著者
林 衛 加藤 和人 佐倉 統
出版者
裳華房
雑誌
生物の科学 遺伝
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.30-34, 2005-01

科学コミュニケーションとは何か,それがいままでの「科学普及」や「科学啓蒙」とどう違うのか,なぜその概念が有効なのか,とくに生命科学でこれを考えることの意味をさぐるのが,本特集のねらいである.科学をいままで以上に深く考え楽しみながら,専門家と非専門家,あるいは一般市民がつながりをもって社会の中に本当に必要な科学を育んでいけるようになるために,いま双方向・多方向の科学コミュニケーションが求められている.そのためには,情報を共有し,交流をしながら,研究者も一般市民も同時に高まっていけるしくみが必要だ.
著者
小原 雄治 加藤 和人 川嶋 実苗 豊田 敦 鈴木 穣 三井 純 林 哲也 時野 隆至 黒川 顕 中村 保一 野口 英樹 高木 利久 岩崎 渉 森下 真一 浅井 潔 笠原 雅弘 伊藤 武彦 山田 拓司 小椋 義俊 久原 哲 高橋 弘喜 瀬々 潤 榊原 康文
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動では、支援課題の公募を行い、領域外有識者による審査委員会により選考し、支援を行った。経費上限設定など多くの採択ができるように努めた結果、応募188件、採択93件(採択率49.5%)となった。支援の成果として2017年度に54報の論文発表がなされた。②大規模配列解析拠点ネットワーク支援活動においては、最先端技術を提供するためにそれらの整備や高度化を進めた。遺伝研拠点では染色体の端から端までの連続した配列完成を目指して、ロングリードシーケンサー(PacBio Sequel)、長鎖DNA試料調製技術、さらに1分子ゲノムマッピングシステム(Irysシステム)の最適化を進め、実際の試料に応用した。東大柏拠点では、1細胞解析技術を整備し支援に供するとともに、Nanopore MinIONを用いた一連の要素技術開発を進めた。九大拠点では微生物ゲノムのNGS解析最適化を進めた。札幌医大拠点ではLiquid Biopsyによる体細胞における低頻度変異検出技術開発を進めた。③高度情報解析支援ネットワーク活動では、支援から浮かび上がった課題を解決するソフトウェアの開発を進めた。支援で特に活用されたものは、真核2倍体用denovoハプロタイプアセンブラPlatanus2(東工大)、染色体大規模構造変異高精度検出アルゴリズムCOSMOS、変異解析結果の信頼性を評価するソフトウェアEAGLE(以上、産総研)、エクソン・イントロン境界におけるスプライソソーム結合頻度の解析パイプライン(東大)、であった。また、CLIP-seqデータの解析パイプライン、高速オルソログ同定プログラムSonicParanoid、ロングリード向けアラインメントツールminialign(以上、東大)は今後の活用が予想される。高度化等の成果として48報の論文発表がなされた。
著者
標葉 隆馬 川上 雅弘 加藤 和人 日比野 愛子
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-32, 2009-09

In modern times, there is a growing need for scientists' active participation in science communication. However, scientists' current attitudes toward science communication are unclear, despite the fact that scientists are one of the main actors of science communication. In order to consider the effective participation of scientists in science communication, a survey on scientists' attitude is necessary. To this end, an Internet-based questionnaire survey to researchers in life science fields was conducted in 2008, and 1255 respondents were obtained. The results show the attitudes concerning 1) motivation, 2) hurdle for participating in communication, and 3) way of promoting communication, between strongly active scientists and less strongly active scientists. From the result, we considered the issues of science communication in two aspects: infrastructure and variety of awareness. These are important factors for promoting science communication: infrastructure which makes opportunities for communication constantly without the need for a lot of preparation by scientists, and new communication tools and designs especially of scientists who have less positive view of science communication.
著者
村岡 悠子 加藤 和人
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.37-45, 2021-09-28 (Released:2022-08-01)
参考文献数
40

昨今、民間保険会社において遺伝情報の利用規制に関する検討が重ねられている。本稿では、契約後に発病した被保険者の疾病が遺伝性疾患であることを理由に、支払査定時に「先天性条項」を適用して保険会社の免責を認めた裁判例から、遺伝情報の利用規制において検討すべき課題を明らかにする。同裁判例は、遺伝子検査によらず臨床診断に基づき遺伝性疾患と診断された場合、被保険者が当該疾患により不利益な取り扱いを受けても遺伝情報に基づく差別的取扱いと認識されないこと、そのため、遺伝情報の利用規制によっても不利益取扱いを回避できず、規制の趣旨を没却する可能性があることを示唆する。医療情報と遺伝情報の峻別が困難であることを前提に、利用規制が対象とする「遺伝情報」とは何なのか、議論を尽くす必要がある。さらに、遺伝性疾患を有する者に生じる本裁判例のような不利益に対しどのような介入が可能なのか、保険業界のみならず社会全体でのオープンな議論が望まれる。
著者
位田 隆一 甲斐 克則 木南 敦 服部 高宏 ベッカー カール 藤田 潤 森崎 隆幸 山内 正剛 増井 徹 浅井 篤 江川 裕人 加藤 和人 熊谷 健一 玉井 眞理子 西村 周三
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、ゲノム科学、再生医療、臓器移植、ヒト胚研究等の生命科学・医学の諸分野の科学的発展と課題を明らかにし、そこに生じうる倫理的法的社会的問題を把握し、学際的に理論的および実際的側面に配慮しつつ、新しい社会規範としての生命倫理のあり方と体系を総合的に検討して、生命倫理基本法の枠組みを提言した。具体的には、生命倫理基本法の必要性と基本的考え方、生命倫理一般原則群、分野別規範群、倫理審査体制、国や社会の取り組みを提示した。それらの内容は国際基準及びアジア的価値観とのすり合わせも行った。
著者
加藤 和人
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

ゲノム研究と関連の応用技術について市民やその他の非専門家が理解を深めるための活動、およびゲノム研究者と市民・非専門家との双方向のコミュニケーションのための活動を効果的に実施するための留意点を、「ゲノムひろば」などの実践活動を通して明らかにした。高度な科学研究をテーマにするためには科学とイベント開催の両方についての知識と経験を持つ専門的人材の配置が必要であること、倫理的・社会的課題については別途議論の場をデザインする必要があることが示された。