著者
森下 正修 本島 優子 Masanao MORISHITA Yuko MOTOSHIMA
出版者
京都府立大学福祉社会学部福祉社会研究会
雑誌
福祉社会研究 (ISSN:13471457)
巻号頁・発行日
no.4, pp.41-51, 2004

本研究では、親が子どもについて日常的に抱いている発達への期待と、子どもに対する叱る行為、および子どもの行動実現の三者の関係について検討した。設定された7領域の行動のすべてにおいて、当該行動についての親の発達期待が高いほど子どもの行動実現も進んでいることが明らかとなった。ただし、親の発達期待の高さは叱る行為の増加には必ずしもつながらないこと、また叱る行為の持つ行動実現への効果はほぼ認められないかもしくは負の影響を及ぼすことが示された。こうした結果から、親が子どもに対して抱いている素朴な発達期待は、ある行動ができないことを叱るという行為を媒介せずに、他の何らかの意識的・無意識的な方法を通じて、子どもの行動の獲得を促進させることがわかった。
著者
雨越 康子 森下 正修
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.339-350, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
44

本研究では,集団での絵本の読み聞かせ方法を工夫し長期間(約100日)実施することで,幼児の語彙力やワーキングメモリ(WM)等の認知能力に向上が見られるか否かを検討した.実験群では,保育園で子どもたちに同一絵本を3,4日反復して読み聞かせし(文中の言葉の記銘,想起を求める群と求めない群があった),統制群では保育園で通常通り毎日異なる絵本を読み聞かせした.読み聞かせの前後で言語性・視空間性WM,短期記憶,語彙力を測定し2群の変化を比較した結果,同一絵本を反復読み聞かせした2つの実験群は統制群よりも語彙力が有意に上昇していた.また,家庭での読み聞かせ頻度は,読み聞かせによる言語性WM や語彙力の伸びやす さに関連する可能性が示唆された.
著者
松原 斎樹 石田 正浩 森下 正修 飛田 国人 松原 小夜子 藏澄 美仁 烏雲 巴根 柴田 祥江 白澤 ちあき 池田 佳奈
出版者
京都府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

温暖化対策には技術面だけでなく,人々の環境配慮意識・行動を促進するアプローチも重要である。本研究ではラジオ放送の涼しい音楽企画と学生祭典が,人々の環境配慮意識や行動を促進する効果について考察することを目的としている。研究の結果,1)当初から環境配慮意識の高い人はこれらの企画に参加することで更に環境配慮意識の向上が見られた。2)環境配慮意識があまり高くない人でも,これらの企画に参加することで環境配慮意識が向上し,環境配慮行動促進に繋がる可能性が示唆された。
著者
大塚 結喜 森下 正修 近藤 洋史 苧阪 直行
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.131-136, 2003

The present study examined the relationship between reading comprehension and two processes of the inhibitory mechanism. Forty-six participants performed reading comprehension test and three conditions of the reading span test (RST): distractor, interference, and control conditions. In the RST, participants were instructed to read sentences aloud while holding target words in each sentence. The distractor and interference conditions required the ability to inhibit distractor information in the context, and to suppress no-longer-relevant information within working memory, respectively. The results showed that performance was lower in the distractor and interference conditions than in the control condition, and that reading comprehension score was significantly correlated only with performance in the interference condition, with neither the distractor nor control condition. We conclude that the suppression of no-longer-relevant information contributes to the correlation between the RST and reading comprehension, while two inhibitory abilities play an important role in the RST performance.