著者
池田 嘉郎
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
新潟国際情報大学情報文化学部紀要 (ISSN:1343490X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-7, 2007-05-30

本稿では、ロバート・サーヴィスの「レーニン」とエレーヌ・カレール=ダンコースの「レーニンとは何だったか」という、近年邦訳の出た二つのレーニン論を素材にして、ソ連期ロシア史研究の今後の可能性についての考察を行なう。サーヴィスの著作が、ロシア史の特殊な文脈を極力離れて議論を展開しようとするのに対して、カレール=ダンコースの著作は、ロシアの政治家としてのレーニンに一貫してこだわっている。本稿の筆者は、後者の姿勢により大きな可能性があると考えるものである。本稿の構成を示すと、史料状況・研究動向を概観した後、1)レーニンのパーソナリティ、2)レーニンとソ連体制の歴史的位置づけ、の2点について、両著作の内容を検討する。
著者
宇山 智彦 秋田 茂 山室 信一 川島 真 守川 知子 池田 嘉郎 古矢 旬 菅 英輝 粟屋 利江 秋葉 淳
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

近代ユーラシアの諸帝国を比較し、帝国権力と現地社会の非対称な相互作用、帝国間競争における小国や越境集団の役割、周縁・植民地の近代化、そして20 世紀の帝国崩壊と脱植民地化の多様な展開を論じた。現在の地域大国は半帝国・半国民国家的な性格を持ち、かつての帝国の遺産と記憶に大きな影響を受けている。情報の不完全性のもとでの権力と少数者集団の駆け引きを論じる帝国論の方法は、現在の大国・小国関係の分析にも役立つ。