著者
丹羽 智史 土肥 拓生 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1382-1392, 2006-05-15
参考文献数
9
被引用文献数
26

協調フィルタリングを用いた商品推薦システムを応用してWeb ページ推薦システムを構築しようとする試みは従来から行われてきたが,十分な量のデータソースを確保することが困難なことや推薦対象であるWeb ページの数が大きすぎることなどから,その用途は非常に限定されたものだった.本論文では近年急速に普及し始めたソーシャルブックマークとFolksonomy を利用して,インターネット上のWeb ページ全体を対象としたWeb ページ推薦システムの構築手法を提案する.There have been many attempts to construct web page recommender systems using collaborative filtering, but the domains these systems can cover are very restricted, because it is very difficult to assemble data of user preference about web pages, and the number of web pages on the Internet is too large. In this paper, we propose the way to construct new type of web page recommender system covering all over the Internet, by using folksonomy and social bookmarks which are getting very popular in these days.
著者
中川 博之 吉岡 信和 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2551-2565, 2007-08-15
参考文献数
27

近年,高度で複雑化するソフトウェアを実現する手段としてマルチエージェントシステムが注目されている.マルチエージェントシステムは複数のエージェントを構成要素として持つことから,一般のソフトウェアと比較してシステム分析・設計も難しく,多くのモデル構築方法論が提案されている.しかしながら,いずれの既存方法論も要求モデルとの乖離が大きいために分析モデルの構築が困難であり,結果,システム構築の大きな障壁となっている.そこで本論文では,要求工学の分野で成果をあげているゴール指向要求分析法KAOS を拡張利用した分析モデル構築法IMPULSE を提案する.IMPULSE を用いることで,要求モデルを利用した分析モデル構築プロセスが明確化され,分析モデル構築の難しさが解消される.Agent technology offers a solution for producing complex software systems characterized by autonomous behavior and a high degree of distribution, however, development of multi-agent systems (MAS) needs a more feasible methodology for requirements analysis because of the difficulty in generating an analysis model. The purpose of this study is to reduce the gap between the requirement analysis and analysis phases of developing multi-agent systems. This paper describes the IMPULSE methodology, which utilizes the KAOS, goal-oriented analysis method as a requirement analysis method, and provides developers with a tool for model translation into an analysis model of multi-agent systems. This paper also shows the result of evaluating IMPULSE through analysis experiments. IMPULSE enables simple and effective development of multi-agent systems.
著者
馬場 雪乃 石川 冬樹 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.119, pp.51-56, 2008-06-23

Folksonomyおけるタグは,コンテンツに関連したキーワードを入力するだけで良いという付与の容易さが利点ではあるが,どのコンテンツにどのタグが付与されているのかといった情報しか持たず,非構造的である.タグを構造的に扱うことでタグの有用性を向上させたいが,そのためには,タグが示す概念を知る必要がある.本論文では,タグが付与されているコンテンツの特徴から,タグの概念を抽出する手法を提案する.特に,「時間」「場所」を表すタグについて,そのタグと関連の強い「時間」「場所」の範囲を,Web上のコンテンツに付与されたタグとそのコンテンツに付与された時間・場所の情報から抽出する手法を示す.
著者
長 健太 大須賀 昭彦 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3165-3178, 2006-12-15
参考文献数
31
被引用文献数
1

多数の小型センサから構成されるワイヤレスセンサネットワーク(WSN)を用いたビルオートメーションシステム,環境モニタリングシステム,サプライチェーンモニタリングシステムなどが実現されつつある.WSN 内の大量のセンサ群は環境に広範に分散配置され,かつそれらに搭載されているバッテリはきわめて限られているため,WSN アプリケーションにおいては電力消費量を抑えることが重要になる.WSN アプリケーションを実現するためのフレームワークは,消費電力と応答性能の間で発生するトレードオフを正しく扱える必要がある.我々は,複数の知的移動エージェントを用いてマルチパーパスなWSN アプリケーションを構築するというアプローチをとった.我々のフレームワークはエージェント群の動作方式を変化させることで,アプリケーションごとに異なる応答性能の要求に適応することができる.また,ビルディングオートメーションにおける移動エージェント群の動作をシミュレートすることで,消費電力と応答性能に関する評価を行った.A wireless sensor network (WSN) that is a network of many small sensors is being used for many applications such as structure and equipment monitoring, environmental monitoring and supply chain monitoring. Since these many sensors are widely spread in the environment and a battery of sensors is very limited, main concern for WSN applications is reducing battery consumption. Framework for these WSN applications should handle the trade-o. between battery consumption and response time. Our approach for this problem is using a multi intelligent mobile agent framework to implement multi-purpose WSN applications. By changing the movement pattern of agents, our framework can adapt to the requirements of response time that di.er from each application. We evaluate battery consumption and response time with simulating mobile agents for the building automation WSN application.
著者
相澤 和也 鄭 顕志 本位田 真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.1025-1039, 2019-04-15

ソフトウェアシステムの安全性は,通常,開発時に想定した実行環境の前提下において保証される.この前提が実行時の環境変化等によって崩れると,システムの安全性は保証されない.実行時に起こる環境変化に対して可能な限りの安全性を維持・保証するためには,変化した環境下でどのような安全性が保証可能かを実行時に分析する必要がある.実行時の情報を用いた分析手法は環境情報の分析にかかる計算時間オーバヘッドが課題となる.本論文では,(1)環境変化の差分情報から効率的に安全性保証の判定を行うアルゴリズムを提案し,(2)アルゴリズムの効率性に関する評価と(3)安全性保証に関する証明を行う.このアルゴリズムは安全性を構成する要素ごとの保証可否と,環境変化によって生じる差分の2つの観点に基づいて分析している.これら2つの観点を組み合わせることによって既存技術を用いた分析と比べて計算時間を最大0.2%程度にまで削減できることが実験結果によって確認できた.
著者
長 健太 大須賀 昭彦 本位田真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3165-3178, 2006-12-15

多数の小型センサから構成されるワイヤレスセンサネットワーク(WSN)を用いたビルオートメーションシステム,環境モニタリングシステム,サプライチェーンモニタリングシステムなどが実現されつつある.WSN 内の大量のセンサ群は環境に広範に分散配置され,かつそれらに搭載されているバッテリはきわめて限られているため,WSN アプリケーションにおいては電力消費量を抑えることが重要になる.WSN アプリケーションを実現するためのフレームワークは,消費電力と応答性能の間で発生するトレードオフを正しく扱える必要がある.我々は,複数の知的移動エージェントを用いてマルチパーパスなWSN アプリケーションを構築するというアプローチをとった.我々のフレームワークはエージェント群の動作方式を変化させることで,アプリケーションごとに異なる応答性能の要求に適応することができる.また,ビルディングオートメーションにおける移動エージェント群の動作をシミュレートすることで,消費電力と応答性能に関する評価を行った.
著者
服部 正典 大須賀 昭彦 関 俊文 一色 正男 本位田 真一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.2010-2019, 2003-11-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

This paper describes a “Ubiquitous Personalize Agent” and it’s application: “Shopping assistance service” for ubiquitous environments. Ubiquitous personalize agent is realized based on context reasoning technology. It can determine contexts of users by referring a lot of data which can be retrieved from devices in ubiquitous environments. We also have had an experimental trial of this service. In this paper, we state the technology, service, and evaluation on the experimental trial.
著者
来間啓伸 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.1593-1602, 2004-06-15
参考文献数
10

Webサービスを仲介するシステムをクローズドな仲介システムの緩やかな連合によって実装する際には,次の3点が課題となる.(1)連合によって個々の要素が受ける影響の局所化,(2)連合関係の変化への柔軟な適応,(3)連合によって不具合が起こらないことの検証.本稿では仲介システムを介して結ばれる要素の集まりをコミュニティと考え,要素間の静的なアクセス関係をポリシとして,コミュニティの連合を規定するためのポリシの枠組みを導入した.この枠組みに基づいて,連合によって組み合わされたポリシを実現するためのコミュニティ・モデルを示した.コミュニティ・モデル上では,コミュニティ間の協調のためのインタラクションとコミュニティ内のインタラクションを階層的に表現することで(1)と(2)が,ポリシとインタラクションが形式的に対応することで(3)が解決される.一方,コミュニティ・モデル記述にメタ階層に基づく言語を用いているため,実装との対応は明確ではない.ポリシとして表現する対象の拡大と,コミュニティ・モデルから実装への過程の明確化が,今後の課題である.The service mediation system on the Web could be constructed as a federation of service communities, in which each community provides and mediates limited number of services. In implementing the federation, (1) scalability of each community, (2) flexibility to the change of federation relation, and (3) verifiability of policy compliance should be considered. In this paper, we introduce a notion of policy of community based on access control among players and show a community model that is aimed at representing communications between players compliant with policy. The community model represents communications for the cooperation of communities separately from the communications for service request, mediation, and provision. As the result, it (1) represents communications between players in a modular way, (2) encapsulates the dependencies on partner communities, and (3) provides a basis for verification of policy compliance. The future work is to extend our notion of policy and to establish the implementation method based on the community model.
著者
山口 真悟 宮本 俊幸 内平 直志 葛 崎偉 本位田 真一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1_58-1_65, 2008-07-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

学生チームが企業から提供された課題「マルチカーエレベータの群管理制御問題」を解決するアルゴリズムを競い合う「CSTソリューションコンペティション2007」を実施した.本稿ではその活動を通じて得たアルゴリズムの知見と評価ツールなどについて解説する.
著者
丹羽 智史 土肥 拓生 本位田真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1382-1392, 2006-05-15

協調フィルタリングを用いた商品推薦システムを応用してWeb ページ推薦システムを構築しようとする試みは従来から行われてきたが,十分な量のデータソースを確保することが困難なことや推薦対象であるWeb ページの数が大きすぎることなどから,その用途は非常に限定されたものだった.本論文では近年急速に普及し始めたソーシャルブックマークとFolksonomy を利用して,インターネット上のWeb ページ全体を対象としたWeb ページ推薦システムの構築手法を提案する.
著者
本位田 真一 鄭 顕志 石川 冬樹
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,空間制御ソフトウェアを対象とし,想定外に備えて迅速なソフトウェア進化を実現する分析,設計,検証手法を提案した.具体的には,(1)物理要素の制御に関する要求をゴールモデル上で明示化させるための制御ループ要求パターンをゴールモデル整形プロセス,(2)要求モデル上で明示化した制御ループ要求に対する実現責務を用意にトレース可能とする,制御ループモデルをモジュール単位として扱うソフトウェアアーキテクチャ,(3)制御ループ仕様の誤りを早期に発見可能とするための検証手法を提案した.さらにそれらの成果を統合した開発プロセスを構築し,スマートルーム内の清掃システムを開発し,その効果を評価した.
著者
鄭 顕志 中川 博之 川俣 洋次郎 吉岡 信和 深澤 良彰 本位田 真一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.4_121-4_132, 2008-10-28 (Released:2008-11-30)
被引用文献数
1

ユビキタスコンピューティングにおけるアプリケーションは,実世界の状態を把握し,ユーザに対してより積極的なサポートを行わなければならない.このようなアプリケーションを効率良く開発するためには,従来とは異なる新たなアプリケーション開発手法が必要となり,数多くの研究が行われている.本論文では,ユビキタスコンピューティングにおける,アプリケーション開発手法に関する研究動向を調査し,傾向と問題点を整理する.
著者
服部 正典 長 健太 大須賀 昭彦 一色 正男 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.543-552, 2003-08-01
被引用文献数
5

ユビキタス環境において状況依存型のコンピューティング環境をすることを目的とした「ユビキタスパーソナライズエージェント」について述べる.本技術はユビキタス環境において収集が可能となる様々なユーザ関連データやイベント情報からユーザの状況を自動認識する「状況認識エージェント」とユビキタス環境に存在する各種デバイスとサーバシステム間でパーソナライズに関する処理の適切な分散を実現する「軽量知的モバイルエージェント」によって構成される.本論文では特にモバイルエージェント適用の効果に関して,実証実験を通した評価を実施することでその有効性の確認と考察を行う.
著者
本位田 真一 深澤 良彰 吉岡 信和 石川 冬樹 鄭 顕志
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

次世代のソフトウェアであるユビキタスサービスの基盤インフラとなる,オープン無線センサーネットワーク構築のためのミドルウェアを研究開発し,公開した.本ミドルウェアを利用することで,長期にわたって安定運用が可能な無線センサーネットワークを構築することが可能となる.
著者
清 雄一 本位田 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.678-688, 2009-03-25

大規模なセンサネットワークでは,個々のセンサがセキュリティ侵害を受けやすい.セキュリティ侵害を受けたセンサは,嘘のイべント(不正イべント)を発生させるのに利用される.この攻撃は,イべントの受け取り手を混乱させるだけではなく,個々のセンサの有限のエネルギーを消費させる.多くの既存研究が提案されており,それらはネットワーク内で不正イベントを検知することが可能である.だが従来の既存研究では,小さなしきい値(例えば5)以内のセンサノードがセキュリティ侵害を受けた場合にのみ適用可能であるという制限があった.近年,この制限を克服した手法がいくつか提案されているが,それらは,データを収集するシンクが固定されている状況でのみ適用可能であるという別の課題をもつ.本論文では,シンクが移動するセンサネットワークにも適応可能な手法を提案する.同時に,多くのノードがセキュリティ侵害を受けても,高いセキュリティを保つことを目標とする.本手法が,従来の手法と比較して不正イべントをより早く検知できることを数学的な解析を行うことにより示す.
著者
片渕 聡 鄭 顕志 高橋 竜一 深澤 良彰 石川 冬樹 本位田 真一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

近年,イベントによって呼び出され処理を行い通知するイベント駆動型Webサービスが注目を浴びている.現在の要求/応答型サービスを対象としている検索技術では,イベントに関する要求を満足するWebサービスを探し出すことができない.本研究ではイベント駆動型Webサービスの検索を実現するために,要求とサービス記述双方のイベント制約のマッチングを行う.
著者
松浦 佐江子 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.2666-2680, 1995-11-15
被引用文献数
2

われわれの研究目的は仕様が変更された場合に、プログラムの作成プロセスを利用して既知のプログラムを修正し、変更要求を満たすプログラムを作成する方法を確立することである。われわれは広範囲言語Extended MLを用いた仕様・プログラム・プロセスを統一的に扱う枠組の上で仕様変更プロセスを形式化し、系統的な再利用方法を提案してきた。仕様変更プロセスは既知のモジュールから仕様変更の要求を満たす新しいモジュールを作成する仕様の差分定義プロセスと、プログラムを作成した過程である合成プロセスをまねるプロセスから成る。しかし、仕様変更は各々が独立に行われた複数の経験によって達成されることが多いので、一つのプログラム作成のプロセスをその都度利用するだけでは再利用の効率が良くない。また、過去に行った仕様変更と同様な仕様変更を行ってプログラムを得たい場合もある。本稿ではわれわれの提案した再利用方法を拡張し、複数の仕様変更プロセスを効果的に利用した仕様変更の実現方法を提案する。このような知識の積み重ねを支援するソフトウェァ開発環境を構築することによって、仕様変更に追従するプログラムの自動合成への道が開けると考える。