著者
岡村 和典 金井 秀作 沖井 明 江川 晃平 山本 征孝 沖 貞明
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.177-182, 2017-01-30 (Released:2017-04-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

【目的】本研究の目的は,足部内在筋が歩行中の足関節モーメントを変化させる機能を有しているか検証することである。【対象と方法】健常成人男性11名を対象とした。歩行立脚期における足部内在筋の収縮力を電気刺激によって強化し,それに伴う足関節モーメントの変化を測定した。測定には三次元動作解析装置と床反力計を使用した。【結果】足部内在筋への電気刺激は,歩行立脚期における最大内部足関節回内モーメントを有意に増加させた(p<0.05)。一方,底屈および外転モーメントに有意差は確認されなかった。【結語】本研究の結果からは,回内作用を持つ足関節底屈筋の活動の増加だけでなく,回外作用を持つ足関節底屈筋の活動の低下も推察される。これは,足部内在筋に歩行場面における足部外在筋の活動を軽減させる機能が備わっていることを示唆している。
著者
須藤 圭治 今井 義廣 沖井 明 喜多 憲司 近藤 圭三 松本 初男 宮川 智 左古 多佳子 奥野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.G0405, 2008

【はじめに】ポートフォリオとは、学習者自身の意志で成果や情報を一元化したファイルのことを指す。その作成を通じて学習のプロセスを再確認し、新たな価値を見出すことをポートフォリオ評価という。鈴木らは、当事者の内省と主体性の発揮を促す面で医療者の卒前卒後教育へのポートフォリオ評価導入の有用性を説いているが、理学療法士の臨床実習においては未だ導入経験の報告がない。今回我々は、鈴木の提唱する「ポートフォリオ評価」を基軸にした臨床総合実習を試みたのでその経過を報告する。<BR>【方法】対象:臨床総合実習生1名。期間:実習期間8週、指導者2名が担当。報告会は、医師、作業療法士も同席する症例検討会型式で行い、実習生へのフィードバックは口頭及び用紙記入で行い、回収した用紙は学生に明示した。総括は実習終了時のレポート、感想文、成長報告会での意見を参考に行った。実習の進行は以下のとおり。第1週「目標書き出しシート」にもとづく「目標カード」の作成とオリエンテーション、第2週:主症例の評価開始、第3週:症例初期評価報告会、第5週:文献抄読の報告会、第7週:症例最終評価報告会、第8週:成長報告会。<BR>【結果】ポートフォリオはクリアファイル2冊分になり、内容の割合は症例関係5割、勉強会関係3割、自己学習2割であった。実習生の感想は「気づきのチャンスが増え、主体的に学習できた」「自身の成長過程がわかった」「実習後の取り組みに生かせる」であり、要望は「実習前、実習初期にこの評価の十分な説明があればよかった」であった。スタッフの感想は「振り返る機会になる」「自己の問題点と改善点が整理できている」「自身の目標を持ち続ける大切さを学べたのではないか」である一方で、「この評価法を理解していないため意見し難い」「勉強会が必要」との意見があった。<BR>【考察】一般的な臨床実習は症例の初期評価に始まり最終評価で帰結し、養成校の評価表にそって指導者が実習生を評価するものであるが、今回の試みは、この流れを踏襲しながらも、「ポートフォリオ評価」を導入する事によって実習生の内省が常に必要とされる点が特徴といえる。実習導入期の「目標シート」作成、展開期の報告会および多面的なフィードバッグ、最終週の成長報告会は、ポートフォリオの見直しを通じての自己省察を深める機会となった。課題としては、実習生に簡潔に説明できる当院での「ポートフォリオ評価」マニュアル作成とスタッフ内の周知の必要性があげられる。今後、実習施設でのポートフォリオ評価が浸透すれば、学内教育と臨床教育との連携を強化するための有効なツールになると考える。<BR>
著者
中野渡 達哉 鈴鴨 よしみ 神先 秀人 沖井 明 菅 俊光 出江 紳一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.30-37, 2016 (Released:2016-02-20)
参考文献数
41

【目的】本研究の目的は,人工股関節置換術(以下,THA)後の健康関連QOLに対して機能的脚長差が影響を及ぼすまでの一連の障害構造モデルについてパス解析を用い検討することである。【方法】THA 後患者42名を対象に,術後3週の構造的脚長差と機能的脚長差,術後6ヵ月後の主観的脚長差,SF-36のサマリースコアを評価した。モデルへ投入する項目を選択するために単変量解析を行い,その後にパス係数とモデルの適合度を求めるためにパス解析を行った。【結果】モデルには機能的脚長差,主観的脚長差,身体的コンポーネント・サマリースコア(以下,PCS)が選択された。パス解析の結果,機能的脚長差は主観的脚長差に影響し,主観的脚長差はPCSに影響していることが示された。このモデルは十分な適合度を示した。【結論】THA後主観的脚長差をもち身体的健康関連QOLが低下した患者に対して,機能的脚長差に対する治療的介入が重要であることが示唆された。
著者
新藤 恵一郎 近藤 健男 杉山 謙 沖井 明 出江 一 小川 充洋
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, 2005-01-18

【目的】嚥下音を利用した睡眠中の嚥下回数測定を試みたので報告する.【対象】健常男性5名(平均年齢34.6歳).【方法】嚥下音の記録には,小型ICレコーダー(オリンパス社製,Voice Trek DM-30)と喉頭マイクロフォン(村田製作所社製,PKM 11-4 A11-D)を利用した.輪状軟骨直上に貼り,就寝前から起床時まで,3夜測定した.【結果】嚥下音は,周波数1,000〜1,500Hzおよび2,000〜3,000Hz成分のパワーに特徴を認め,これを利用して記録データから抽出した.1時間あたり5〜9回の