- 著者
-
権藤 克彦
- 出版者
- 東京工業大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2002
前年度まででスライサとビジュアライザの基本的な研究・開発は終了した.本年度は,我々が開発したANSI C用XMLマークアップ言語であるACMLの応用と,昨年度までの研究で判明した「XMLを用いたソースレベルのデータ統合方式」の欠点をより解明・解決する研究を行った.1.ACMLを用いたプログラム情報抽出システムAXESの設計.昨年度までで実現したスライサとビジュアライザをさらに進めた応用事例として,構文要素を用いたパターン(例えば,@if($exp=$exp){})を与えることで,ソースコードの一部を検索できるプログラム情報抽出システムの設計を行った.この機能は,例えば既存のクロスリファレンサ(例えば,GNU GLOBAL, LXR, SPIE, Cxref)にない機能であり,ソースコードに対するより高度で柔軟な検索を可能とする点で意義が大きい.2.DWARF2デバッグ情報を用いたバイナリレベル・データ統合方式の評価.ソースレベルのデータ統合方式は,コンパイラの独自拡張や規格の未規定動作への対応が困難であることが判明したため,昨年度からバイナリレベルのデータ統合方式の設計・実装を開始し,本年度は本方式を用いて実装したクロスリファレンサやコールグラフ生成系の性能や開発効率の評価を行い,本方式の有効性を明らかにした.特に,組込みソフトウェア分野など,本質的にC言語が必要なソフトウェアに対しても本方式が有効であること,一部に不完全なデータ統合を許す「軽量なデータ統合方式」が有用であることを示した.