著者
中 久治 土井 敦士 根岸 佑也 梶 克彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.1526-1533, 2017-06-21

スマートフォンの普及により電車内やカフェなどの公共空間で音楽や動画,ゲームを手軽に楽しめ るようになった.それに伴い,イヤホンからの音漏れのような公共空間ならではの迷惑行為も,より顕著 な問題になりつつある.音漏れは周囲の環境音より大きいイヤホンからの漏出音であると捉えられ,音楽 を楽しむ本人が音漏れを聴けず,自身で音漏れに気付きにくい.本研究では,公共マナーの向上をねらい, スマートフォン自体が再生している音に関して音漏れ検出できる機能の実現を目的とする.しかしながら, 音漏れしやすい音域は,イヤホンと環境音に依存して変化する.また,再生する楽曲によっても変化する. そこで本稿では,再生楽曲の周波数特性のうち,イヤホンと環境音ごとの音漏れ特性を考慮し,音漏れす る可能性が高い周波数のみに注目して,マイクからの観測音と比較することで,効果的に音漏れを検出す る手法を提案する.実際に,スマートフォンを用いた楽曲の再生と録音を行い,イヤホンや環境音毎の音 漏れ特性モデルを構築し,提案手法を用いた実験を行い,音漏れ検出が可能であることを確認した.
著者
廖 宸一 廣井 慧 梶 克彦 河口 信夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.13, pp.1-7, 2015-05-04

本研究は,店舗のホームページやブログからクーポンやキャンペーンなどのイベント情報を抽出する方法を提案する.この方法を利用してユーザはをひとつひとつの店舗のホームページの閲覧を必要とせず,イベント情報抽出の網羅性と効率性を支援できる.本提案は Web ページブロック分割およびイベント情報認識の二つのタスクから構成される.一つ目のタスクでは Web ページをタイトルや説明文や日付などのイベント情報を含むブロックに分割する.従来の研究は特定なタグ,画面構成あるいはブロックの機能などを特徴量として Web ページを分割することが多く,半構造化データのイベント情報抽出が難しかった.本研究では HTML 構造解析に基づいて Web ページをブロックに分割する.二つ目のタスクとは分割されたブロックから不用な情報を取り除くため,イベント情報を識別する.本研究では機械学習の手法を用いてイベント情報の識別を実現する.名古屋駅地下街 「エスカ」 と 「ユニモール」 にある店舗 96 軒を対象として行った検証実験とその結果を示す.
著者
梶 克彦 磯村 奎介 高井 飛翔
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.235-245, 2021-01-15

歩行者のステップ認識は,屋内位置推定の一手法である歩行者自立航法(PDR)の構成要素として利用されているほか,歩数計・活動量計といったヘルスケアアプリケーションの根幹を担っている.ステップ認識には,歩行の際にセンサ信号が顕著に周期的な変化を示す加速度センサを用いるのが一般的である.我々はその代替として,角速度や磁気センサによって腰回転をとらえてステップ認識を行う手法を提案してきた.本稿では気圧センサを利用したステップの認識を行う手法について提案する.我々はスマートフォンを手持ちして意識的に腕振りをした場合,密閉型の腰巻きケースにスマートフォンを装着した場合,ズボンのポケットに装着した場合などについて,気圧センサの値が歩行にともなって周期的に変化する現象を発見した.この周期的な変化を,デジタルフィルタ・極値発見・閾値処理といった単純なアルゴリズムでとらえてステップ認識を行う.評価実験によって,推定誤差7.5%程度のステップ推定が可能であると確認できた.このような代替センサによるセンシングは,デバイスやシステム構成時に必要となるセンサ数の削減による省電力化,デバイス小型化,コンピュータリソースの開放につながる.たとえば活動量計は歩数や階段昇降といった情報から計算できるため,従来の活動量計はステップを加速度センサから取得し階段昇降は気圧センサから取得するが,本研究の成果を導入すれば,気圧センサのみによる活動量計の実現が期待できる.
著者
武島 知勲 梶 克彦 廣井 慧 河口 信夫 神山 剛 太田 賢 稲村 浩
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.889-898, 2016-07-06

本研究では意図的に特徴的な磁場を生成する磁場マーカを作成し,環境に設置して歩行者が所持しているスマートフォンのような端末での磁場の計測により位置推定を行う.磁場マーカにより特徴的な磁場を狭い範囲に限定して生成し,磁場マーカからの相対的な距離と角度を推定し詳細な位置推定を行う.提案する磁場マーカは,磁石の回転により特徴的な磁場を発生させ,かつ磁場マーカの磁石の向きとスマートフォンの磁気センサの値が極値を取るタイミングから,マーカとスマートフォン間の相対的な位置を推定する.提案手法は,磁場マーカとスマートフォンの距離を推定する距離推定と,磁場マーカとの相対角度推定の 2 段階で構成される.磁場マーカとスマートフォンとの距離の推定は 2 m 以内ならば最大で 13 cm 以下の平均誤差で推定でき,1.4 m 以内の範囲であれば 4 cm 以内の誤差で推定可能である.磁場マーカから見たスマートフォンの方角の推定は平均誤差が 24 度で標準偏差が 29 度の精度であった.
著者
梶 克彦 平田 圭二 長尾 確
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.127, pp.33-38, 2004-12-12
被引用文献数
7

現在、プレイリスト(楽曲推薦リスト)の生成技術は、ユーザを楽曲配信サービスや楽曲の購入サイトに誘導することができるため音楽業界の活性化につながる有力な手段の一つと考えられている。本研究では、楽曲の類似度、ユーザ嗜好の類似度を判別するために、歌詞とアノテーションを利用し、視聴時のユーザの状況にあわせたプレイリストを生成する仕組みを提案する。またプレイリスト中の気に入った曲などをフィードバックすることにより、インタラクティブに好みのプレイリストを作成することができる。このようなプレイリスト作成のやり取りから、ユーザごとに嗜好、状況に関する特徴量を変化させ、個々のユーザの嗜好、かつそのユーザが置かれた状況に合った選曲ができるように適応していくことができる。Automatic playlist generation is one of the powerful intermediaries for music providing services. Many people can be promoted to music contents. In this paper, we propose a playlist generation scheme. Be using lyrics and annotation, musical similarity and user's similarity is found. Then it generates a plylist according to a user's preference and situation. Additionally, the user can provide a feedback such as a favorite music and whether the playlist is recommendable. The system transform the characteristic values concerning the user's preference and situation so that it adapts to each user.
著者
大鐘 勇輝 榎堀 優 梶 克彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.145-157, 2023-01-15

医療技術の発達による寿命の延伸と,これにともなう高齢化によって介護業界の人手不足が社会問題となっている.高齢者介護施設では日常生活の介助のほかに,健康維持を目的とした活動量の把握・管理が求められる.そこで本研究では,車椅子使用者を対象とした低コストなモニタリング手法を目指し,BLEビーコンを用いた自走・介助の判別および,活動量の推定手法を提案する.BLEビーコンから発信される電波は,距離の二乗に反比例して減衰するため,受信機との距離によって受信電波強度は変化しやすい.そこで,介助者に取り付けたBLEビーコンの受信電波強度が,各シチュエーション(介助者がいない,介助者が車椅子を押す,介助者が近くを通る)によって異なる特徴を,自走・介助の推定に,車椅子の車輪に取り付けたBLEビーコンの受信電波強度が,車輪の回転によって変化する特徴を,活動量の推定に用いた.評価の結果,自走・介助の推定は93.0%の精度で,活動量推定の指標となる車輪回転数の推定は100.0%の精度で推定できた.
著者
梶 克彦 長尾 確
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.258-273, 2007-01-15
参考文献数
35
被引用文献数
8

一般にテキスト,ビデオ,音楽などのコンテンツには複数の解釈が存在し,それらのコンテンツを対象とする場合,複数の解釈の中から適切なものを扱う必要がある.そこで我々は任意のコンテンツに対する複数の解釈を扱うためのプラットフォームとしてAnnphony を構築した.Annphony では,一般的なアノテーション記述形式であるRDF を拡張し,すべてのアノテーションに識別子を付与することでそれぞれの解釈を区別して扱うことができる.解釈が多様になりやすいコンテンツの典型例として音楽があげられる.一般に音楽は必ずしも解釈を一意に決定できず,その楽曲をとらえる人によって異なる解釈を見い出すことがしばしばみられる.そこで我々はAnnphony を基盤とし,楽曲に対する多様な解釈をWeb 上のユーザから取得する音楽アノテーションシステムを構築した.本システムは1. 書誌情報などの楽曲自体に対するアノテーション,2. 連続メディアに対するアノテーション,3. 楽譜に対するアノテーションの3 種類のエディタを備える.また実際に本システムによりアノテーションを収集し,楽曲に対する多様な解釈を扱う例として,楽曲検索システムとプレイリスト作成支援システムを構築した.Generally, there are multiple interpretations of single content such as a text, a video clip, a song, and so on. Therefore we have developed an annotation platform called "Annphony" to deal with such multiple interpretations. By extending RDF, a common annotation framework, each annotation has its own identifier that enables distinction of each interpretation. Music is one typical example that apt to cause multiple interpretations. Listeners do not necessarily make the same interpretation about the tune. Therefore, to deal with various musical interpretations we have developed a musical annotation system that consists of the following annotation editors ― 1: basic information of the tunes, 2: continuous media, and 3: musical scores. We have also developed two applications based on annotations about multiple interpretations collected by the annotation system. One is a music retrieval system based on music's inner structure. The other is a playlist recommendation system that semiautomatically generates playlists that reflect listener preferences and situations.
著者
嶋田 光佑 廣井 慧 梶 克彦 河口 信夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.150-167, 2018-01-15

モバイル端末を用いて歩行者にルートガイダンスを行うサービスは広く普及しているものの,このようなサービスを利用しながらも道に迷う人が存在する.これは方向感覚や距離感覚,地図の読み解きなどの空間認識能力の個人差による,案内理解の程度の差が一因としてあげられる.本論文では,将来的に個人の空間認識能力を考慮したルートガイダンスを提示するナビゲーションシステムの実現を目指し,空間認識能力として移動中の行動,移動軌跡から個人ごとの特徴を定量的に計測する手法を提案する.はじめに,仮想空間上に都市環境を再現し,ルートガイダンスなど様々な提示情報,および情報提示手法を設定できる計測システムを開発する.次に,計測システムを利用し,道に迷う人と迷わない人の特徴の差を検討したうえで,計測手法を設計する.本論文では,(1)地図上での自己位置把握,(2)目的地の方向把握,(3)音声案内の記憶の定着の3つの計測手法について設計し,計測実験を行った.実験データを取得,分析したところ,(1)と(2)については,把握の正確さや早さ,(3)については,音声案内を聞き直す回数や聞き直すまでの時間を評価基準として,被験者ごとの行動に特徴的な差が確認できた.最後に,本計測手法の有用性を分析する目的で,自己評定との違い,実空間との違い,再現性のための再実験の3つの項目について,計測システムを用いた実験を行い,それぞれ75%,60%,71%の被験者が,本システムでの計測と自己評定,実空間での計測,再実験での計測に大きな差はみられないことを確認した.
著者
水草 創斗 梶 克彦
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2021-UBI-69, no.29, pp.1-7, 2021-02-22

本研究では,スマートフォンと密封袋のみで心臓マッサージの練習が可能な心臓マッサージ練習アプリケーションを制作した.住宅や街中などの医療体制が整っていない場所での突然の心停止の際,その場に居合わせた人による一次救命処置が非常に重要であるとされている.しかし,日本における一次救命処置実施率は約半数に留まっており,実施率の低さが指摘されている.その主な原因として,一次救命処置への知識・経験の不足からなる心理的ハードルの高さが挙げられる.これまで,一次救命処置の実施を促進するため多くの研究が行われてきたが,未だ一般的には一次救命処置を練習する際は,どうしても CPR 練習用マネキンが必要になってしまい,練習コストが高くなってしまうという問題がある.そこで本研究では,世の中に広く普及している気圧センサを搭載したスマートフォンと身近にある密封袋のみを使って練習を可能にし,これまでよりも手軽な心臓マッサージ練習法を提案する.本研究では,スマートフォンの気圧センサから得た情報を基に,心臓マッサージの押し込み強さ推定処理・押し込み判定処理・押し込み間隔推定処理を行い,リアルタイムにスマートフォン画面へフィードバックを行うシステムや自身の心臓マッサージのスキルをテストするシステムの開発を行った.開発したアプリケーションの画面デザインや実用性を評価するため実施した評価実験では,心臓マッサージの押し込む間隔については,練習になるとの評価を受けたが,押し込む強さについては,要領を掴む程度との評価を受けた.また,練習コストに関しては CPR 練習用マネキンを使った練習法より手軽に練習可能なシステムとして評価を受けた.
著者
池田 翔太 梶 克彦
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.899-904, 2016-07-06

本研究では,目の前にあるビーコンを手などで覆ったり開いたりを繰り返し,管理端末側の受信電波強度の変化から対応するビーコンの識別を行う.近年 Bluetooth Low Energy (BLE) を用いたビーコンが普及してきておりイベントなどで多く用いられている.しかし,ビーコンを複数管理しようとする時,ビー コン 1 つ 1 つを容易に識別するために明確な手段がない.提案手法では,BLE ビーコンを識別するために BLE の受信電波強度の変化を使用する.BLE は出力電波が弱く,BLE ビーコンは手のひらサイズの小型 のものがほとんどである.ビーコンを両手で覆えば容易に BLE の電波を減衰させられる.ビーコン識別 のためにアルゴリズムを検討し,管理アプリを作成した.またビーコン識別実験を行い,複数あるビーコ ンの中から目的のビーコンを 15 秒以内に識別でき,識別の正答率も 100%であった.
著者
梶 克彦 河口 信夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.12-24, 2016-01-15

本稿では歩行センシングデータから高精度に3次元歩行軌跡を推定する手法を提案する.使用するセンサは加速度・角速度・気圧の3種類であり,詳細な建物構造情報を必要としない.装着型センサを用いた行動推定において,センサ信号の変化が少ない状態が継続している区間の検出は,センサ信号が短時間に大きく変化する区間を直接検出するよりも高い精度を期待できる.本稿ではこのような区間を安定センシング区間と定義し,そのコンセプトの適用例として,角速度センサを用いた安定歩行区間検出に基づく進行方向推定と,気圧センサを用いた安定フロア区間検出に基づくフロア間移動推定を行う.さらにそれら推定情報を統合して3次元歩行軌跡を求める.屋内歩行センシングコーパスHASC-IPSCを用いた評価実験の結果,進行方向推定,フロア間移動推定ともに,大きな変化量を直接推定する手法よりも高い精度を達成できた.最終的な3次元歩行軌跡推定の誤差蓄積速度は,10秒間の移動の間に1mの誤差が蓄積する程度であることが確認された.
著者
矢野 幹樹 梶 克彦 河口 信夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3274-3288, 2011-12-15

モバイル端末向けに提供されるWebサービスやアプリケーションなどのサービスの数は爆発的に増加しており,膨大な数のサービスの中から自分に必要なものを探し出すことが困難となりつつある.我々は,ユーザの状況に応じてサービスの推薦を行うシステムの実現を目指す.推薦を実現するうえで必要となる学習情報の獲得を行うために,現在状況をクエリとするアプリ検索サービスを提供し,ユーザ状況の収集から推薦までを行うプラットフォームを提案する.提案に基づいた状況依存型アプリ検索システム「App.Locky」の実装を行い,インターネット上に公開したうえで,実ユーザを対象とした大規模検索ログ収集実験を行った.実験の結果,収集された検索ログをユーザ状況の推定に利用可能であることを確認した.Recently, it has become very hard for users to find their desired mobile services because the number of applications and Web services are rapidly increasing. Therefore, we aim at providing a system for recommending services according to the user's context. To collect learning information to estimate user's context, we propose a platform for collecting users' context and recommending services by providing an application search service that inquires user's context. We implemented a system named "App.Locky" based on our proposal and conducted experiments by publishing the system on the Internet. As a result, we confirmed that collected search logs can be used to estimate user's context.
著者
石川 秀樹 大谷 悦久 梶山 正明 真梶 克彦 高橋 宏和 仲里 友一 濱本 悟志
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
筑波大学附属駒場論集 (ISSN:13470817)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.61-81, 2002-03

氷河性海面変動に伴う更新統の海成層である千葉県北部の下総層群木下層(12 ~13 万年前)から寒流系および暖流系の貝化石が多産する。中学3 年の課題研究として、選択者に地層から貝化石を採集させ、化石に関する基本的な作業および考察を行わせた。 …