著者
小林 正法 池田 賢司 服部 陽介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.81, 2014 (Released:2014-10-05)

本研究では,解釈レベルの違いが検索誘導性忘却に影響するかどうかを検討した。検索誘導性忘却とは,ある記憶の検索が他の関連する記憶の抑制を導く現象である。解釈レベル理論から,高次解釈(e.g., Why思考)では関連付け符号化,低次解釈(e.g., How思考)では項目特定的な符号化を導くとされている。学習項目を関連付けることが検索誘導性忘却を減少するという知見から,本研究では高次解釈を行った場合,検索誘導性忘却が生じないと予測した。実験1,2を行い,得られた検索誘導性忘却効果を統合したメタ分析を行った。分析の結果,低次解釈群では検索誘導性忘却が生じたが,高次解釈群では生じなかった。このように,本研究は学習に直接影響しない操作である高次解釈(Why思考)が,検索誘導性忘却を減少させることを初めて明らかにした。
著者
服部 陽介 池田 賢司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.62-73, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
37
被引用文献数
3

本研究では,意図的な抑制努力の個人差とネガティブな気分が講義中に生じるマインドワンダリングに関連する可能性について検討した。参加者は,講義を受けている際に合図を受け,その際の思考内容を記録するとともに,その思考と講義との関連度を評価した。思考内容と講義との関連度に基づき,マインドワンダリングの程度を算出した結果,講義に無関連な思考を意図的に抑制しようとすることで,マインドワンダリングが生じにくくなることが示された。ただし,ネガティブな気分が強い場合には,意図的な抑制努力に伴うマインドワンダリングの減少が生じないことが明らかになった。思考の意図的抑制という観点を取り入れながら,マインドワンダリングの発生に関与する要因を整理することの重要性が議論された。
著者
池田 賢司
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本年度は, メタ理解の正確さに関して, 文章の読解過程を規定する要因として達成目標に焦点を当てた検討を行った。達成目標は大きく習得目標(例えば, 課題を通じて認知能力を向上させる)と遂行目標(例えば, 他の人よりも課題でより高い点数を獲得する)に分類される。特に習得目標はモニタリングを含むメタ認知的活動と関連しているため, 読解中に自分自身の理解状況や処理過程をモニタリグしていると考えられる。そのため, 習得目標が与えられた場合には, 遂行目標が与えられる場合に比べメタ理解は正確になることが予測される。実験では, 実験参加者にはまず達成目標の教示が与えられた。なお, 本実験で用いた教示により, 参加者の達成目標を操作可能であることが, 先行研究により示されている。達成目標の教示が与えられた後, 参加者に6本の文章の読解を求めた。読解後, 各文章の理解度を7件法で評定させた。最後に理解テストを実施した。実験の結果, 統計的な有意差は検出されなかったものの, 習得目標が与えられた場合に, 遂行目標が与えられた場合に比べ, メタ理解はより正確になるという仮説と一致するパターンが得られた。効果量の推定などから, 本研究において有意差が検出されなかったのは, サンプリングエラーの可能性も十分に考えられるため, 今後の研究へ向けての重要な指針を提供する研究となったと考えられる。また, メタ理解の正確さの介入法として, 本研究から目標の操作という可能性を提示できたといえる。つまり, 学習者に習得目標を持たせるよう方向付けることができれば, メタ理解の正確さは改善する可能性がある。しかしながら, 習得目標で得られたメタ理解の正確さもそれほど正確なものとはいえないため, メタ理解の正確さをより改善する方法, あるいは向上させる要因を明らかにすることが今後の研究では重要になると考えられる。
著者
牧 千里 澤田 瑞穂 丹羽 有紗 池田 賢司 川村 光信 宮崎 滋
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.31-36, 2013 (Released:2013-02-07)
参考文献数
13

症例は56歳女性.15年前に2型糖尿病と診断され,内服治療を行うも血糖コントロールは不良であった.1997年~2009年まで6回の入院歴があるが,この間インスリン分泌は保たれ,抗GAD抗体は常に陰性であった.2010年1月第7回入院時,抗GAD抗体4.6 U/mlと低値陽性となり,インスリン分泌を保持するため持効型インスリンを少量導入した.10ヶ月後の第8回入院時,HbA1c 9.7 %,尿中CPR 18.5 μg/day,血中CPR食前0.7 ng/ml,食後2時間2.1 ng/mlとインスリン分泌は低下し,グルカゴン刺激試験でのCPR Δ6分値1.0 ng/mlと低値,抗GAD抗体は1.2 U/mlと正常範囲に低下していた.本症例では抗体価は低値で,陽性の期間も短期間であったが,抗GAD抗体の存在から内因性インスリン分泌低下に自己免疫機序が関与している可能性を考えた.
著者
伊藤 友一 池田 賢司 小林 正法 服部 陽介 川口 潤
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.31, 2014 (Released:2014-10-05)

日常の学習場面では,学習直後の小テストや数カ月後な期末テストなど,時間的 距離の異なる目標が設定され得る。時間的距離の認識の違いは認知処理様式に影響することが示されているが,記憶への影響については検討されていない。そこで,本研究では時間的距離と記憶の関係について検討するために2つの実験を行った。 まず,参加者はテスト時期を1分後 (直後群),または3カ月後 (学期末群) と教示された。その後,実験1の参加者のみ,テストに向けた学習場面をイメージした。続いて,9リスト分の単語を学習した。最後に,両群に対してremember/know判断を伴う再認テストを行った。結果として,直後群に比べ,学期末群で虚再認・ 正再認時のremember反応率が統計的に有意に高いことが示された。これは,時間的距離の遠いテストを想定した場合に,より意味的関連性に基づく符号化処理が行われていたことを示唆している。