著者
後藤 昭雄 荒木 浩 米田 真理子 梶浦 晋 落合 俊典 赤尾 栄慶 金水 敏 近本 謙介 宇都宮 啓吾 海野 圭介 仁木 夏実
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、大阪府河内長野市にある真言宗寺院金剛寺所蔵の聖教の全体的調査である。そのために聖教全部の略目録の作成と貴重典籍についての詳細な調査研究を二つの柱として作業を行った。その結果として、なお整理調査が行われていなかった第21函から第55函までの聖教について略目録の作成を行い、報告書に公表した。これによって、金剛寺所蔵聖教のおおよそについては目録化がなされたことになる。貴重典籍については、刊本および音楽資料については全体的調査を行い、そのうちの重要資料は学術的位置づけを行った。精査を行った典籍の主なものは『全経大意』『百願修持観』『明句肝要』『清水寺縁起』『無名仏教摘句集』などである。これらについては論文と併せて影印あるいは翻刻によって全体の内容を報告書に公表した。
著者
落合 俊典 赤尾 栄慶 梶浦 晋 後藤 昭雄 辛嶋 静志 衣川 賢次 デレアヌ フロリン STEFANO Zacchetti 金水 敏
出版者
国際仏教学大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

平成12年度より開始され、平成15年度をもって終了した「金剛寺一切経の基礎的研究と新出仏典の研究」では、4ヶ年間に79回の現地調査を実施し、19回の新出仏典研究会で真摯な討論を重ねてきた。この他に諸機関・諸寺院等の調査はもとより、国内外での研究発表も行い活発な研究活動を展開した。その結果、金剛寺一切経の概要を示す目録(暫定版)を完成させ、新出仏典の翻刻とその資料的価値を確定させることができた。一切経の奥書から中世における河内長野近在の書写事業の一端が明かとなった。また書写する人々は奈良写経を尊崇していたことも分かってきた。本研究は従来の一切経調査では試みられなかった現行本との照合を行うとともに、今後の研究の一層の発展を期して一切経のカラーデジタル撮影に取り組んできた。かくして金剛寺一切経4,000余巻の内、1,123巻を撮影しDVD2枚に収録した。その数26,500コマである。この方法に基づいて多くの新知見が得られただけではなく、新たな新出仏典も発見された。その一つは中国の五世紀前葉、鳩摩羅什等によって翻訳された『十誦律』に基づく在家信者のための手引き書であり、これも新出安世高訳『十二門経』と並んで非常に貴重な資料となるであろう。
著者
梶浦 晋
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

東アジアにおける仏典開版の歴史や流布の研究のため、国内外で調査をおこなった。日本においては、京都大学人文科学研究所、京都国立博物館、大谷大学図書館、東京大学東洋文化研究所、国立国会図書館、静嘉堂文庫、大東急記念文庫、お茶の水図書館成簣堂文庫、根津美術館、建仁寺、北京の中国国家図書館、北京大学図書館、台北の国家図書館、故宮博物院文献館等収蔵の宋元版等の調査をおこなった。日本における金版大蔵経の収蔵情況および流通についてあきらかにした。お茶の水図書館所蔵の高麗刊『大般若波羅蜜多経』巻第巻第第二十一第二百七十六は、元官版大蔵経と密接な関係があり、漢訳大蔵経刊行史上重要な遺品であることを確認し報告した。京都大学人文科学研究所所蔵の宋・金・元版仏書は、調査を完了し、目録および主要な典籍の解題の作製中である。中国国家図書館、国家図書館、故宮博物院文献館等では、『妙法蓮華経』『金剛般若経』など、主として単刻の仏典を調査おこない、日本伝存の宋元刊本との相異点などについて研究を進めた。上記調査を行った機関の所蔵本や各種目録を参考にして、内外の図書館や研究機関あるいは寺院所蔵の、中国および朝鮮半島開版の古版仏典所在リストの作成し、本科研の報告書に「日本現存宋金元版仏典リスト(暫定版)」として収録した。