断煙者よりも、お金に対しては高い割引率を示すが、タバコについては、むしろ忍耐強くなるという結果を得た。この後者の結果の頑健性については疑問があり、詳細な実験条件設定に問題がある可能性を検討して、それらを改良した実験を本年1月と2月に大阪大学において実施した。その結果は現在解析中であるが、おおむね、喫煙者は非喫煙者に比べて高い時間割引を示す点にでは早稲田実験と同じである。断煙者と非断煙者を比べると、お金については両者の時間割引には差がなく、タバコについては、断煙者の方がよりせっかちになるという結果が得られた。今年度の実験結果の方が直観に整合的であるが、両方の結果をどのようにまとめていくかは検討中である。一方、fMRI実験については、早稲田大学健康科学部の正木教授の協力が得られ、本年2月と3月に、異時点間選択を行っている喫煙者の脳画像を撮像した。引き続き、行動実験の結果をまとめつつ、断煙者および非喫煙者についても撮像していく。