著者
河内 明宏 渡辺 泱 中川 修一 三好 邦雄
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.1811-1820, 1993-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
16
被引用文献数
7 7

一般の小学生と幼稚園児2,033名を対象として, 正常児および夜尿児の膀胱容量, 夜間尿量と夜尿を含む夜間の排尿行動を, 質問紙法により調査した. 正常児の朝, 昼の膀胱容量と夜間尿量は, 年齢との間で直線回帰式にて表せる, 有意な相関関係を示した. また体の成長との関係においては, 身長, 体重および体表面積の3者の内で, 体重との間で最も良い相関関係を示した. 夜間尿意覚醒時の膀胱容量と朝, 昼の膀胱容量を比較すると, 朝の膀胱容量が夜間の膀胱容量に近い値を示し, 夜尿を論じる際の膀胱容量は朝起床時の膀胱容量を重視すべきであると思われた. 夜尿児の朝の膀胱容量は, 正常児と比較して, 6歳までは小さいが, 7歳以上では逆に大きいと考えられた. 正常児の間でも10~15%に夜間多尿であると思われる児童が存在し, これらは覚醒機能が正常で, 夜間尿意覚醒するために夜尿とならないと考えられた. 夜尿児の頻度は全体で14%であり, 9歳までは男が多かったが, 10歳以上ではほぼ同じ頻度であった. 過去に夜尿があった児童の調査結果より, 夜尿の平均自然消失年齢は7.3歳であり, このことより8歳以降持続する夜尿は積極的治療の対象になると考えられた.
著者
河内 明宏 渡辺 泱 中川 修一 三好 邦雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.1811-1820, 1993-10-20
被引用文献数
1 7

一般の小学生と幼稚園児2,033名を対象として,正常児および夜尿児の膀胱容量,夜間尿量と夜尿を含む夜間の排尿行動を,質問紙法により調査した.正常児の朝,昼の膀胱容量と夜間尿量は,年齢との間で直線回帰式にて表せる,有意な相関関係を示した.また体の成長との関係においては,身長,体重および体表面積の3者の内で,体重との間で最も良い相関関係を示した.夜間尿意覚醒時の膀胱容量と朝,昼の膀胱容量を比較すると,朝の膀胱容量が夜間の膀胱容量に近い値を示し,夜尿を論じる際の膀胱容量は朝起床時の膀胱容量を重視すべきであると思われた.夜尿児の朝の膀胱容量は,正常児と比較して,6歳までは小さいが,7歳以上では逆に大きいと考えられた.正常児の間でも10〜15%に夜間多尿であると思われる児童が存在し,これらは覚醒機能が正常で,夜間尿意覚醒するために夜尿とならないと考えられた.夜尿児の頻度は全体で14%であり,9歳までは男が多かったが,10歳以上ではほぼ同じ頻度であった.過去に夜尿があった児童の調査結果より,夜尿の平均自然消失年齢は7.3歳であり,このことより8歳以降持続する夜尿は積極的治療の対象になると考えられた.
著者
北小路 博司 寺崎 豊博 本城 久司 小田原 良誠 浮村 理 小島 宗門 渡辺 泱
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1514-1519, 1995-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
4
被引用文献数
10 10

(背景と目的) 過活動性膀胱に対して鍼治療を行い, その有効性について検討した.(対象と方法) 対象は尿流動態検査にて過活動性膀胱を呈した症例11例 (男性9例, 女性2例) で, 年齢は51歳から82歳 (平均71歳) であった. 主訴は切迫性尿失禁9例, 尿意切迫2例であった. 全例に対して, 鍼治療前後に自覚症状を評価し, さらに尿流動態検査を施行して鍼の効果判定を行った. 鍼治療部位は, 左右の中りょう穴 (BL-3) であり, ディスポーザブルの鍼 (直径0.3mm) を50~60mm刺入し, 10分間手による回旋刺激を行った. 鍼治療の回数は4回から12回 (平均7回) であった.(結果) 自覚症状では, 切迫性尿失禁は9例中5例に著明改善 (尿失禁の消失), 2例に改善 (尿失禁回数および量の減少) を認め, 尿意切迫を主訴とした2例の排尿症状は正常化した. その結果, 自覚症状の改善率は82%であった. また, 治療前の尿流動態検査にて11例全例に認められた無抑制収縮は, 治療後6例で消失し, 治療前後の比較では, 最大膀胱容量と膀胱コンプライアンスに有意な増加が認められ, 尿流動態検査でも改善が認められた.(結論) 以上より, 中りょう穴を用いた鍼治療は, 過活動性膀胱にともなう切迫性尿失禁と尿意切迫に対して有用であった.
著者
本城 久司 北小路 博司 川喜田 健司 斎藤 雅人 浮村 理 小島 宗門 渡辺 泱 荒巻 駿三
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.665-669, 1998-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

(目的) 慢性期脊髄損傷患者の排尿筋過反射にともなった尿失禁に対する鍼治療の有用性について検討した.(対象と方法) 尿失禁を有する慢性期脊髄損傷患者の男性8名に鍼治療を施行した. 年齢は20~33歳 (平均27歳) であった. 損傷レベルは頚髄損傷4例・胸髄損傷4例であった. 全例ともウロダイナミクス検査により無抑制収縮が証明され, 排尿筋過反射と診断された. 鍼治療はステンレスディスポーザブル鍼 (直径0.3mm, 長さ60mm) を左右の第3後仙骨孔部 (BL-33) に刺入し, 10分間の手による半回旋刺激とした. 鍼治療は週1回の間隔で4回施行した. 鍼治療の効果について, ウロダイナミクス検査を治療直前, 初回治療直後および4回治療終了1週後に行って評価し, 臨床症状の変化は治療前と4回治療終了1週後で評価した.(結果) 鍼治療による副用はみられなかった. 8例のうち尿失禁が消失したものは3例であり, 他の3例に改善がみられた. 平均膀胱容量は治療前42.3±37.9mlであったのが, 治療終了1週後148.1±101.2mlと有意 (p<0. 05) に増大したが, 平均最大膀胱内圧には有意な変化はみられなかった.(結論) 慢性期脊髄損傷患者の排尿筋過反射にともなう尿失禁に対して鍼治療は有用であった.
著者
加藤 哲郎 渡辺 泱 島 正美 海法 裕男
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.704-707, 1971-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18
被引用文献数
1 4

Transsection of the hypogastric nerves and/or pelvic nerves was performed on 18 adult male dogs. Prostates were removed on the 7th, 14th and 21st postoperative day to examine histologically.The denervation caused severe structural changes on the dogs prostate, which could be summarized as follows.1. Atrophy of the epithelium as well as myxomatous degeneration resulting in proliferation of collagenous fibers in the stroma was the most prominent finding commonly seen in the various denervating groups. Since cystic dilations of the prostatic gland or capillaries were indefinitely observed in some cases, these findings could not be confirmed as typical changes caused by the denervation.2. The degenerative changes were recognized on the 7th day and more conspicuous on the 14th day after denervations. On the 21st postoperative day, however, the degeneration of prostatic tissue became considerably slight.
著者
三品 輝男 渡辺 泱 荒木 博孝 都田 慶一 藤原 光文 小林 徳朗 前川 幹雄
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.1256-1279, 1981-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
63
被引用文献数
1 1

前立腺癌の高危険度群を知る目的で, 学歴, 職業, 収入, 信仰, 結婚状況, 性生活, 食生活, 身体状況, 既往歴および家族歴を重点調査目標とする111項目よりなる独自の前立腺癌疫学調査用質問用紙を作製し, インタビュー方式により, 前立腺癌100例と, それらの症例に年齢と現住所を一致させた正常対照者100例とを対象に, matched pair analysis による case-control study を行つた. その結果, 前立腺癌群において正常対照群よりリスクが高いと考えられたのは, 次の諸点であつた (危険率10%以内のものにはアンダーラインを付さず, 危険率5%以内のものにはアンダーラインを付した).1) 職業については管理的職業に従事せず, 軍隊歴がなく, 染料を取り扱つたことがある. 2) 収入については, むしろ低い. 3) 結婚状況については, 早婚で, 結婚継続年数が長い. 4)性生活については, 最初の性交年齢が若く, 青壮年期の性交回数は多いが, 老年期に入ると性交回数が少なく, 性活動停止時期も早い.5) 食生活については, 魚介類はあまり摂らぬ西欧型の食事内容で, 緑黄色野菜の摂取が少なく, 香辛料や塩つぱいものを好む. アルコール, 喫煙はあまり関係がない. 6) 既往歴としては, 前立腺肥大症およびロイマの既往あり. 7) 学歴, 信仰, 身体状況および家族歴には特記すべきものはなかつた.すなわち前立腺癌の高危険度群は, 特に性生活と食生活に特異なパターンを有する人達であることが明らかになつた.
著者
松田 忠久 斉藤 雅人 阿部 昌弘 橋本 哲也 小林 裕之 渡辺 泱
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1417-1422, 1987-08-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2

1982年6月から1985年10月までに, 京都府立医科大学泌尿器科学教室を受診した腎腫瘤症例で, 腹部CT, 腎超音波検査, 腎血管造影などにて診断が確定し得なかった10例に対して, 選択的腎生検を施行した.選択的腎生検にて得られた組織診断は, 腎細胞癌6例, 乳頭状腎細胞癌1例, 移行上皮癌1例, 血管筋脂肪腫1例, 膜性増殖性糸球体腎炎1例で, それにより各々の症例の治療のために極めて重要な情報が得られた. また生検を契機とした腫瘍細胞の播種をはじめとした合併症は, 認められなかった.よって腎腫瘍に対する選択的腎生検は, 従来の諸検査では診断できなかった腎腫瘍の診断に非常に有用であると思われた.