著者
奥田 泰雄 西村 宏昭 植松 康 萩原 一郎 喜々津 仁密 高橋 章弘 池内 淳子
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第20回 風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.40, 2008 (Released:2008-12-03)

内閣府では「災害に係る住家の被害認定基準」を定めて、住家の被害の程度を合理的に評価することを推奨している。しかしこの被害認定基準が主に地震災害に基づいて構成されているために、強風災害では認定結果と被害状況との乖離があること、強風被害特有の被害事例がないため判定が困難であること、といった課題が指摘されている。この論文は内閣府被害認定基準の問題点の整理し、強風災害への適用を考慮した認定基準の雛型を提案した。
著者
池内 淳子
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.201-211, 2009-04-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究では,列車脱線事故における多数傷病者発生事例の検証に資することを目的とし,2005年JR福知山線列車脱線事故における事故発生390分後までの医療機関への搬送状況とその際の搬送手段の活用状況等に関する時刻歴分析を行った。分析結果は入手した文献等に基づく試行結果であることを前提とし,(1)傷病者の搬送された医療機関は事故発生地点から半径約20km圏内に分布し,警察・消防は事故発生地点から半径20km圏内の医療機関に事故発生情報を伝達した一方で,TVなど一般報道や兵庫県広域災害・救急医療情報システム(HYOGO-EMIS)は事故発生地点からの距離に依存せず広く伝達していたこと,(2)事故発生直後の重症者の搬送先病院は主に日常重傷者救急実績のある病院が多く,事故発生90分後までの軽症者と重症者及び中等症者の搬送手段や搬送先医療機関は異なっていたこと,(3)事故発生70分後までに傷病者搬送を行った救急車はほぼ初回搬送であり,以降, 2 回目の搬送を行う救急車が増加し,事故発生90分以降は中等症者の搬送間隔が密になったこと,等を示した。事故発生後390分頃までの時刻歴分析より,事故発生から70分間(もしくは90分間)は,事故現場近傍の災害応急対応従事者のみで災害医療活動を全面的に支え,その後,事故発生後180分程度で傷病者搬送が概ね収束に向かったと推定される。多数傷病者発生事故では迅速に災害規模を確認し応援要請を行う事故発生直後の初期対応の時間帯が最も重要であり,この時間帯をできる限り短くすることが必要である。そのためには,1)災害発生情報伝達の迅速化,2)地域の現状に合致したより具体的なシナリオによる訓練の実施,3)傷病者搬送用ヘリコプターの整備体制強化 が必要であることを示した。
著者
池内 淳子
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.201-211, 2009-04-15
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
池内 淳子 植松 康 奥田 泰雄 西村 宏昭 高橋 章弘 萩原 一郎 谷口 徹郎 谷池 義人
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-41, 2008

本研究では、竜巻等突風災害に対する行政の災害対応能力向上を目的とし、竜巻等突風災害対策に対する課題を抽出し、有効と考えられる竜巻等突風災害対策を提案した。以下に結論を示す。<BR>(1)現佐賀市地域防災計画は、竜巻災害に特化した記述内容を持つ数少ない防災計画であり、今後は対策の具体化が課題である。<BR>(2)竜巻等突風災害は、被害状況としては台風災害に類似しており、災害発生は突発的で地震災害に類似している。一方で、災害原因の確定が遅れやすく、結果的に直後の災害対応が遅延する可能性の高い災害であるといえる。このことから、建物のガラス等飛散防止対策や飛来物対策等の考案と普及、施設や避難所の安全性の提示、気象庁発表の「竜巻注意情報」や竜巻等突風災害発生情報の有効活用、一般市民に対する竜巻等突風災害に関する普及啓発に関して提案を行った。
著者
池内 淳子
出版者
摂南大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

阪神・淡路大震災以降,災害医療への対策が整備され,昨今の地震災害時でも効果を発揮している.しかしこれらの地震災害は中山間地域で発生しており,都市部においても効果が発揮されるかを検証する事は難しい.そこで本研究では,阪神・淡路大震災の資料から「傷病者搬送状況」を抽出して人的被害想定とし,現在の阪神地域における災害拠点病院の「病院防災力」に対する机上シミュレーションを実施した.分析した「傷病者搬送状況」や「病院防災力」の情報は電子地図を用いて整理し,病院防災力については,すでに構築した病院防災力診断指標と国際評価指標とを比較した.