著者
水越 允治
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.447-460, 1965-07-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
42
被引用文献数
4 6 7

前の報告では,わが国の主要地点における降水量の極値を推算し,これにもとづいて概略の地域分布図を作成し,二・三の説明を付け加えた.しかしながら,推算地点が少なくて必ずしも分布の全貌を明らかにしたとはいえず,また推算に際して採用した GUMBEL の方法にも若干の問題点のあることが指摘された.ゆえに,今回は地点数をできる限り増し,推算も JENKINSON の方法ですべてやりかえた.その結果,季節別の極値分布について詳細な状態が明らかとなった。例えば,梅雨による大雨の卓越する地域と台風による大雨の卓越する地域とが明確に分れることがわかった.また前報で降水量極値の経年変化についてあらましを述べたが,今回経年変化型の地域分布について改めて検討してみた結果,若干地域的なまとまりを見せる傾向の存在することが明らかとなった.
著者
水越 允治
出版者
三重大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

18〜19世紀前半の近世小氷期末の気候特性を,近世文書の記録により復元し,19世紀後半もしくはそれ以後の気候特性との違いを明らかにした。またその様な差異を起こす原因について検討・考察を行った。主要な成果は次のとおりである。(1)冬の寒さは1820年代まで厳しく,30年代からは温暖化した。1860年代の寒さは近年と同程度。したがって近年の暖冬は決して未曽有のものではない。(2)冬の太平洋側の降水量は19世紀前半には少な目,後半に入って次第に増加する。(3)19世法前半には春先に冬型気圧配置の出現頻度が大で,春の到来が遅かったことがわかる。(4)梅雨明けは1780年代,1830年代に特に遅かった。梅雨期の降水量は19世紀初頃には少なく,1830年代から増加している。(5)1820年代までは空梅雨の年が折々現れているが,1830年代以後は梅雨末期の豪雨が頻発する。(6)年間台風襲来数は19世紀初には1〜2回程度,1820年代の後半から急増し年間3〜4回にも達する程になる。(7)夏の乾湿度(降水量の多少)は,1820年代までは乾燥傾向,30年代からは湿潤に向かい,40年代以後は湿潤年が目立つ。(8)以上から1820〜30年代付近を境として,これ以前には寒冬,暑夏で乾燥した気候条件が,それ以後には暖冬,冷夏で湿潤な気候条件が中部日本では卓越したと考えられる。19世紀初頃の気候条件をもって近世小氷期の特性とするまらば,この時代の大気大循環は東アジアの東西指数が冬は低く,夏は高い傾向にあったと推定できる。またこのような大気大循環型形成の背景には,大気と海との相互作用の存在がうかがわれ,例えば近世小氷期の時代にはエルニ-ニョ現象が比較的不明瞭ではなかったかと推測される。火山活動もまた近世小氷期の気候特性と係わることが,気候復元の結果と照合してみると推察される。現在これらの気候と対応関係の分析を進めている。
著者
新井 正 鈴木 啓助 深石 一夫 水越 允治
出版者
立正大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

日本の冬の気候は,アジア大陸東部の影響を強く受けていることはいうまでもない。ところが,アジア大陸の地表面,水面などに関する情報は非常に不足しており,日本と大陸との水文気候の比較は充分にできない状況にある。これは,事情を異にする5か国が接するこの地域の特殊性を反影している。そこで,第一に日本・中国・韓国・ソ連の気候図より,最大積雪深,積雪期間の分布図を作成した。積雪時間は緯度と高度に支配されているが,最大積雪深は収束線の位置も関係するために、必ずしも緯度的な分布になるわけではない。隆雪域は「ひまわり」の赤外・可視画像の分析により推定し,上記の編集図の裏付けを行なった。河川の結氷は水面の熱収支より推定したほか,日平均最低最気温と実際の結氷分布とを対応させ、ともによい結果を得た。第二に水文気候の重要課題である融雪出水について,雪と河川水の水質分析により特性を把握した。融雪出水には直接融雪水が流出するのではなく,地中あるいは雪層中の古い水を押し出す,いわゆる押し出し型であることが分った。しかし,雪の化学成分から大陸諸国の工業活動などを推定する迄には至らなかった。水文気候の比較で特に注目されるのは、過去の記録である。日本,中国ともに古い記録があり,気候の復元が試みられている。本研究では19世紀を中心として気候の復元を行なった。その結果,小氷期においても温暖な期間を狭んでいたことが分った。しかし,中国との対応はまだ完全ではない。
著者
水越 允治 吉村 稔
出版者
三重大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

1.中部・近畿両地方の歴史時代の気候復元を、古記録に記された日々の天候記録をもとにして行った。古記録の収集地点数は約35地点、対象年代は主として17世紀以後とした。ただし京都・奈良については、15世紀まで溯って収集を行った。2.収集資料を日ごとに整理し、天気の推移から年々の季節の進み遅れ、季節の特徴を明らかにする作業を進めた。3.梅雨の季節については、入・出梅日の推定を15世紀以後の約500年間、梅雨期間降水量の推定を17世紀末以後の約300年間に関して行なった。(1)出梅日の長期変動には70年程度の周期が検出された。(2)梅雨期間降水量には10年平均値を対象にした場合、約120年の周期が認められる。(3)1771〜1870年の100年間について、毎年の梅雨の経過を詳細に検討したところ、集中豪雨型の梅雨は1771〜1790年と1821〜1870年の期間に多発しているのに対し、空梅雨型の梅雨は1791〜1810年の間に多発していること。4.台風の動向について、1781〜1860年の間を対象に、襲来数、襲来の時期の変動傾向を調査した。(1)襲来数には時代による増減が見られ、1810〜1820年代には比較的少なく、1830年代以後に著しく増加していること。(2)襲来の時期については現在と大きな差は認められないこと。5.冬の寒さについて、小氷期の頂点といわれる1820年代を対象に調査を行った。(1)厳寒の冬は連続して発生せず、数年おきに出現していること。(2)寒さの程度は現在に比べれば顕著であるが、気象観測時代に経験された範囲を出るものではないこと。
著者
水越 允治
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.961-963, 2009-11-30
著者
水越 允治
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.p109-123, 1986-04
被引用文献数
3