著者
安彦 鉄平 島村 亮太 安彦 陽子 相馬 正之 小川 大輔 新藤 恵一郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.935-938, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
19

〔目的〕体幹と骨盤の動きを必要とする座位に着目し,骨盤の傾斜角度の違いが背筋群の筋活動に与える影響を検討した。〔対象〕腰痛の既往のない健常成人男性10名。〔方法〕測定肢位を骨盤軽度後傾位(以下後傾位)と骨盤軽度前傾位(以下前傾位)とし,課題を安静座位と腹部引き込み運動とし,肢位と課題の組み合わせの4条件下での腰部脊柱起立筋と腰部多裂筋の筋電図を導出した。課題間の比較は,一元配置分散分析後,多重比較検定を実施した。〔結果〕安静座位と腹部引き込み運動の課題において,多裂筋の筋活動は後傾位に対し前傾位で有意に増加したが,脊柱起立筋の筋活動に有意な差はなかった。これは骨盤前傾作用として多裂筋の筋活動が増加したと考える。〔結語〕前傾位は脊柱起立筋の筋活動を有意に増大することなく,選択的に多裂筋の筋活動を高めることができる姿勢と考える。
著者
丸山 祥 松本 仁美 岡和田 愛実 新藤 恵一郎 赤星 和人 金子 文成
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.1437-1442, 2020-12-15

Abstract:脳卒中後の重度上肢麻痺に対する視覚誘導性自己錯覚(KINVIS)療法と従来型運動療法による複合療法に,Aid for Decision-Making in Occupation Choice for Hand(ADOC-H)を加えたアプローチによって日常生活での手の使用に変化がみられたので報告する.患者は50代男性で,左脳梗塞発症後3.5年経過していた.介入(10日間)は,①視覚誘導性自己錯覚療法,②従来型運動療法,③ADOC-Hを用いたアプローチを毎日行った(③のみ7日間).結果,上肢運動機能の改善を認め,日常生活での麻痺手の使用が増加した.本結果は,視覚誘導性自己錯覚療法と従来型運動療法によって運動機能改善が得られ,さらにADOC-Hを用いたアプローチによって日常生活での麻痺手の使用が促進することを示唆している.
著者
新藤 恵一郎 近藤 健男 杉山 謙 沖井 明 出江 一 小川 充洋
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, 2005-01-18

【目的】嚥下音を利用した睡眠中の嚥下回数測定を試みたので報告する.【対象】健常男性5名(平均年齢34.6歳).【方法】嚥下音の記録には,小型ICレコーダー(オリンパス社製,Voice Trek DM-30)と喉頭マイクロフォン(村田製作所社製,PKM 11-4 A11-D)を利用した.輪状軟骨直上に貼り,就寝前から起床時まで,3夜測定した.【結果】嚥下音は,周波数1,000〜1,500Hzおよび2,000〜3,000Hz成分のパワーに特徴を認め,これを利用して記録データから抽出した.1時間あたり5〜9回の
著者
新藤 恵一郎 辻 哲也 正門 由久 長谷 公隆 里宇 明元 木村 彰男 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.619-624, 2004-09-18
被引用文献数
2

書痙患者に対する低頻度反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性を,ペン型簡易筆圧計を用いて検討した.書痙患者5例および健常群5名に対して,rTMSを一次運動野直上に安静時運動閾値の95%の刺激強度で1,500回施行した.書痙患者では,字体および書字評価のすべての指標(書字時間,最大筆圧,平均筆圧,変動値)で改善がみられたが,特に書痙患者に特徴的な拙劣さの指標である変動値の改善が著しかった.一方,健常群への影響は認めず,変動値において「健常群・書痙群」「rTMS前後」カテゴリー間の三元配置分散分析に有意な交互作用(p<0.01)を認めた.本研究により,rTMSによる書痙患者への効果が示され,また,簡易筆圧計による4つの書字評価の指標を組み合わせることにより,より鋭敏にrTMSによる治療効果をとらえることができる可能性が示唆された.