著者
木下 順弘 蒲原 英伸 藏元 一崇 池田 公英 入江 弘基 笠岡 俊志 浅井 篤
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.323-326, 2014-10-20 (Released:2014-10-20)
参考文献数
5

【症例】30代女性,妊娠25週.軽乗用車の後部座席に乗車中,他車と衝突し受傷した.来院時意識清明であった.多発外傷の治療中,原因のはっきりしないびまん性脳腫脹をきたした.神経学的所見,平坦脳波より脳死状態と診断した.家族は母体の延命を希望せず,挙児の希望があり,脳死後4日目に帝王切開術にて718gで出生し,まもなく母体は心停止した.世界的にも脳死母からの出生は極めてまれであり,本例の方針決定の経過を報告する.
著者
小林 志津子 関本 美穂 小山 弘 山本 和利 後藤 英司 福島 統 井野 晶夫 浅井 篤 小泉 俊三 福井 次矢 新保 卓郎
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.29-35, 2007-02-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
23
被引用文献数
3

1) 日本の医学生が臨床実習中に受ける不当な待遇 (medical student abuse) に関する報告はこれまでされていなかった.2) 日本の医学生を対象にしたわれわれの調査では, 回答者の68.5%が, 何らかのmedical student abuseを臨床実習中に受けたと報告した.3) 臨床実習においては, 指導医の「neglectやdisregard」があると学生の実習意欲を顕著にそぐことが回答者の意見から推測できた.4) 医学教育の関係者はmedical student abuseに注意を払い, 防止策を講じる必要がある.
著者
浅井 篤 福井 次矢
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.103-108, 1997-09-08 (Released:2017-04-27)
参考文献数
7

臨床現場で患者の診療に当たっている医師は、日常的に多岐にわたる倫理的問題にしばしば直面している。この論文では、筆者らが実際に経験した2つの症例を提示し、13項目のジレンマ検討のための枠組みを用い、倫理的分析を試みた。この枠組みには、(1)何が問題となっているか、(2)誰が問題としているか、(3)どのような医学的状況か、(4)医療関係者の判断はどのようなものか、(5)患者の解釈モデル、希望は何か、(6)家族の希望はどのようなものか、(7)感情的、利害問題の有無、(8)関係者間のどこに不一致があるのか、(9)いかなるジレンマ解消の努力がなされたか、(10)どのような意思決定がなされ、その根拠はなにか、(11)関係者は納得しているか、(12)関係者は満足しているか、(13)下された判断の倫理的妥当性はどうか、が含まれている。また、どのような倫理原則に従った判断が妥当であるかも考察した。
著者
浅井 篤 石本 博子
出版者
熊本大学
雑誌
先端倫理研究 : 熊本大学倫理学研究室紀要 (ISSN:18807879)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.25-35, 2014-03

Should we respect treatment refusal of incompetent patients who cannot decide forthemselves? What principle or reason could justify compulsory interventions against the patients' will? This paper deliberates various factors that possibly influence our attitudes toward an incompetent patient's refusal of treatment. Issues discussed would include standard treatments at a given time in a given culture, advance directives, perpetuity of incompetency, nature of refusedinterventions, alternatives, emergency, ethical and medical uncertainty, ourdiscriminatory feeling, human dignity, fundamental liberty, and patient's moralobligations. We conclude that compulsion against incompetent patients should beexceptional and must not be forced unless there is a serious reason.
著者
尾藤 誠司 早野 恵子 野村 英樹 大西 弘高 浅井 篤 大生 定義 竹村 洋典
出版者
独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

<研究の目的>医療を受ける側と提供する側が信頼しあいながら医療サービスが成立するために、現在解決されなければならない問題はいくつもある。我々研究班は、2年間の事業の中で、現在起こっている医療に関する問題点について、医師のプロフェッショナリズムの視点から考察し、実証的な根拠を提示するとともに、プロフェッショナリズム推進への方略や、プロフェッショナリズム涵養のためにあるべき教育について多面的な研究事業を行なうことを目的とした。各事業に先立ち、我々は、まずインターネットによるW.EB掲示板機能を用いた「WEB討論会」を開催した。その内容を基礎資料として、以下の分担事業を行った。<医師の思考と職業意識に関する論考集の出版>分担研究者を中心とした医師の思考を文化人類学的に考察した『医師アタマ』を出版するとともに、事例を基にした論考連載「白衣のポケットの中:医師のプロフェッショナリズムについて考えるフォーラム」をおこなった。<医師が持つべきプロフェッショナリズムに関する質的調査および量的調査>医師が持つべきプロフェッショナリズムの内容に対し、医療専門職や患者、市民等に対して質的インタビューを行い概念の整理を行った。その上、医師の態度と行動に対する調査を、医師、患者、市民に実施し、結果の比較を行った。<医師のプロフェッショナリズム推進および教育事業>映画や事例の振り返りによる、医師の態度教育に関する教育ツールを開発し、有用性の観察を行った。<良質な医療サービスを提供するために必要な就労環境についての調査>医師の就労環境改善を提言するための現状調査を行った。以上の調査等を踏まえ、複数の種類にわたる医療専門職のほか、倫理学、メディエーター、マスコミ関係者、患者を代表する者等による合同ワークショップ「ともに考える医療ワークショップ」を開催し、医療者行動規範宣言書の草案を作成した。
著者
位田 隆一 甲斐 克則 木南 敦 服部 高宏 ベッカー カール 藤田 潤 森崎 隆幸 山内 正剛 増井 徹 浅井 篤 江川 裕人 加藤 和人 熊谷 健一 玉井 眞理子 西村 周三
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、ゲノム科学、再生医療、臓器移植、ヒト胚研究等の生命科学・医学の諸分野の科学的発展と課題を明らかにし、そこに生じうる倫理的法的社会的問題を把握し、学際的に理論的および実際的側面に配慮しつつ、新しい社会規範としての生命倫理のあり方と体系を総合的に検討して、生命倫理基本法の枠組みを提言した。具体的には、生命倫理基本法の必要性と基本的考え方、生命倫理一般原則群、分野別規範群、倫理審査体制、国や社会の取り組みを提示した。それらの内容は国際基準及びアジア的価値観とのすり合わせも行った。