著者
志岐 常正 水谷 伸治郎
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
no.81, pp.21-32a, 1965-11-30

In this article, a historical review of discussions and controversies about the characteristics and the definition of "graywacke" is illustrated. Definitions of graywacke have proliferated owing to divergence of aims and to a somewhat unavoidable logical confusion in the arguments. The most important of the "graywacke problems" is the "matrix question". From this point of view, HUCKENHOLZ's description (1963) that the original graywacke in Harz Mountains is poor in matrix is very noteworthy. DOTT (1964) made a very reasonable discussion on the graywacke problem, especially on the classification of immature sandstones. The question about the origin of matrix, however, remains unsettled. CUMMINS (1962) has emphasized that there is a direct correlation between the percentage of matrix and the age of graywacke, and argued that the most of the matrix material in the graywacke result from diagenetic breakdown of unstable sand grains. His paper is important as the first discussion based on a geohistorical standpoiut. Lately, however, HOLLISTER and HEEZEN (1964) found very muddy sands (recent graywacke-type sands) from deep-sea core-samples. These data offer a serious objection to CUMMIN's opinion. Diagenetic origin of some matrix is undeniable ; but the diagenefic and authigenetic alteration of minerals causes the grain size of matrix matter to increase rather than to decrease. Scarcity of apparent matrix of Harz graywacke may be explained from this reason. The greater part of matrix of many graywackes is presumably detrital in origin.
著者
水谷 伸治郎 木戸 聡
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.132, pp.253-"262-1", 1983-12-30

岐阜県加茂郡七宗町上麻生の飛騨川沿いに露出するチャート, 珪質頁岩および砂岩・頁岩からなる三畳・ジュラ系を調査し, 岩相層序学的に, また, 生層序学的に検討した。このうち, 珪質頁岩にはUnuma echinatus群集とDictyomitrella (?) kamoensis-Pantanellium foveatum群集の2放散虫群集が認められる。筆者らは, 後者を代表する特徴種を選び, 4種の放散虫(うち3種は新種)を記載した。このうちDictyomitrella (?) kamoensis n. sp.とPantanellium foveatum n. sp.は代表種であり, 日本の各地にも広く産出する。Pachyoncus kamiasoensis n. sp.は上記の2種と共存するが, 他の地域ではまだ報告されていない。このDictyomitrella (?) kamoensis-Pantanellium foveatum群集に含まれるRistola (?) turpiculaは, 北米オレゴン州のSnowshoe層(Bathonian上部)より産することが知られている。
著者
白井 良成 岸野 泰恵 水谷 伸 納谷 太 柳沢 豊
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.253-265, 2017-07-15

安価なセンサやプログラマブルなIoT機器の出現により,多くの組織が環境センシングを行うことが可能となりつつある.我々は,試行錯誤的にセンシングを進めながら知見を得ようとする環境センシング行為を探索的環境センシングと定義し,さまざまなフィールドにおいて実証実験を行ってきた.本稿では,我々が取り組んでいる3つの環境センシングプロジェクトを紹介する.3つのプロジェクトを基に,探索的環境センシングのモデル化を行い,トラブル対応指針を策定する.また,探索的環境センシングを効率的に行うために筆者らが実践しているアジャイル環境センシングについて述べる.アジャイル環境センシングにより試行錯誤のサイクルを高速化することで,利用可能なリソースを考慮しながら,センシングプロジェクトのゴール修正や終了判断を柔軟に行うことができる.
著者
水谷 伸治郎
巻号頁・発行日
1993-03

砂質堆積物基本的な特性について、次の点を明らかにした。(1)原物質が移動して、集積される過程においては、結果として形成される砂質堆積物の粒度組成は原物質の性質、つまり、原物質の粒度組成に大きく支配される。しかし、形成される砂質堆積物は、経験的にその粒度組成が対数正規分布をなすとされてきた。この点に関して、関係ある分析値を詳細に検討した結果、実際には対数正規をなすいう理論的裏づけは、一部の例外を除いては、まったくないこと明らかになった。(2)原物質の性質を含め、現実的には、砂質堆積物中の全粒径の砂質粒子のうち、シルト質砂粒はその円磨度が極端に悪いこと、また、そのような性質は形成環境にほとんど関係がないことが明らかになった。これは、砂質物質の円磨作用や破壊過程に大きく関係していると推定され、その衝突による円磨作用を石英粒子について考慮した結果、シルト質砂粒は表層過程では、理論的にも、原物質の形状を保持したままで、運搬・沈積することが明らかになった。(3) 混合過程における砂質堆積物の性質は、その粒度組成と鉱物組成の両者ともに、一次線型モデルで説明ができる。従来、確率紙にプロットした結果から推定された混合相の存在は、解釈としては妥当性が全くないことが明らかになった。ただし、この線型モデルは、数学的には解の安定性がない。線型計画法の手法を導入しても、この難点は避けられない。これを解決するのは、数学的手法ではなく、別の手段によらねばならないであろう。現在唯一の方法は、砕屑粒子の個々の鉱物学的性質に着目することであり、重鉱物の研究はそのひとつである。(4)関係する内外の論文の総括レヴュ-を行った。