著者
久保 慎也 二宮 順一 森 信人 馬場 康之 水谷 英朗 久保 輝広 内山 雄介 渡部 靖憲 山田 朋人 大塚 淳一 猿渡 亜由未
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_487-I_492, 2016
被引用文献数
1

台風イベント時の水温躍層の破壊・再形成のプロセスに着目して,観測データの解析を行うことでプロセスの経過について検討した.水温躍層は水域内の流動に大きな影響を与え,水質問題が生じる要因にもなるため,詳細な現象の把握が求められている.そこで本研究では,台風イベント時の観測データからブラント・バイサラ振動数およびリチャードソン数を算出し,成層の安定性を評価した.その結果,密度成層期には,まず高波浪により成層の安定が崩され強風により更に不安定さが促進されるという仮説を得た.また,混合期は成層が不安定で,台風接近前からシア流の不安定が生じていて混合が生じていることがわかった.これらの結果を踏まえて,更にTS図を作成し混合期の水塊の特性を評価した.
著者
森 信人 鈴木 崇之 木原 直人
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.425-432, 2009

沿岸域における台風時の強風時の表層近くの強混合鉛直混合を対象に着目し,現地観測と数値計算を実施した。両者の解析結果から台風接近時に顕著な水温の低下が観測され,極浅海で生じる低温水が沖に輸送されて沿岸部の水温を低下される。海面での海面粗度やTKEフラックスを波浪のスペクトルから与えることにより,台風最接近時の水温低下が再現されている。Since major driving forces of vertical mixing processes are wind and wind wave mixing, the boundary condition of turbulent kinetic energy flux at the ocean face is formulated as cubic of friction velocity by Craig-Banner relation. It is not well verified in general conditions including wave conditions and shallow water environment. This study estimates effects of wave conditions on vertical mixing processes at the ocean upper layers in the stormy condition. The field observation was conducted during typhoon Melor in 2009. The observed water temperature distributions indicate importance of wind and wave induced mixing in the nearshore. The numerical results show that the wave induced vertical turbulent flux significantly influences on the water temperature and the current, respectively.
著者
岩部 紫織 森 信人 中條 壮大 安田 誠宏 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_1465-I_1470, 2016

観測資料にもとづき,過去に観測された高潮イベントから特定地点の高潮偏差の長期評価を行うことは難しい.この為,サンプル数を確保するための手法と,精度の高い高潮偏差を求める統計モデルの開発が求められている.本研究では,確率台風モデルとニューラルネットワークを用いて,三大湾を対象とした気候変動を考慮した高潮の長期評価を行った.まずニューラルネットワークを用いて,台風情報のみから最大高潮偏差を予測するモデルの構築を行い,その精度検証を行った.ついで,台風の将来変化を考慮した高潮偏差の将来予測を行い,高潮偏差の出現確率分布及び再現期間の将来変化を推定した.
著者
間瀬 肇 森 信人 竹見 哲也 安田 誠宏 河合 弘泰 黒岩 正光
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,温暖化シナリオにもとづく気候変動予測結果をもとに,将来の台風災害,高波の予測災害,高潮災害について定量的な予測方法を確立することを試みた.日本周辺の高波・高潮予測に際しては,適切な台風イベントの抽出とその評価,そして高波・高潮の数値予測が重要となる.このため, 地球温暖化予測結果の下,将来の台風の予測を行った.ついで力学的・統計手法に基づく高波・高潮数値予測モデルを用い,温暖化に伴う高波・高潮災害の予測と評価を行い,将来気候における日本周辺の高波・高潮の顕著な増加を明らかにした