著者
田爪 正気 梅原 恵子 松沢 秀之 相川 浩幸 橋本 一男 佐々木 正五
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.517-522, 1991

マウスの寿命に及ぼす無菌状態と食餌制限の影響について検討した。実験動物は雄のICR系無菌およびSPFマウスを用いた。制限食の開始時期は生後5週とし, 自由摂取群と制限食群とに分けた。制限食群の食餌は自由摂取群の摂取量の80℃6 (4.5g/日) を毎日与えた。平均寿命は自由摂取群のSPFマウスでは75.9週, 無菌マウスでは88.9週, 制限食群のSPFマウスでは117.5週, 無菌マウスでは109.6週であった。また, 体重を計測した結果, 制限食群は自由摂取群と比べて, SPFおよび無菌マウス共に低値の成績が得られた。この結果, 離乳直後からの食餌制限は成熟を遅らせ, 成長期間が長くなり, 寿命が延びている可能性が考えられる。一方, 無菌マウスの平均寿命はSPFマウスの平均寿命と比べて, 自由摂取群では長く, 制限食群では短かった。この成績から, 無菌状態と食餌制限の組合せでは顕著な延命効果は認められなかったが, 各々単独では平均寿命の延長に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
著者
吉川 昌之介 山本 達男 寺脇 良郎 笹川 千尋 江崎 孝行 檀原 宏文 渡辺 治雄 岡村 登 橋本 一 吉村 文信
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

組換えDNA実験技術を始めとする分子生物学的、分子遺伝学的技術を病原細菌の病原性の解析に応用することを目的としてこの総合研究班を結成し、3年間補助金を受けた。研究分担者総数21名という大規模な班員構成からなり、各分担者の対象とする菌種も多岐にわたり、ビルレンス遺伝子の存在部位も染色体性、プラスミド性、およびバクテリオファ-ジ性と異るため各分担者の研究達成の難易度には著しい差があった。組換え体の選択方法、汎用される宿主・ベクタ-系でクロ-ン化できるか否か、EK系を用いることができるか否か、仮にクロ-ン化できたとしてそれが完全に形質発現するかなどにも大きな差があった。この壁を乗り切るためにベクタ-系を開発するところから始めたり、新たに宿主に特殊の変異を生じさせたり、遺伝子導入のために特殊の方法を採用したり多くの試行錯誤が行われた。幸に長時間にわたる班会議の議論を通じてこれら問題点の克服の方法が模索され、解決のための示唆が与えられた結果、各分担者それぞれがほぼ所期の目的を達した。セラチアの線毛、サルモネラの病原性、赤痢菌の病原性、大腸菌の表層構造、赤痢菌の抗原、らい菌の抗原、バクテロイデスの病原性、とくに線毛、腸管感染病原菌の粘着因子、コレラ菌の溶血毒、ナグビブリオの溶血毒、腸炎ビブリオの溶血毒、緑膿菌のサイトトキシン、Pseudomonas cepaciaの溶血毒などにつき、その遺伝子の存在様式、遺伝的構造、塩基配列の決定、形質発現の調節機構、前駆体物質のプロセツシング機構などを明らかにし、その病原的意義の解明に一定の知見を得ることができた。これらは多くの原著論文の他、シンポジウム、講演、研究会、総説などに発表したが、各分担者それぞれにより深く研究を堀り下げ、より完全な形で完成するべく努力を続けることになろう。ともあれ本邦のこの領域の発展に大いに寄与したことは間違いないと思う。
著者
橋本 一也 金子 善則 高倉 規彰 中島 隆
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.331-332, 1996-09-04

近年、マイコン組み込みシステムにおいて、プログラミングの容易さや並列処理による効率化のために、リアルタイムOS(以下OS)を用いることが多くなってきている。これに伴い、OS上のタスクを効率よくデバッグできるタスク・デバッガが開発されてきた。従来、タスク・デバッガは、モニタやデバッグ用のタスクで実現されていたが、これらの方式では、ユーザによる組み込み作業が必要であることに加えて、メモリの制約を受けるという欠点があった。特にメモリ容量の小さなマイクロコントローラを利用するとき、この制約により、タスク・デバッガを実現するのは困難な場合が多い。そのため、一般的にデバッグ装置として利用されているインサーキット・エミュレータ(以下IE)上でタスク・デバッガを実現することが望ましい。一方、デバッグを行なうターゲット・システムが自動車のエンジン制御やモータ制御などのリアルタイム制御装置である場合に、ターゲット・システムのソフトウェアが停止してしまうと装置を破損してしまう恐れがあるが、リアルタイム応答性を保証することによって装置の破壊を回避することが可能になる。上記理由により、ターゲット・システムのソフトウェアのリアルタイム応答性を損なわずデバッグ可能とすることがタスク・デバッガの重要な機能として要求されている。本論文では、このタスク・デバッガの実現にあたっての必要機能を洗い出し、その実現方式について考察する。