著者
澤島 智明 松原 斎樹 藏澄 美仁 松原 小夜子 荒井 麻里
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.554, pp.69-76, 2002-04-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
22
被引用文献数
6 3

The indoor thermal environment and the residents' lifestyle in 8 thermally insulated prefabricated houses in the Kansai area were investigated. This report discusses the heating, room temperature, and usage of living space in these houses, comparing it with houses without insulation. The results are summarized as follows : 1) The residents of the prefabricated houses use kotatsus (tables with small heaters to warm the legs under the table and a skirt around the table to hold the heat in) and electric carpets because of the low temperature just above the floor level and additional heating apparatus because of the morning coldness. The room temperatures, however, are higher than in the houses without insulation. 2) In the houses without insulation, lack of heat retention causes the low temperature just above the floor level. In the prefabricated houses, it is caused by insufficient heater capacity and intermittent heating. 3) When the residents want to relax in the living room, they can't choose the seating style except sitting on the floor directly to use kotatsus or electric carpets because of the low temperature.
著者
松原 小夜子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.60, no.469, pp.65-76, 1995-03-30 (Released:2017-01-27)
参考文献数
34
被引用文献数
3 3

1)住宅階層をとらえる指標を延床面積に置いて,延床面積と主要イ>テリア要素との関連性をみると,延床面積ともっとも関連が深いイ>テリア要素はイス・ソファーの張地と様式である。2)イス・ソファーの張地と様式を基準にすると,洋風居間のイ>テリア要素全般に差異が認められることから,洋風居間のイ>テリアは,(1)革張,(2)布張クラシック,(3)布張モダ>他,(4)イス・ソファーなしの4つに類型化できる。<革>はフォーマルイメージ,<布クラシック>はエレガントイメージといえ,両者ともに高級感が読み取れる。<布モダン他>はノーマルイメージ,<イス・ソファーなし>はカジュアルイメージといえ,これらは<革>や<布クラシック>に比べると高級感は薄れる。したがって洋風居間のインテリアは,イス・ソファーの張地と様式を基準にするとグレード別およびイメージ別に類型化が可能である。3)インテリア類型と居住者属性との間には対応関係が存在しており,<革><布クラシック>の2類型と<布モダン他>とでは居住者属性においても階層差が存在する。<革><布クラシック>の2類型と<イス・ソファーなし>とは階層差ではなく子供の年齢差である。インテリアイメージでは,<革>はフォーマルイメージ,<布クラシック>はエレガントイメージといえるが,居住者属性においても<布クラシック>は経済力に加えて夫婦ともに多趣味であるなど文化的属性との関連がうかがえる。4)インテリアヘの満足度や変更希望では,<布クラシック>はもっとも満足度が高く次いで<革>が相対的に満足度が高い。<布モダン他>と<イス・ソファーなし>は現在のインテリア要素を取り替えたいといった希望が多い。<イス・ソファーなし>は,いずれはソファーを置きたいという希望がみられる。5)インテリア要素の選択において居住者は雑誌,ショールーム,住宅展示場,広告やカタログといったインテリア情報を参考にしている。インテリア情報のデータを分析すると,インテリア調査の結果と同様に洋風居間のインテリアは4つに類型化できる。インテリア類型と延床面積との関係をみると,延床面積の増加とともに<革>と<布クラシック>が増加する傾向がある。<革>や<布クラシック>のインテリアには,インテリア情報を通じて高級イメージが付与され,<布モダン他>との差異化か生み出されていると推察される。6)以上より,<革>や<布クラシック>のインテリア類型と<布モダン他>のインテリア類型との間には階層的な差異が存在し,この背景にはインテリア情報の影響があることが明らかとなった。この結果から,<革>と<布クラシック>のインテリア類型は,<布モダン他>のインテリア類型との差異によって居住者の社会的属性や文化的属性の高さを表示する役割を果たしていることが推察されるが,この点についてさらに次報以降で考察を深める予定である。<革>や<布クラシック>のインテリア類型の存在は,1980年代後半のバブル経済と無縁でないように思われる。そこで次報では,<革>や<布クラシック>のインテリア類型に差異性が付与されるプロセスを,戦後消費社会の状況とからめながら考察したい。
著者
松原 小夜子
出版者
椙山女学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、住まいの各所を移動して行われる家事作業の特性に着目して、既存住宅と高断熱住宅の比較も念頭におきながら、家事作業時の暑さ感と防暑行為を捉えた。その結果、両住宅区分ともに、「暑さで困っている」との回答は多いが、作業の性質上、冷房利用の効果はあまり期待できないため、既存住宅はもとより高断熱住宅においても、くつろぎ時に比べると冷房利用は少なく、「窓開放」などの様々な防暑行為を行っていることがわかった。家事作業時の暑さ感を緩和するにあたっては、高断熱高気密化や、自然な方法による防暑の工夫などによって、内部空間全体の温度分布が小さくなるような住まいや住まい方が求められることが示唆された。
著者
松原 小夜子 後藤 春香
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.153-160, 2012-11

20代若者を対象として、日常生活における「もったいない」意識と実際の行動を捉えた結果、以下の知見を得た。1)日常生活に関する「もったいない」意識は、食べ物や資源・エネルギー消費に関する項目で高く、消費生活の充実や生活の利便性に関する項目では低い。2)「もったいない」意識に比べると、実際に行動している項目は全般に少なく、行動しない主たる理由は「面倒くさい」「利便性重視」である。3)「もったいない」意識と実際の行動の結果を組み合わせ、4つに類型化すると、「意識低・行動低」が最も多く、次いで「意識高・行動高」と「意識高・行動低」が同程度あり、「意識低・行動高」は少ない。そして、男性よりも女性の方が、意識・行動類型が高い。4)意識・行動類型は、「家庭内で、省資源・省エネルギーについて家族で心がけていることや、無意識に慣習として行っていること」がある場部こは、男女ともに高いなど、「家庭内生活慣習」の有無と関連があることがわかった。
著者
松原 斎樹 石田 正浩 森下 正修 飛田 国人 松原 小夜子 藏澄 美仁 烏雲 巴根 柴田 祥江 白澤 ちあき 池田 佳奈
出版者
京都府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

温暖化対策には技術面だけでなく,人々の環境配慮意識・行動を促進するアプローチも重要である。本研究ではラジオ放送の涼しい音楽企画と学生祭典が,人々の環境配慮意識や行動を促進する効果について考察することを目的としている。研究の結果,1)当初から環境配慮意識の高い人はこれらの企画に参加することで更に環境配慮意識の向上が見られた。2)環境配慮意識があまり高くない人でも,これらの企画に参加することで環境配慮意識が向上し,環境配慮行動促進に繋がる可能性が示唆された。
著者
松原 斎樹 藏澄 美仁 澤島 智明 合掌 顕 大和 義昭 飛田 国人 松原 小夜子 柴田 祥江 福坂 誠 吉岡 むつみ 宮川 鮎子 叢 志超 馬 豫 岩垣 裕紀 桑野 朝子 山崎 彩乃 高見 初音 大塚 弘樹
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ライフスタイルの変更による省エネルギー策の一つとして,視覚・聴覚要因を活用することに注目して,アンケート調査,被験者実験,熱負荷シミュレーション等を行った。視覚・聴覚要因による省エネルギーの可能性は実験室実験だけでなく,実態調査・アンケート調査でも可能性が示唆され,行動が変容できれば,暖冷房エネルギーは約7~8%削減され,また設定温度の変更を想定するとより大きな削減が予想できた。
著者
松原 斎樹 藏澄 美仁 澤島 智明 合掌 顕 大和 義昭 中谷 岳史 飛田 国人 下村 孝 松原 小夜子 下村 孝 松原 小夜子 小東 敬典 中村 知朗 宮田 希 青木 祐樹 井上 ともみ 地濃 祐介 谷村 真由美 櫻井 洵子 大山 哲司
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

暮らし方による暖冷房使用期間の変更による省エネルギー効果は, 次世代モデルでは暖房で最大17%, 冷房で最大32%, 無断熱モデルでは暖房で最大27%, 冷房で最大28%であること推定された。また, 補助暖冷房器具を併用した場合の省エネルギー効果は, 次世代モデルでは暖房で最大27%, 冷房で最大22%, 無断熱モデルでは暖房で最大27%, 冷房で最大37%であると推定された。
著者
松原 斎樹 松原 小夜子 蔵澄 美仁 富田 道男 飯塚 英雄
出版者
京都府立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

5年度に行った冬季調査結果のまとめと反省をもとに夏季調査の項目を決定して昨年冬季と同じ住戸を対象にして夏季のヒアリング調査と熱環境測定を行った。また,吹き抜けを持つ住戸を5戸(内1件はソーラーハウス)を選定し6年度夏期.冬期のヒアリング調査および熱環境測定を行った。また,昨年度ヒアリング調査の対象住戸と同一構造の住戸約50件の郵送調査を夏季・冬季に行った。室温の実測データから実生活における体感温度の推定を行うためにはより正確な熱収支量を知る必要があるため,正座位人体と周囲壁面との有効放射面積と形態係数を求める実験を行い,姿勢の違いに体感温度の差を推定をした。一般住戸の夏期の調査結果ではクーラー使用を控えて通風によって生活したいという要求が満たされない住戸が多い。また冬期調査では30m^2を上回る広いLDK空間でも直接的な寒さの不満は少ないが,こたつ・ホットカーペットで足元寒さに対処する住戸は多く,開放式器具による空気汚染の問題も予想されるが今回は空気質の測定は行っていない。吹き抜け住戸では夏の通風は有利であるが設計によってはあまり涼しく住めていない。また冬期は電気床暖房により採暖的に生活している2例,かなり寒い1例など十分に寒さを意識した計画はなされているとはいない。空気集熱式のソーラーハウスでは床暖房方式であり,足元の冷えがないために起居様式の季節差も少ない。今回の知見では初歩的な配慮によって熱環境を改善する手段が見いだされる例が多いので,そのような設計指針を設計者に啓蒙することによる改善が重要であると考えられる。