著者
森 祐馬 榎堀 優 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.12, pp.1-6, 2013-10-29

不良姿勢での生活は,肩凝りや筋肉の痛みなどの身体的悪影響を発生させる.そこで我々は,一日を通じて負荷の無い姿勢で生活して,肩こりなどの不快な症状を感じること無く一日を終えられるようにサポートするシステムを開発している.本システムは,不良姿勢をとった時に警告を発し,悪化度合いに従って警告の強度を変化させることで,利用者がよい姿勢に近づいたことを理解し,自身で良い姿勢に修正できるようにサポートする.本稿では,姿勢評価部分について言及する.人の姿勢は頭部,背部,腰部の傾きの組み合わせで表現できると仮定し,各部の傾きの組み合わせから姿勢を点数化した.首が垂れた姿勢,前傾姿勢,反り腰の三つの不良姿勢を対象とし,良い姿勢に近づくほど評価が良くなることを確認した.Bad postures yield abnormal load for muscles, and then the load become causes of various pains, such as stiff shoulder. To prevent occurrences of such pains, we are developing a wearable system to assist people in keeping good posture. In this paper, we focus into the sensing and scoring functions of the system. Our prototype uses the head, back, and waist leans measured with three wearable accelerometers to generate posture scores. The scores showed improvements and good correlations in almost cases when subjects changed their posture from bad ones to good ones, in our evaluations.
著者
藪圭輔 榎堀優 間瀬健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.23, pp.1-8, 2014-03-07

Wi-Fi 電波強度を用いた位置推定において,電波強度の揺らぎを考慮して,電波強度分布の一致度から位置を推定する場合,少数回の観測では十分な電波強度分布が得られず,推定精度が低下する問題がある.そこで本研究では,電波強度分布に,通信理論において,多重経路で受信機に到達する散乱信号のモデルに使われるレイリー分布を用いることで,少数回の観測でも精度の高い位置推定を実現することを目指す.電波強度分布にレイリー分布を想定した場合とガウス分布を想定した場合とを比較した結果,観測回数 2 回の場合の位置推定精度を表す F 値は,レイリー分布利用で 0.770±0.235,ガウス分布利用で 0.055±0.054,5 回で同じく 0.871±0.174 と 0.647±0.195 となった.従って,レイリー分布を利用することで,少数回の観測でも高い精度で識別できることが確かめられた.また,レイリー分布は 1 サンプルでも分布の推定が可能であり,F 値で 0.522±0.235 の精度を得た.In Wi-Fi based positioning, RSSI distribution matching is required to realize robustness for RSSI noise that is occurred by humidity change, human movement, and so on. However, RSSI distribution matching is not effective in small-sample-size positioning if it use common distribution such as Gaussian. Thus, in this paper, we propose use of Rayleigh distribution in order to solve the issue. The Rayleigh distribution is a model of scattering signals arrival with multiple paths in communication theory, and is able to estimate its distribution with small-size samples. As an evaluation result, in two samples, the F-measure is 0.770±0.235 with our proposed method, and it is 0.055 ± 0.054 with Gaussian; and in five samples, the F-measure is 0.871 ± 0.174 with our proposed method, and it is 0.647 ± 0.195 with Gaussian. In addition, our proposed method is able to estimate position in only one sample with 0.522 ± 0.235 in F-measure.
著者
名生 貴昭 松井 智紀 榎堀 優 西尾 信彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.5, pp.1267-1278, 2013-05-01

スマートフォンなどに搭載されたセンサの観測値を収集・蓄積し,解析する研究がなされている.我々は,この一連の活動をいわゆるライフログになぞらえてライフログセンシングと呼んでいる.本論文は,蓄積されたその観測値を効率的に解析するためのフレームワークであるDwarfstarを提案する.我々は30か月間にわたってライフログを蓄積してきた経験から,(1)センサごとの観測周期の違いをアプリケーション側で吸収する手間と,(2)分散環境において時系列性を維持しつつ断続的に観測値の増分を処理することを課題とした.本論文では,それぞれの課題について(1)ウィンドウスキャンと呼ぶスキャン操作の拡張と,(2)分割インクリメンタル処理と呼ぶ処理モデルとその分散環境における処理系によって解決した.HBase上に実装したプロトタイプを用いた実験から,ウィンドウスキャンその他の拡張による性能低下が15%程度であり,分割インクリメンタル処理は単一ホストでのみ処理する手法に比べて平均4.1倍高速であることを確かめた.更に,サンプルアプリケーションを用いた開発実験では,開発工数を約三分の一に削減でき,Dwarfstarの有効性を確認した.
著者
大鐘 勇輝 榎堀 優 梶 克彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.145-157, 2023-01-15

医療技術の発達による寿命の延伸と,これにともなう高齢化によって介護業界の人手不足が社会問題となっている.高齢者介護施設では日常生活の介助のほかに,健康維持を目的とした活動量の把握・管理が求められる.そこで本研究では,車椅子使用者を対象とした低コストなモニタリング手法を目指し,BLEビーコンを用いた自走・介助の判別および,活動量の推定手法を提案する.BLEビーコンから発信される電波は,距離の二乗に反比例して減衰するため,受信機との距離によって受信電波強度は変化しやすい.そこで,介助者に取り付けたBLEビーコンの受信電波強度が,各シチュエーション(介助者がいない,介助者が車椅子を押す,介助者が近くを通る)によって異なる特徴を,自走・介助の推定に,車椅子の車輪に取り付けたBLEビーコンの受信電波強度が,車輪の回転によって変化する特徴を,活動量の推定に用いた.評価の結果,自走・介助の推定は93.0%の精度で,活動量推定の指標となる車輪回転数の推定は100.0%の精度で推定できた.