著者
白石 渉 内山 大治 阪本 宏樹 松吉 彩乃 波多野 武人 橋本 哲也
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.11060, (Released:2022-10-17)
参考文献数
17

症例は13歳女性.5歳時に右半身の運動感覚障害を突然発症し,脳梗塞と診断された.若年性脳梗塞の原因を検索されたが,心疾患や血栓素因などは認めず,アスピリン内服で再発予防された.アスピリンは3年後に中止,その後は再燃なく経過していた.12歳時,再び突然発症の右上下肢麻痺を生じ,頭部MRIで左基底核に脳梗塞病変を認めた.各種原因を再検索されたが,心疾患,血栓素因,血管異常などは認めず,当科紹介となった.患者は左額から頭頂部にかけて皮膚陥凹と菲薄化,同部位の脂肪組織萎縮を認め,剣創状強皮症の所見だった.剣創状強皮症は一側の頭部に生じる限局性強皮症で,時に頭蓋内病変を伴う.本症例は剣創状強皮症の頭蓋内病変として脳梗塞様症状を呈したと考えられた.本症例は神経症状が皮膚症状に先行したため,診断に難渋した点が特徴的だった.
著者
原 園江 須藤 聡子 長瀬 良子 橋本 哲也 柱 宗孝
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.157-162, 1990-12-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
8

心因性視力障害と思われる児童29人に,眼科的精査とY-Gテストを行い検討した.小学生では発症人数に性差は見られず,中学生は女児のみであった.視力障害は軽度で,自覚のない者が多く,視野はラセン状視野が59%を占めるが,正常視野も34%見られた.Y-Gテストでは,異常は無かった.視力低下に心因の関与が明確な者は41%と少なく,残りは原因となる環境因子が断定しにくく,視力低下が心因から起因していると思いにくい症例もあった.心因の関与が明確な者も,そうでない者も半数以上改善が見られるが,心因が明確な者の方が僅かに改善率が良い.我々は,精神科の専門教育を受けていないため,なかなか患児や家族から充分な情報を得ることが難しい.心因性の疾患が増加している今日,スタッフの教育を含む病院側の受け入れ態勢の検討が必要だと思われた.
著者
松廣 達也 橋本 哲也 北岡 見生代 ア デイビッド 落合 翼 渡辺 秀行 片桐 滋 大崎 美穂
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1295-1308, 2018-04-15

最近,識別学習法の1つ,最小分類誤り(MCE: Minimum Classification Error)学習法が,大幾何マージン最小分類誤り(LGM-MCE: Large Geometric Margin Minimum Classification Error)学習法に拡張された.LGM-MCE法は,利用可能な学習用標本上の分類誤り数損失の最小化と,標本空間における幾何マージンの最大化とを同時に行うものである.学習用標本に対する過学習を抑制することで,この新しいLGM-MCE法は,理想的な最小分類誤り確率状態に対応する分類器状態を近似する.その有効性は,プロトタイプ型分類器用に実装され,様々な固定次元ベクトルパターンの分類課題において実証されている.本稿は,可変長パターンに対しても過学習が抑制された望ましい分類が実現されることを目指し,状態遷移モデル型分類器を用いて可変長パターンのための幾何マージンを新たに導出し,それを用いたLGM-MCE学習法を構築し,その有効性を3種の音声認識課題において評価した結果を報告するものである.実験では,LGM-MCE学習法と,その基盤となったMCE学習法とを比較する.実験の結果,いずれの課題においても,LGM-MCE学習法が,過学習を抑制し,未知の試験用標本上で高い分類精度を達成することが示される.比較実験に用いるLGM-MCE学習法の実装は,適応型損失最小化手段である確率的降下法を用いている.本稿では追加的に,高速な並列処理に適したRPROP法に基づく実装も行い,その動作確認結果も報告する.
著者
松田 忠久 斉藤 雅人 阿部 昌弘 橋本 哲也 小林 裕之 渡辺 泱
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1417-1422, 1987-08-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2

1982年6月から1985年10月までに, 京都府立医科大学泌尿器科学教室を受診した腎腫瘤症例で, 腹部CT, 腎超音波検査, 腎血管造影などにて診断が確定し得なかった10例に対して, 選択的腎生検を施行した.選択的腎生検にて得られた組織診断は, 腎細胞癌6例, 乳頭状腎細胞癌1例, 移行上皮癌1例, 血管筋脂肪腫1例, 膜性増殖性糸球体腎炎1例で, それにより各々の症例の治療のために極めて重要な情報が得られた. また生検を契機とした腫瘍細胞の播種をはじめとした合併症は, 認められなかった.よって腎腫瘍に対する選択的腎生検は, 従来の諸検査では診断できなかった腎腫瘍の診断に非常に有用であると思われた.