著者
甲斐原 るみ 森田 健
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.7-13, 2004-03-01

季節変動に伴う気温や湿度, 日照時間の変化は生体機能に直接影響し, その結果, 生体リズムが季節に依存して変化すると考えられる。本研究は2つの面より, 人工環境化が進む現代生活環境において, 季節変動が若年者の気分や行動にどのように影響しているかを調査した。健康状態に関するアンケートからは, 健康状態・気分や行動に季節変動があり, 特に日照時間との関係が示唆された。夏至から春分まで1年間を通して季節ごとに行なわれた感情プロフィール検査と気分に関するSD法による心理評価からは, 健康状態アンケートと同様, 日照時間が長くなる夏季には気分が良くなり活動的になる傾向を得た。
著者
浜名 涼子 早渕 仁美 南里 明子 久野 真奈見 赤崎 尚子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-54, 2004-03-01
被引用文献数
2

学年や性に応じた細やかな教育のための実態把握を目的に, 福岡県内の小学2年生と4年生263名を対象に, 食生活を中心とした生活習慣と自覚疲労について調べ, 学年差と男女差について検討した。(1) 朝食の欠食者は, 平均21%で, 高学年で増える傾向にあった。朝食に, ごはん・パン・肉を摂る者は高学年に, 果物ジュース・野菜ジュースを摂る者は低学年に多く, 学年差が認められた。また, 牛乳を摂る者は男子に, パン・スープを摂る者は女子に多く, 男女差が認められた。高学年では朝食に対する意識が低かったが, 欠食理由には, 学年・男女差は認められなかった。(2) 4年生になると「学校給食が楽しい」者は約6割に減少し, 学年差が認められた。間食の用意は, 低学年では家人, 高学年では自分で行う者が多く, 学年差が認められた。間食の量は女子で少なく, 男女差が認められた。(3) 運動と排便の頻度は男子に, 歯磨きの頻度は低学年に高い傾向にあった。就寝時刻は高学年で遅く, 睡眠時間も短くなり, 学年差が認められた。(4) 自覚疲労は, 特にあくび (77%), 目の疲れ (58%), 横になりたい (57%), いらいら (52%) が多く, 腹痛/吐き気・いらいら・根気がない・学校に行くのが嫌は高学年に, 体がだるい・目の疲れ・頭痛・めまいは女子に多く, 自覚疲労が高学年, また女子に多いことが分かった。
著者
村上 恭子 白石 淳
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.63-66, 1998-02-25

1. 大豆煮汁を培地にして粘質物を産生する菌を土壌から36株を分離した。2. 大豆煮汁の蛋白質をプロテアーゼMで加水分解した液体培地を用いて保存菌株と分離株のP-γ-GAの生産を調べた。3. 粘質物の生産量の多かった1株, Bacillus subtilis NRRL B-2612株によるP-γ-GAの生産における培養温度は37℃, 初発pHは6.4であった。4. 大豆煮汁で作られた粘質物が, NMRの測定よりγ結合で有る事, グルタミン酸含量が多い事とグルタミン酸のDL比が6 : 4とD型が多い事, 分子量が210万と大きい事より, P-γ-GAであると確認された。
著者
藤岡 留美子 吉田 雅子 吉村 知珠 山村 知子 真鍋 征一
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.29-36, 1998-02-25

We intended to validate the possibility of the development of the novel membrane separator based on the difference in the diffusion coefficient D of the particles in water as a medium and the difference in the intermolecular interaction between the raw material of the membrane and the particles dispersed in the solution. In order to confirm a dominant position of the use of the diffusion in a pore of the membrane we investigated about the following four points : (1) The separation of the dyes with different D values and with the similar molecular weight to each other, and the separation of the particles with the different size through the diffusion in a pore. (2) The separation in the combination with the diffusion and the filtration. (3) The separation of the components having different size and affinity with each other. (4) The novel membrane separator based on the combination of three separation mechanisms of the diffusion, filtration, and adsorption and its separation characteristics. The virus removal filters named as PLANOVA^<TM> which was composed of the cuprammonium regenerated cellulose hollow fibers were employed. The mean pore sizes of the filter were 15,35 and 75nm and PLANOVA 35 with 35nm in mean pore size was investigated rigorously for the separation properties. The diffusional particles dispersed in water were the acid dye (Orange II (C.I. 15510)), the direct dyes (Congo Red (C.I. 22120), Direct Blue 6 (C.I. 22610)), the basic dyes (C.I. Basic Blue 7 (C.I. 52595), C.I. Basic Brown 1 (C.I. 21000)), oval albumin, three gold particles with 15,36 and 42nm in mean particle size. The D value under the stationary state was determined through the hollow fiber method. The filtration was carried out under the constant transmembrane pressure ΔP and the dead end filtration. The filtration rate J and the membrane permeability φ were evaluated. The partition coefficient K was measured through the change in the particle concentration in the immersing liquid of the sample. The particle concentration was determined through the optical absorbance measured using the UV-visible spectrometry. We obtained the following results : (1) The components with different D values in water (as one of media) could be separated through the diffusion in pores under the stationary condition using a porous membrane. The D values of the components in a mixed solution changed so as to get close to each others. The separation ratio was given by the ratio among the D values of the each component. (2) As for a filtration, the separation related to the difference of the D value was observed slightly. The separation ratio decreased with an increase in ΔP. When the size of the component particles was different largely, then the separation based on the filtration worked effectively. The filtration rate decreased with time. (3) The particles having larger size than the mean pore size could be removed by the diffusion without the decrease in D value with diffusion time for the smaller particles. However, the coexistence gave rise to decrease the absolute value of D for smaller particles. (4) The separation of a few components could be separated concurrently by the novel membrane separator composed of two filters through three mechanisms of separation based on the differences of the affinity, the particle size, and the diffusion coeficient. By the use of the diffusion in a pore of a porous membrane, we can separate the components in the following two cases, the case that the diffusion coefficient in a water for the components are different with each other, and the case that the affinity of the components to the raw material of the porous membrane is different with each even if the particle size is not so different. In the former case, the transportation speed is about 10^3-10^4 times to that of the diffusion in a non-porous membrane. The development of a novel membrane separator which makes use of the difference in the diffusion, the filtration and t
著者
真鍋 征一 藤岡 留美子 松山 明子 垣内 美穂 樋口 亜紺
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.7-12, 1998-02-25

平均孔径より大きな粒子の膜透過率φが1/10^5以下であるウイルス除去中空糸膜を用いて, 分子量から換算される剛体球としての径が平均孔径に近い分子量を持つDNAが拡散によって孔を通過することが出来るかどうかを明らかにすることを目的とした。ウイルス除去中空糸膜として平均孔径35nmの銅安法再生セルロース中空糸PLANOVA35^<TM>を採用した。DNAとして牛胸線DNAで分子量は2.3x10^3塩基対(分子量約1.4x10^7)を用いた。拡散係数Dは定常法により, [figure]DNAの水溶液からの中空糸膜への分配係数Kは残液中のDNA濃度より決定した。濾過前後の濃度変化よりDNAの膜透過率φを定めた。濾過は一定の膜間差圧ΔPでデッドエンド法で実施した。DNAの濃度は紫外吸収スペクトルにおいて波長260nmの吸光度より決定した。その結果, (1) 純水中および緩衝液中のDNA分子は再生セルロース膜へは吸着されずK&le;1.0であった。(2) φはΔPと正の相関性を示した。DNA分子として理論上最小径を示す剛体球モデルによる径として33nmの場合, 対応する径の金コロイド粒子のφは1/10^4以下であるのに対しΔP=0へ外挿したDNAのφは0.03であった。(3) 純水液中のDNA分子は拡散により膜中を輸送された。その際のDの値(298K)は3.0x10^<-7>から1.6x10^<-8>cm^2/secへと拡散の継続時間と共に変化した。(4) 緩衝液中での膜中のDNAの拡散の場合のDは(3)で示した経時的な変化は認められず9.3x10^<-9>cm^2/secの一定値を示した。この値は純水中の場合での平衡値に対応した。(5) 緩衝液での膜中のDの値は孔の存在しない対応する溶液中でのDの値の約1.4倍であった。以上の実験結果より, DNA分子は糸状にその形状を変化させることにより分子径よりも小さな孔を拡散によって輸送できると結論される。膜の孔中でのDの絶対値が液中のDの値より常に大きい理由は(1)膜中の拡散時での拡散電位の発生, (2)DNAの分子量分布の効果によると考えられる。
著者
真鍋 征一 藤岡 留美子 池田 幹 中原 千佳
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.13-19, 1998-02-25

分散染料の高分子固体中への拡散挙動を明らかにすることを目的とした。そのため試料として超分子構造の明らかな多孔性再生セルロース中空糸モジュールPLANOVA^<TM>を採用した。平均孔径10,15,35および75nmの4種を用い特に35nmの試料を中心に拡散係数を測定した。分散染料としてDisperse Orange 3 (C.I. 11080), Disperse Orange 1 (C.I. 11005), Disperse Red 1 (C.I. 11100)の3種のアゾ系染料を選定した。分散染料の水溶液中での溶解状態を変化させるため(1)水溶液中に溶解および分散した溶液(分散染料をそのまま水に溶解させた溶液), (2)溶液(1)を平均孔径15nmのPLANOVA15で濾過し粒子成分を除去して得られる分子状に溶解した溶液, (3)溶液(2)にベンゼンを飽和させた溶液, の3種の溶液を作製した。拡散係数Dは定常法により, 298,313,333 Kで測定し, 拡散の見掛けの活性化エネルギーΔH_aをDの温度依存性より算出した。分配係数Kは残液法で溶液中の染料濃度より算出した。膜透過率φは一定の膜間差圧下でのデッドエンド型の濾過前後での染料濃度より算出した。染料濃度は可視分光光度計で染料の最大吸収波長における吸光度より決定した。その結果(1) Kは1&acd;20の間にあり, 分散染料は再生セルロースにほとんど吸着しない。溶液(2)の場合がKは最も小さく, 溶液(1) と(3) でのKはほぼ等しい(K≒10), (2) 孔中を拡散するには水溶液中に溶解した染料分子のみである。拡散後の溶液には分子状に溶解した成分のみで分散粒子の状態の成分はない, (3) Dの値には溶液(1)<溶液(2) ≒溶液(3)の関係があった, (4) 孔中の分散染料の拡散の見掛けの活性化エネルギーΔH_aは-12&acd;12kJ/molにあり水分子の熱運動が分散染料の孔中の拡散を支配している, (5) Kを考慮し, かつ溶解成分の比率αを考慮したデータ解析, 水中での中空糸膜の空孔率εを用いて算出されるDの理論値(=(ε・D_p/(K・曲路率))(立体因子)(粘性因子), D_pはStokes-Einsteinの式で与えられる)は実測のD値の約10倍である, (6) 溶液(3) を用いれば濃度勾配に逆らった染料分子の拡散が起こる場合がある。これらの結果より分散染料が高分子固体中の孔を拡散するのは, 溶解した成分のみであり, 分散粒子の存在は拡散を妨げるように働くと結論される。また孔中の拡散においても貫通孔ではない高分子固体内部の微小孔への分散染料分子が滞留する効果を考慮する必要があると考えられる。
著者
南里 明子 早渕 仁美 梅木 陽子 肘井 千賀 大島 晶子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学人間環境学部紀要 (ISSN:13414909)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.53-60, 2003-03-20
被引用文献数
2

福岡市健康度診断を受診した一般市民3,492名を対象に,食生活診断の判定に用いている体型分類について検討を行い,食生活との関係について明らかにした。日本肥満学会のBMI基準(普通:18.5〜25.0)による3体型分類では,対象者の70%前後の人が普通体型と判定されたが,対象者の50%前後には,高脂血症,高血糖,高尿酸血症,肝疾患等の異常がみられた。健康度診断システムが,健康増進のためのスクリーニングであり,栄養改善への動機づけとなるように,体型の基準を少し厳しく(19.8〜24.2)すると,普通体型が50%前後となった。一方, BMIが基準以下でも体脂肪率の高い人や. BMIは高いが体脂肪率の低い人が少なくないので,体型の判定にはBMIだけではなく体脂肪率も必要と考えられた。BMIと体脂肪率が,ともに基準内を「普通」,両方少ない「痩せ」,両方多い「肥満」,体脂肪率のみ多い「隠れ肥満」, BMIのみ多い「筋肉」の5体型に分類すると,肥満,隠れ肥満などの生活習慣病予備群や女性若年者の痩せを抽出することができ,栄養アセスメントに有効であると考えられた。また,体型と食生活との関係については,普通体型の食生活診断点数は男女ともに高く,肥満と痩せの量点数は低く,体型には食事の量や食べる速さが関係していることが分かった。なお,痩せや肥満など体型に問題のある人は,好ましくない食習慣の項目が多く,特に肥満では普通体型に比べ,腹一杯,早食い,濃い味,乳乳製品が少ないなどの食習慣が多くみられた。