著者
森田 勲 山口 明彦 須田 力
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.631-639, 2002-11-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本研究はショベリング除雪に必要な,パワーおよび身体資質の関係を明らかにすることを目的に行なった.258名の男子大学生が被検者となったが,その内訳は,積雪地出身者(SG)が126名で,非積雪地出身者(NSG)が132名であった.それぞれ握力,背筋力,脚伸展パワーの測定を行なったほか,5 kgと10 kgの負荷によるショベリング投擲を行なった.両グループの身長,体重,筋力および脚伸展パワーの平均値に有意な差が認められなかったにもかかわらず,投擲距離においてはSG群がNSG群を上回り,5 kg負荷時(6.5±1.3 m vs 5.9±1.1m)と10 kg負荷時(4.2±0.77 m vs 3.9±0.79m)で有意な差が認められた.投擲距離とそれぞれの測定項目との間に有意な相関関係が認められたほか,SG群を除雪の実施状況に応じたグループに分けて比較をしたところ,常習的に行なっていたグループが,ほとんどしないグループおよびNSG群を上回る結果が得られた.これらのことから,ショベリング除雪能力を規定する因子として,体力と技術の関与が示唆された.
著者
志渡 晃一 森田 勲 竹内 夕紀子 佐藤 陽香 山田 耕平
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-85, 2004
被引用文献数
2

若年者における体型意識の実態をあきらかにすることを目的として、看護福祉学部臨床福祉学科と医療福祉学科医療福祉専攻の男女学生377名を対象にアンケート調査を実施した。BMIをもとに体型を「痩せ群」BMI<20、「標準群」20≦BMI<24、「肥満群」BMI≧24の3群に分類し、特に「痩せ群」の体型意識に焦点を当てて、性別特性を検討し、以下の結果を得た。1)現在の体重をもとに算出したBMI「現実BMI」の値(平均値±標準偏差)は、男(21.6±2.6)に比べて女(20.0±2.3)で低かった。体型分類別にみると、男では「標準群」(60%)が最も多く、ついで「痩せ群」(25%)、「肥満群」(15%)だったのに対して女では「痩せ群」(60%)が最も多く、次いで「標準群」(36%)、「肥満群」(4%)の順だった。2)「現実BMI」と美容面からみて理想であるとした体重をもとに算出した「美容BMI」および健康面からみて理想であるとした体重をもとに算出した「健康BMI」の3者を比較村照した結果、男ではそれぞれ(21.6±2.6): (21.1±2.0): (21.6±3.3)と3者間に差がないのに村して、女では(20.0±2.3): (18.2±1.2): (18.7±1.8)と「現実BMI」に比べて「美容BMI」「健康BMI」で有意(p<.05)に低く、痩せ志向が窺われた。3)「現実BMI」「美容BMI」「健康BMI」の3者について、「痩せ群」を性別にみると、男では(18.5±1.1): (20.1±1.4): (20.5±1.2)と理想に向けて体重を増加させようとする傾向があるのに対して女では(18.6±1.0): (17.7±0.8): (18.1±2.0)とむしろ減少させようとする傾向を示した。4)現在の体型について「普通より太っている」と認識している率は、男(37%)に比べて女(54%)で有意(p<.05)に高かった。体型分類別にみると、男の「痩せ群」(0%)、「標準群」(42%)に比べて女の「痩せ群」(32%)、「標準群」(85%)で有意(p<.05)に高かった。反対に「普通より痩せている」と認識している率は、男の「痩せ群」(70%)に比べて女の「痩せ群」(9%)で有意(p<.05)に低かった。5)体型の変化について「現在より痩せたい」と志向している率は、男(54%)に比べて女(91%)で有意(p<.05)に高かった。体型分類別では、男の「痩せ群」(13%)、「標準群」(60%)に比べて女の「痩せ群」(85%)、「標準群」(100%)で有意(p<.05)に高かった。反対に「現在より太りたい」と志向している率は、男の「痩せ群」(47%)に比べて女の「痩せ群」(5%)で有意(p<.05)に低かった。6)理想の美容体型として、筋肉質体型を選んだ率は男(84%)、女性(52%)だった。「痩せ群」についてみると男に比べて女で細め日のシルエットを志向している割合が高かった。また、理想の健康体型として、筋肉質体型を選んだ率は男(78%)に比べて、女性(67%)だったが、「痩せ群」において性差はみとめられなかった。7)体型変化を志向する理由に関して、「痩せ群」についてみると、最も高い項目は男では「強くたくましくなりたい」(50%)、女では「体型が気になる」(59%)であった。痩せたい部分に関して最も高い部位は、男では「胴回り」(75%)、女では「もも」(70%)であった。8)ダイエットに関する情報源については、男では民放テレビ(58%)から得るという回答が最も多く、女性は週刊誌(57%)から得るという回答が最も多かった。また最も回答が少なかったものは新聞や教養書、インターネットからであった。全体に男に比べて女でマスメディアからの影響を多く受けていることが示唆された。
著者
須田 力 河口 明人 森田 勲
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
no.97, pp.1-25, 2005

豪雪地住民の冬季の身体活動の実態を明らかにし在宅での自発的なトレーニングによる体力の変化を検討するため,豪雪地帯の栗沢町,特別豪雪地帯の三笠市および士別市の中高年者を対象に,運動実施記録による調査(三笠市および士別市),無雪期及び積雪期の生活における身体活動の強度測定(三笠市),降雪始めと降雪終了期の2回の体力測定(3地域)を行った結果,⑴除雪の運動時間が歩行を上回ること,⑵無雪期の畑仕事,歩行,積雪期の歩行よりも除雪の運動強度が酸素摂取量,心拍数とも高いこと,⑶降雪始めに対して降雪終了期には男女共6分間歩行において有意な向上を示し,全般的に体力が向上したものの血圧値が増加傾向を示すなど,豪雪地域特有の特徴が浮き彫りにされた。これらの結果から,冬季間は運動不足により体力が低下するという問題が必ずしも妥当しない現実と除雪の効果と問題点を考慮した運動指導の必要性が明らかとなった。
著者
森田 勲
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
no.97, pp.27-39, 2005

本研究の目的は,自重を中心とした筋力トレーニングが豪雪地で暮らす高齢者の身体資質に与える効果について検討することである。23名の男性高齢者(65.6±5歳)と28名の女性高齢者(64.1±5歳)に対し筋力レベルの向上を目指すための,スクワット,シットアップおよびプッシュアップなどの自重を中心としたトレーニングを週に2回のペースで4ヶ月実施した。トレーニング期間の前後で握力,脚伸展パワー,6分間歩行およびショベルパワーテストの測定を全被検者に対して行ったところ,男性高齢者における6分間歩行および両グループの脚伸展パワーの値に1%水準の有意な変化がみられたほか,両グループのショベルパワーテストの値で5%水準の有意な変化がみられた。しかし,コントロールグループでは有意な変化はみられなかった。また,すべてのグループでショベルパワーテストと脚伸展パワーとの間に有意な相関がみられた。これらの結果から,本研究で用いた自重を中心とした筋力トレーニングプログラムが除雪能力や脚パワーの向上に役立ち,豪雪地で暮らす高齢者の日常生活における身体負担の軽減や不活動性に対して効果を発揮することが示唆された。
著者
須田 力 河口 明人 森田 勲
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

豪雪地住民は、冬季に雪道歩行や除雪のようなきつい作業があるにもかかわらず冬季間不活動になり勝ちとなる。本研究は、(1)身体活動の運動強度の測定、(2)中・高年の人たちの生活機能を高める在宅トレーニングの介入研究、(3)筋力トレーニングと有酸素運動のための簡易で安価な在宅トレーニング用具の開発、を行った。主な知見は以下の通りである。1.雪上路面の歩行や除雪のような冬季の身体活動の酸素需要量は、無雪期よりも多くなる。2.運動介入は、栗沢町、三笠市、士別市の中・高年者110名に対して、積雪期入りの第一回の測定時における運動ガイダンス、参加者へのダイレクト・メールによる運動の奨励、カレンダーによる運動と健康づくりの情報提供によるものであった。冬季明けの第2回目の測定に参加した男性25名において、握力、上体起こし、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行およびADL得点に、女性20名において6分間歩行に有意な向上を示した。しかしながら、安静時血圧は収縮期、拡張期とも冬季間で上昇する傾向が見られた。3.ステップエクササイズ用にステップ数がカウントされる装置を、スイッチング・センサーと安価な電卓を利用して試作した。ゴムチューブ、座椅子、ディジタル体重計を使用して簡易な脚筋力用具を試作した。これらの用具は、運動実施者が歩行距離、ステップ昇降高さ、発揮した筋力をモニターできるため、冬季の在宅トレーニングに有用と考える。