- 著者
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朝山 光太郎
井上 義朗
雨宮 伸
大山 建司
加藤 精彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.51-57, 1983
肥満児において, 赤盈球インスリン受容体結合 (IB) とヘパリン負荷後血中リボ蛋白リパーゼ (LPL) および肝性トリグリセライドリパービ (HTGL) 活性を測定し, 高TG血症との関連性を解析した.IBはGambhirらの方法に準拠して測定し, LDLおよびHTGL活性の測定は免疫化学的測定法によった.ヘパリン負荷量は10単位/kg体重と, Allenらの循環血液量算出法に基づく補正投与量を用いた.5~16歳の顕性糖尿病を認めない肥満児35名を対象とした.<BR>肥満児には高TG血症を高頻度 (20/35) に認めたが, 著明な高コレステロール (chol.) 血症, 低HDLchol.血症はなかった.IBは肥満児では低値であり, 空腹時インスリン値 (n=18), OGTT時のインスリン面積 (n=18), 血清TG値 (n=20) のそれぞれの対数値と負相関を示した.LPL値は10単位/kg負荷時 (n=13), 補正投与量負荷時 (n=12) のいずれも小児正常値と差がなかった.血清TG値は空腹時インスリン値 (n=29) およびインスリン面積 (n=20) と正相関した.相対体重はIB, 血清脂質とは相関せず, 空腹時インスリン値 (n=29) およびインスリン面積 (n=20) と相関した.<BR>肥満児においては, 肥満度に依存しないインスリン感受性低下とそれにともなう高インスリン血症が高TG血症の成立に関与しており, TG処理障害の明らかな関与は認めなかった.