著者
伊藤 昭 水野 将史 後藤 強 寺田 和憲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第17回全国大会(2003)
巻号頁・発行日
pp.208, 2003 (Released:2004-02-03)

知的な行動主体(エージェント)が社会で行動するためには、相手の行動を予測して、それに対して適切な行動をとる必要がある。このような、「相手を読む」ことの研究は、(囲碁のような)零和ゲーム、囚人のジレンマゲームのような、対称型非零和ゲームではあるものの、一般の零和ゲームではほとんどない。ここでは、「相手を読む」ことが本質的な標準ゲームを提案する。また、強化学習、進化プログラミングを用いて行動戦略の獲得を調べ、「良い」戦略の条件を検討する。また、対戦者両者が共に相手の行動を読んで自己の戦略を修正しようとするとき、どのような現象が観測されるのかを報告する。
著者
水野 将樹
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.170-185, 2004-06-30
被引用文献数
1

青年の友人関係について扱った先行研究の多くはアイデンティティ理論などの視点に基づくトップダウン的なものであり,主体としての青年の認識が扱われることはなかった。そこで,本研究では既存の理論に基づく仮説検証型研究ではなく,あくまで主体である青年自身から得たデータに基づいて知見を得る質的研究,その中でも方法論が整っているグラウンデッド・セオリー・アプローチを採用して青年が信頼できる友人との関係をどのように捉えているかというリサーチクエスチョンの下,調査・分析を行った。その際,「信頼」を鍵概念に,「友人」は親友などに限定し,実情に合わせて「青年」の範囲を18〜30歳とするなどの工夫をした。学生,フリーター,社会人の男女19名に対し半構造化面接を実施し,得られた発話データをカテゴリーに分類することを通じて分析した。その結果,友人との信頼関係の構造・形成・意味づけについて,6つの仮説的知見を得て,それに基づいて青年の友人との信頼関係認識についての仮説モデルを生成した。研究全体としては,青年は友人との信頼関係を「自分」という存在と不可分に捉えていること,その信頼関係は「安心」を中心とした関係であること,などの示唆が得られた。
著者
水野 将樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.170-185, 2004-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
11 2

青年の友人関係について扱った先行研究の多くはアイデンティティ理論などの視点に基づくトップダウン的なものであり, 主体としての青年の認識が扱われることはなかった。そこで, 本研究では既存の理論に基づく仮説検証型研究ではなく, あくまで主体である青年自身から得たデータに基づいて知見を得る質的研究, その中でも方法論が整っているグラウンデッド・セオリー・アプローチを採用して青年が信頼できる友人との関係をどのように捉えているかというリサーチクエスチョンの下, 調査・分析を行った。その際, 「信頼」を鍵概念に, 「友人」は親友などに限定し, 実情に合わせて「青年」の範囲を 18~30歳とするなどの工夫をした。学生, フリーター, 社会人の男女19名に対し半構造化面接を実施し, 得られた発話データをカテゴリーに分類することを通じて分析した。その結果, 友人との信頼関係の構造・形成・意味づけについて, 6つの仮説的知見を得て, それに基づいて青年の友人との信頼関係認識についての仮説モデルを生成した。研究全体としては, 青年は友人との信頼関係を「自分」という存在と不可分に捉えていること, その信頼関係は「安心」を中心とした関係であること, などの示唆が得られた。
著者
水野 将樹
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.185-195, 2004-03-10

Trust is mentioned as one of the most desired qualities in many relationships. However, there has not been enough researches on trust. As first, this paper provided an overview of psychological studies on trust and then suggested classification of these studies into 2 major groups (one with 3 sub-groups) based on a type of trust; trust as a personal trait and trust as a trait of relationships. Having reviewed Japanese researches on trust according to this classification, the integration of studies was found to be important. In addition, a multi-dimensional approach and a distinction between trust and security are thought to be useful.
著者
中野 茉莉恵 有馬 正貴 長田 洋資 桜井 研三 升森 智香子 水野 将徳 都築 慶光 小野 裕國 後藤 建次郎 近田 正英 麻生 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【緒言】単心室症例のFontan術後にhepatic factorの偏在が側副血行路を生むことが報告され、長期予後への影響が示唆されている。肝静脈血を左右の肺動脈に灌流させる必要があるが、Fontan手術施行例では肝静脈と肺動脈を繋ぐルートの作成に苦慮する場合も多い。今回、Total cavopulmonary shunt (TCPS)術後に肝静脈-肺動脈ルート作成に難渋した心房内臓錯位症例に対して肝静脈-半奇静脈吻合を行い、良好なFontan循環を確立した症例を経験したので報告する。【症例】2歳10ヶ月女児。在胎39週5日、2896gで出生。胎児期より心房内臓錯位を指摘されており、出生後、左側相同、両大血管右室起始、肺動脈狭窄、卵円孔開存、下大静脈欠損半奇静脈結合と診断した。心房は左心房が右前方、右心房が左後方の関係にあり、肝静脈は椎体の左側を走行し右心房に開口していた。生後7ヶ月時に肺動脈絞扼術、心房中隔作成術を施行した。1歳1ヶ月時にTCPSを施行、左上大静脈と左肺動脈を吻合した。2歳4か月時、Total cavopulmonary connection(TCPC)の方針となり、心外導管のルーティングについて検討した。肝静脈が椎体の左側にあるため、導管を右側に通して作成すると椎骨や心室によりルートが圧迫される可能性が考えられた。一方で、左側に作成すると、ルートが長く屈曲することやTCPS吻合部近辺の肺動脈形成が必要となると予想され、どちらの術式を選択しても導管狭窄やhepatic factorの分布に偏りが生じる可能性があったため、肝静脈-半奇静脈吻合を選択した。術後1ヶ月時に施行した心臓カテーテル検査では、肝静脈圧 11 mmHg, 半奇静脈圧 9 mmHg, 肺動脈圧 8 mmHgで、肺動静脈瘻の発生はなく良好なFontan循環を維持していた。【結語】下大静脈欠損を伴う左側相同に対して肝静脈-半奇静脈吻合を行い、その後も良好なFontan循環を確認した。肝静脈-半奇静脈吻合は、下大静脈欠損の症例に対する右心バイパスの有効な吻合方法である。