著者
永原 真奈見 太田 雅規 梅木 陽子 南里 明子 早渕 仁美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.131-142, 2020-08-01 (Released:2020-09-26)
参考文献数
37

【目的】小学校に入学した1年生が6年生になるまでの6年間における,朝食の食事バランスと生活習慣や不定愁訴を調べ,生活習慣及び不定愁訴と朝食の食事バランスとの関連性を明らかにした。【方法】2011年入学の1年生(n=91)を対象に,起床や就寝,朝食,共食,食事の手伝い,不定愁訴に関する自記式質問紙調査を6年間継続して実施した。学年時別実態及び経年変化を明らかにすると共に,朝食の食事バランスと関連のある生活習慣・不定愁訴について検討した。【結果】朝食の欠食率は1~4年時は3~5%,5・6年時は11~14%に増えており,共食の割合は進級に伴って減少していた。朝食で主食・主菜・副菜がそろった食事をしている児童の割合は1年時が45.1%と最も高く,4~6年時には主食のみの食べ方が増加した。起床時刻や自律起床習慣は,高学年時に顕著な改善はみられず,就寝時刻は進級に伴って遅くなっていた。不定愁訴に関しては,6年時の児童の約90%がだるさや疲れ,イライラやむかつきを感じ,約63%が学校が嫌になることがあると回答した。また,朝食の食事バランスは,起床・就寝時刻,共食,手伝い,疲れ,学校が嫌の項目と関連がみられた。【結論】低学年時に望ましい生活習慣を確立できるよう積極的に介入すること,高学年時にはバランスの良い朝食摂取や睡眠の意義を再教育し,不定愁訴にも配慮することの重要性が示唆された。
著者
早渕 仁美 上田 晴陽 梅木 陽子 江頭 和佳子 太田 雅規
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.323-333, 2017-10-25 (Released:2018-08-02)
参考文献数
26

The “Lesson of Taste” (“Leçon de Goût” in French) has been implemented in Japan as “Mikaku no Jugyo” since 2011 to teach children to use all five senses and enjoy the five tastes during meals. However, the educational benefits of the lesson have not been verified scientifically. In 2015, we therefore investigated the effects of the “Lesson of Taste” at an elementary school in Fukuoka, Japan that has conducted the lesson on 4th graders every year since 2012. Among the 4th graders (n=98), the mode of correct answers in the taste recognition test (5 basic tastes and 3 tasteless samples) was 4 and 8 (perfect score) before and after the lesson, respectively ; the ratio (%) of students scoring >6 correct answers essentially doubled after the lesson. The mode of correct answers among 4th graders (n=130) at a nearby school that did not offer the “Lesson of Taste” (control) was 4, which significantly differed from those attending the target school. Furthermore, the knowledge and awareness of taste immediately improved among the children after the “Lesson of Taste”. A survey of 5th (n=99) and 6th grade (n=114) children at the target school revealed that the “Lesson of Taste” provided an opportunity to develop interest in anticipating, tasting, and eating food. The “Lesson of Taste” improved the sense of taste and positively impacted food awareness and eating behaviors among children.
著者
石崎 太一 久野 真奈見 梅木 陽子 黒田 素央 早渕 仁美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.39-43, 2005 (Released:2006-08-04)
参考文献数
9
被引用文献数
6 11

Using a placebo controlled single blind crossover study, we examined the effects of dried skipjack soup stock on mood and emotion among Japanese female college students by questionnaire.Twenty-seven subjects were divided into two groups, and 100 ml of skipjack soup stock and a placebo were alternately given for one week to both groups. The washout period was one week. The placebo was diluted water containing a natural skipjack flavor, pigment and salt. The profiles of mood were observed using the POMS test and the mood questionnaire before and after consumption.There were some subjects who had an unstable emotional baseline. The walking counts by pedometer and the diary descriptions suggested there were some events that varied their emotions. We therefore decided to use subjects who had a stable emotional baseline for evaluation of the test foods. As a result, the scores for tension, anger and TMD (Total Mood Disturbance) in the skipjack soup stock group significantly decreased from the initial values. On the mood questionnaire the score for concentration increased from the initial value.These results suggest that skipjack soup stock had a beneficial effect on mood status.
著者
早渕 仁美 梅木 陽子 久野 真奈見
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

飲食物の内容と量から主食・主菜・副菜等の料理分類を行う方法と基準、食事摂取基準等指標との関係を明確にし、食事状況を栄養素・食品レベルだけでなく料理レベル、さらに料理の組合せである食事レベルで示し、食生活の質を総合的に評価するための、食物ベースの食事評価方法を確立することを目的とした。また、栄養士等専門家向けの定量的データ(食事摂取基準)と、一般向け定性的メッセージ(食生活指針)をつなぐ、半定量的な食事ガイドとして、食物ベースによる食事評価の科学的根拠に基づく教育ツールを開発し、栄養指導や食育活動に活用し、その妥当性と有効性について検討した。1.前回の科学研究費の研究成果であった「料理群分類方法」の妥当性を、データベースに基づいた系統的分析 によって明らかにした。2.食事状況を食物ベースで、視覚的にわかりやすく、的確に示す方法を提案し、その効果を検証した。3.食事評価に料理レベルのデータを用いることの意義を明らかにした。4.料理レベルで食物摂取の内容と量を簡便に把握する食事調査方法の検討を行った。5.自分の食習慣を簡便に把握し、食生活改善の動機づけに役立つシステムを開発した。6.料理を食事バランスガイドの基準で分類、サービング計算するシステムを開発した。7.食事記録調査データの栄養計算を行い、食物ベースで評価するシステムを試作した。8.上記開発した調査、評価手法を活用して、食事調査や栄養教育・食育活動行い、その妥当性と効果の検証を行った。
著者
南里 明子 早渕 仁美 梅木 陽子 肘井 千賀 大島 晶子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.53-60, 2003-03-20
被引用文献数
2

福岡市健康度診断を受診した一般市民3,492名を対象に,食生活診断の判定に用いている体型分類について検討を行い,食生活との関係について明らかにした。日本肥満学会のBMI基準(普通:18.5〜25.0)による3体型分類では,対象者の70%前後の人が普通体型と判定されたが,対象者の50%前後には,高脂血症,高血糖,高尿酸血症,肝疾患等の異常がみられた。健康度診断システムが,健康増進のためのスクリーニングであり,栄養改善への動機づけとなるように,体型の基準を少し厳しく(19.8〜24.2)すると,普通体型が50%前後となった。一方, BMIが基準以下でも体脂肪率の高い人や. BMIは高いが体脂肪率の低い人が少なくないので,体型の判定にはBMIだけではなく体脂肪率も必要と考えられた。BMIと体脂肪率が,ともに基準内を「普通」,両方少ない「痩せ」,両方多い「肥満」,体脂肪率のみ多い「隠れ肥満」, BMIのみ多い「筋肉」の5体型に分類すると,肥満,隠れ肥満などの生活習慣病予備群や女性若年者の痩せを抽出することができ,栄養アセスメントに有効であると考えられた。また,体型と食生活との関係については,普通体型の食生活診断点数は男女ともに高く,肥満と痩せの量点数は低く,体型には食事の量や食べる速さが関係していることが分かった。なお,痩せや肥満など体型に問題のある人は,好ましくない食習慣の項目が多く,特に肥満では普通体型に比べ,腹一杯,早食い,濃い味,乳乳製品が少ないなどの食習慣が多くみられた。