著者
内山 雄介 西井 達也 森 信人 馬場 康之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_481-I_485, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

Oceanic response to a series of typhoon passages is investigated with a triply-nested oceanic downscaling model forced by the assimilative GPV-MSM reanalysis dataset for the coastal marginal sea off Kii Peninsula, Japan. Temperature is decreased about 2 degrees for 2 weeks during three typhoons passing by. An EOF analysis decomposes the modeled SST properly into 1) a seasonal signal as a linear trend attributed to enhanced vertical mixing and mixed layer deepening due to the seasonal surface cooling in the 1st mode, 2) coastal upwelling at several locations through the Ekman transport due to the stormy surface wind field in the 2nd and 4th modes, and 3) SSH changes caused by the meso- and submeso-scale, cyclonic cold eddies near the topography and subsequent eastward transport by the Kuroshio in the 3rd mode.
著者
馬場 康之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_553-I_558, 2018 (Released:2019-12-05)
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究は,黒潮の非蛇行期(2017年)および蛇行期(2018年)における水温の変動特性について,和歌山県田辺湾の湾口部で冬季に観測された水温データに基づいて考察を行ったものである.黒潮の非蛇行期には,紀伊半島西岸沿いを北上する暖水波及の影響が顕著であり,水温の急変が発生する頻度が蛇行期に比べて多い.一方の蛇行期にも暖水が南側から波及するものの,暖水波及の頻度及びその規模が大きく減少し,紀伊半島南端に近い地点での水温変化との相関にも顕著な差のあることが確認された.また,観測期間中に確認された顕著な水温変動が両期間ともに約30日周期で発生しており,別時期の水温計測結果においても同程度の変動周期が確認されていることから,長周期の変動が観測地点の水温変動特性にも関与している可能性が示唆された.
著者
水谷 英朗 馬場 康之 平石 哲也 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_925-I_930, 2018

本研究は,過去に養浜が実施されている南紀白良浜海岸を対象に,海浜地形のモニタリングと各気象イベント毎の短期的な海浜変形特性を現地計測により把握した.現地計測より2017年の6月から9月の期間に高波浪をもたらした6/21低気圧及び台風5号および18号の各気象イベント毎の白良浜の海浜砂の移動実態を捉えることができた.2017年は沖側への養浜砂の流出がそれほど大きくなく,海浜砂の大部分が後浜へ打ち上げられていることが計測土砂量から確認された.また,SWANおよびXBeachを用いた波浪・海浜流の数値シミュレーションを実施した結果,海浜中央部の高波と浜中央部沖地点の海浜流が再現され,北部の権現崎岩礁部域の砕波による運動量輸送により時計回りの海浜流場が形成されることが示された.
著者
馬場 康之 今本 博健 吉岡 洋 山下 隆男
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.421-430, 1999-04

本報では, ADCP(AcousticDopplerCurrentProfiler)による海浜流の鉛直分布に関する現地観測の概要とその結果について報告する。本現地観測は, 「鹿島灘での海象の共同観測」の一環として運輸省港湾技術研究所波崎海洋観測施設において行われたもので, 1998年9月13日から10月7日にかけて実施された。観測内容はADCPによる流速分布計測の他に, 超音波波高計による波浪観測も行われた。沿岸方向の流動は海上風との対応がよく・水深方向に一様な流れ場となっていた。台風5号が観測地点付近に接近した際には, 全水深にわたって強い沖向きの流れも観測された。Nearshore current, which is a coastal current in the nearshore zone, is mainly generated by breaking waves inside the surf zone and winds in the wide area of the coastal zone. In order to investigate vertical distribution of nearshore current, the field observation was performed by using high frequency ADCP (Acoustic Doppler Current Profiler) installed on the sea bottom at Hazaki Oceanographical Research Station (HORS).Longshore currents are strongly related with longshore components of the wind speed, and vertical distribution of longshore currents is almost uniform. On-offshore currents have characteristics of shear flow, and strong offshore currents were observed under the strong wind condition
著者
久保 慎也 二宮 順一 森 信人 馬場 康之 水谷 英朗 久保 輝広 内山 雄介 渡部 靖憲 山田 朋人 大塚 淳一 猿渡 亜由未
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_487-I_492, 2016
被引用文献数
1

台風イベント時の水温躍層の破壊・再形成のプロセスに着目して,観測データの解析を行うことでプロセスの経過について検討した.水温躍層は水域内の流動に大きな影響を与え,水質問題が生じる要因にもなるため,詳細な現象の把握が求められている.そこで本研究では,台風イベント時の観測データからブラント・バイサラ振動数およびリチャードソン数を算出し,成層の安定性を評価した.その結果,密度成層期には,まず高波浪により成層の安定が崩され強風により更に不安定さが促進されるという仮説を得た.また,混合期は成層が不安定で,台風接近前からシア流の不安定が生じていて混合が生じていることがわかった.これらの結果を踏まえて,更にTS図を作成し混合期の水塊の特性を評価した.
著者
戸田 圭一 石垣 泰輔 宇野 伸宏 米山 望 川池 健司 馬場 康之 小谷 賢太郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

実物大の階段・通路模型、車模型を用いて水害時の避難限界指標を作成した。統合型の都市水害モデルを用いて内水氾濫時の地下浸水解析を行い、避難限界指標を援用して地下空間の避難困難度ゾーンマップを作成した。小・中規模地下空間の浸水時の危険性も明らかにした。また内水氾濫解析と交通量解析を結びつけ、内水氾濫時の道路交通障害を評価できる手法を開発した。さらに都市水害対策として、地下空間を有効活用した治水施設の有効性を確認した。
著者
川池 健司 馬場 康之 武田 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近年、豪雨によって頻発している内水氾濫を実験室で再現するため、内水氾濫実験装置を作成した。この装置を用いて内水氾濫を発生させ、数値解析モデルの結果と比較した。その結果、内水氾濫の発生の有無および浸水規模を規定する、地上と下水道管渠の雨水のやり取りを扱うモデルとして、従来の段落ち式と越流公式では両者の間の流量を過剰に評価してしまうことが明らかとなった。当面の措置として両公式中の流量係数の改正値を提案したが、今後は新たな定式化も視野に入れた更なる検討が必要と考えられる。