著者
小林 大吉 加藤 孝明 河原 大
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.327-330, 2016-07-01 (Released:2016-07-29)
参考文献数
8

VR(仮想現実)を用いて,地震火災時の市街地延焼からの避難行動を把握する予備実験を行った.本研究の成果は以下の2 点である.第一に,リアリティのある地震火災避難VR を作成し,市街地火災の状況の表現手法を開発したことである.第二に,避難行動特性把握のための実験計画の立案及び予備実験を実施したことである.なお,予備実験の主な結果は,以下の2 点である.第一に,火災1 個の場合,火災までの距離が300m で,半数の人間が避難する.第二に,火災までの実際の距離よりも,近くで発生していると感じる傾向にある.
著者
河原 大輔
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.12-13, 2015-12-15

本稿では,構文解析,特に日本語係り受け解析の現状と課題について解説する.
著者
河原 大輔 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.1, pp.67-73, 2006-01-13
被引用文献数
28 25

本稿では、高性能計算環境を利用して、Webから大規模テキストコーパスを抽出し、格フレームを構築する方法について述べる。格フレームは人間のもっている常識的な知識のうちもっとも基本的なものであり、これを自動構築するには大規模かつ偏りのないテキストが必要となる。そこで、Webから日本語文を抽出することによって大規模コーパスを作成し、それを用いて格フレームを構築するということを行う。約4億Webぺ-ジから約5億文からなるテキストコーパスを作成し、さらにこのコーパスから約9万用言からなる格フレームを構築した。これらのプロセスは、巨大なデータを扱うため1つの計算機で行えば数年を要し現実的ではないことから、約350CPUからなる高性能計算環境を利用することによって実現した。This paper describes a method of constructing a wide-coverage case frames from the Web. To obtain such knowledge, an enormous amount of balanced corpus is required. We consider the Web as a balanced corpus, and first build a huge text corpus from the Web. We then construct case frames from the corpus. It is infeasible to do these processes by one CPU, and so we employ a high-performance computing environment. The acquired corpus and case frames are extremely larger than previously built corpora and case frames. The resultant case frames contain most examples of usual use, and are ready to be applied to lots of NLP applications.
著者
粟村誉 荒牧英治 河原大輔 柴田知秀 黒橋禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-8, 2014-06-26

近年,膨大な量の文書が Web 上に溢れるようになるにつれ,それらから有用な情報を抽出する技術が重要になってきた.特に,Twitter などのソーシャルネットワークサービス (SNS) は地域固有の情報を含むことが多いため,文書内の地名表現がどこの地名,地域を指しているかを同定することが必要となる.これまで,このような地名曖昧性解消の問題は,語義曖昧性解消の手法を利用して,語彙情報に基づいて解かれることが多く,地名特有の手がかりが使われていない.本研究では,(1) 空間的近接性と (2) 時間的一貫性の 2 つの手がかりを用いて,地名曖昧性解消の精度向上を目指す.空間的近接性は,投稿内の地名同士は距離が近いことが多いという傾向,時間的一貫性は,一連の投稿に現れる地名はそれぞれ関連性があるという傾向をとらえるために導入する.位置情報付きツイートを用いた実験によって,2つの手がかりの有効性を確認した.
著者
河原 大輔
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究は、アメリカ映画におけるポスト古典映画の諸相を明らかにするべく、近年積極的に行われてきたポスト古典論争の再検討を、とりわけインディペンデント映画研究、ニューメディア論との比較検討から重点的に行った。インディペンデント映画研究においては、とりわけ、ポスト古典初期ともいえる60年代後半からそのキャリアをスタートさせたデイヴィッド・リンチを主たる研究対象とし、彼の作品の製作・配給・上映形態がいかなる変化を遂げてきたのかを検証した。そこで明らかになったのは、深夜上映からブロックバスター、テレビドラマ、ウェブサイトへと、変則的ながらもゆるやか移行を見せるリンチの製作態度が、ポスト古典論を展開する理論家が提示してきた現代アメリカ映画の諸特徴と連動するのみならず、90年代以降のニューメディア論とも共振しているということである。また、テレビドラマのパイロット版を映画として公開したり、ウェブサイトでの公開用に撮影したデジタル映像を映画館でフィルム上映したりする近年のリンチの変則的な製作態度を、オールド・メディアとしての映画からインターネットをはじめとするニューメディアへの移行という直線的なメディア史の記述方法に疑問を投げかける重要な事例として検討した。これらの結果判明したことは、現代はむしろ、ヘンリー・ジェンキンスが説くように、新旧のメディア双方が乗り入れ、奇妙な同居を見せる時代として理解されるべきであり、このように理解したとき、リンチの映画および60年代以降のポスト古典映画は旧来の古典映画とニューメディアを段階的に繋ぐ領域として、より広義にはポストモダンへの移行を記述するメディアとして、意義深い視点を提供するであろうということである。研究成果は日本映画学会および日本アメリカ学会において順次発表される予定である。