著者
長松 奈美江 神崎 淳子 櫻井 純理 阿部 真大 仲 修平 筒井 美紀 嶋内 健 貴戸 理恵
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、生活困窮者自立支援事業に照準を合わせ、本事業が、その創設に込められた理念である「貧困と社会的排除の問題解決」や「制度の狭間の解消」に資する生活・就労支援制度となるために必要な条件を探究する。大阪府内の各自治体や委託事業者という「サービス提供側」だけでなく、相談窓口への来談者という「サービス受給者」に焦点を当てた調査研究を行い、地域レベルでのアクティベーション・サービス配給体制の実態を自治体内のガバナンス構造に注目して分析し、生活困難層の支援ニーズに合致したより実効性のある支援制度について考察する。
著者
櫻井 純理 SAKURAI Junri
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.147-163, 2008-12

1990年代半ば以降、グローバル競争の激化や株主構造の変化などの影響を受け、柔軟に活用しうる有期雇用の非正規雇用者を増加させるという雇用戦略が、多くの企業で推進されてきた。その結果、職業キャリアの観点から見れば、長期にわたって企業に定着し(え)ないキャリア展開がより一般的になりつつある。労働者が所属企業に依存せず、より自律的な職業キャリア形成を行うためには、職業能力形成を支援する重層的な支えが必要になるだろう。本稿では、そのようなキャリア形成支援政策の新たな主体の一つとして、労働組合に注目する。分析の対象は、電機連合が実施している「電機産業職業アカデミー」などのキャリア形成支援政策である。この取り組みでは、キャリア開発推進者の育成、組合員に対するキャリア相談窓口の開設、教育訓練コースの産業内相互開放などが始められている。単位組織におけるキャリア開発推進者の活動促進、個別組合員への浸透などに課題を残すが、特に企業主導のキャリア形成支援策の対象外とされてきた非正規従業員や、教育訓練基盤の弱い中小企業従業員に対して、産別組合がキャリア形成支援を展開することには大きな意義がある。Since mid-1990s, traditional employment practices of Japanese companies, such as long-term employment and seniority system, have been reexamined and the ratio of non-regular workers has been rising. This trend means occupational career of workers has become more and more "boundaryless," that is, not bounded in a single company or a single job. Under such an environment, it is crucial for workers to develop their own vocational capabilities more autonomously. This urges the need for career development support systems (including vocational education and training programs), since resources and information of an individual worker are limited. This paper examines, as a case study, career development programs funded and operated by an industrial union. It is a significant attempt, though there are some problems that should be solved.
著者
筒井 美紀 本田 由紀 阿部 真大 櫻井 純理 櫻井 純理 堀 有喜衣 居郷 至伸 御旅屋 達 伊藤 秀樹 福田 詩織 田近 恵子 喜始 照宣 小柏 円
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

地方分権化は就労支援政策においても進められているが、その理念と実践は労働法制・行政組織法と矛盾しており自治体と支援機関は構造的ジレンマを強いられている。しかし関係者はその相対的自立性によって、法やルールの柔軟な解釈や資源の転用戦略を駆使するとともに、社会本体の変革意識を有している。とはいえ労働市場に関しては、進んでいない。変革的ビジョンを解釈する文化的資源の不足が、政治的迷走を引き起こしている。