著者
長谷川 浩二 尾野 亘 森崎 隆幸 米田 正始 平家 俊男 森崎 隆幸 米田 正始 平家 俊男
出版者
独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

心不全のより根本的治療を確立するためには、心筋細胞情報伝達の最終到達点である核内の共通経路を標的とした治療法を確立する必要がある。我々は内因性ヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を有するp300とGATA帳写因子群の窃力(p3O0/GATA経路)が心不全発症における遺伝子発現調節に極めて重要であることを示した(Mol Cell Biol 2003; 23: 3593-606、Circulation 2006: 113: 679-90)。本研究においては、p300によるGATA4のアセチル化部位を同定し(J Biol Chem. 2008;283:9828-35)し、またp300の特異的アセチル化阻害作用を持つクルクミンが心不全の進行を抑制することを高血圧性心疾患ならびに心筋梗塞後の2つの慢性心不全ラットモデルにおいて証明した(J Clin Invest 2008;118:868-878)。一方、心筋細胞の脱落が激しい末期心不全の根本的な治療には心筋再生療法が必須である。我々は、多分化能と無限増殖能を持つ胚性幹(ES)細胞において、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)による刺激が、ヒストンや転写因子GATA4をアセチル化し、心筋分化効率を著名に上昇させることを見出した(J Biol Chcm 2005; 280: 19682-8)。本研究においては、マウス胚性幹(ES)細胞においてCyclin dependent kinase (CDK) 9が転写調節因子GATA4と結合し、その分化に関与していること(2007年11月, American Heart Association にて発表)、ES細胞の分化過程で発現が上昇するmiRNA-1がCDK9の翻訳抑制を通じて心筋分化を負に制御しているという新たな知見を得た(Circ J in press)。ES細胞と同様の多分化能と無限増殖能を持つ人工多能性幹(iPS)細胞において心筋分化システムを確立し、iPS細胞の株間には大きな分化効率の差異が存在すること、心筋分化効率が極めて低いiPS細胞株でもTSAにより、著明に心筋分化が亢進することを見川した(2008年Rcgenerative Medicine & Stom Collで発表)
著者
位田 隆一 甲斐 克則 木南 敦 服部 高宏 ベッカー カール 藤田 潤 森崎 隆幸 山内 正剛 増井 徹 浅井 篤 江川 裕人 加藤 和人 熊谷 健一 玉井 眞理子 西村 周三
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、ゲノム科学、再生医療、臓器移植、ヒト胚研究等の生命科学・医学の諸分野の科学的発展と課題を明らかにし、そこに生じうる倫理的法的社会的問題を把握し、学際的に理論的および実際的側面に配慮しつつ、新しい社会規範としての生命倫理のあり方と体系を総合的に検討して、生命倫理基本法の枠組みを提言した。具体的には、生命倫理基本法の必要性と基本的考え方、生命倫理一般原則群、分野別規範群、倫理審査体制、国や社会の取り組みを提示した。それらの内容は国際基準及びアジア的価値観とのすり合わせも行った。