- 著者
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井関 龍太
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第19回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.37, 2022 (Released:2022-04-20)
物語を読んでいるときに,ある場面では大きな盛り上がりを感じるのに対して,他の場面では淡々と進行している,あるいは,つなぎや溜めの場面であると感じることは自然なことである。物語の展開に沿った感情的なダイナミクスを捉える手段として,センチメント分析を利用することで,細かな単位での感情の推移を容易に推測することができる。一方で,そのような分析結果が人間による物語の山場の知覚と対応関係を持つのかは明らかでない。本研究では,センチメント分析に基づいて,比較的盛り上がりの部分が明確な物語文章を選び出し,実験参加者にはそれらを読んで,山場がどこにあったか,その感情的な印象はポジティブかネガティブか,読後感はネガティブかポジティブかの判断を求めた。実験の結果,センチメント分析に基づいて山場が前半のほうにあると推定された物語については,後半にあると推定された物語よりも,山場はより前のほうにあると評定された。