著者
浅野 浩一郎 山口 佳寿博 河合 章 森 正明 高杉 知明 梅田 啓 川城 丈夫 横山 哲朗
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.2098-2104, 1992-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

急性低酸素症における臓器レベルの代償機構を検討するため, 麻酔犬に室内気または13%酸素を吸入させ各種血行動態指標および動脈血, 混合静脈血, 頸, 冠, 肝, 腎静脈血の血液ガス諸量を測定した. これらの測定諸量を用いて室内気ならびに低濃度酸素吸入下における生体全体ならびに主要臓器の酸素利用・輸送に関する諸指標を解析した. 低濃度酸素吸入時には生体全体の酸素供給量が減少したが, 酸素摂取率の増加により酸素消費量は有意な変化を示さなかった. 臓器レベルでは低酸素吸入時に酸素摂取率が肝・門脈系臓器で室内気吸入時の1.5倍に, 腎臓で2倍に増加したが, 心臓, 脳では有意な変化を認めなかった. 一方低酸素吸入時の臓器血流量は肝・門脈系で34%減少したのに対し心臓, 脳では各々11%, 22%増加した. 腎血流量には有意な変化を認めなかった. 以上の結果より急性低酸素症時には肝・門脈系, 腎臓の腹部各臓器はその酸素摂取率を増加させることによって, 脳, 心臓は血流量の増加によって臓器レベルの好気性代謝を維持することが示唆された.
著者
河合 章
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.7-11, 1986-02-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
17
被引用文献数
15 13

ミナミキイロアザミウマを主要な果菜類10種(キュウリ,メロン,カボチャ,ニガウリ,ナス,ピーマン,トマト,インゲン,オクラ,イチゴ)およびキクについて,それぞれの葉片で飼育し,作物による増殖の違いを検討した。1) 羽化までの生存率はキュウリ,インゲン,ナス,ニガウリで高く,オクラ,キクでは低かった。トマト,イチゴでは前蛹まで発育した個体はみられなかった。羽化までの期間はキク,オクラで長かった。2) 成虫寿命はキュウリ,カボチャ,ナス,インゲンで長く,キク,トマト,イチゴで短かった。産卵数はキュウリで最も多く,メロン,ナス,カボチャの順であった。3) 1世代平均期間は作物間で大差なかったが,1世代当り純繁殖率は作物により大きく異なった。日当り内的自然増加率はキュウリで最大,ナス,メロン,カボチャの順であった。
著者
河合 章男
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-24, 2004

本稿は,明治期の子ども向け投稿雑誌『穎才新誌』誌上に,明治20年に登場した俳句欄について考察する.まず,『穎才新誌』の概要をとらえ,19世紀末に子ども向けの投稿雑誌が刊行された意味を把握する.次に,明治20年におけるこの雑誌の俳句欄の参加者が,北海道,沖縄を除く全国に広がっていたことを確認し,その広がりの特徴を分析しつつ,この雑誌への参加者が個人という資格で参加していることから,そこに近代的な文化活動の萌芽があることを考察する.最後に,明治20年におけるその俳句欄の参加者から3人の俳人を推定し,それぞれが果たした文化的役割を調査することによって,『穎才新誌』の果たした役割を考察する.また雑誌というメディアが当時の人々に,地縁を超え,個人として文化に参加する場を提供していたことを論じる.
著者
来田 秀雄 河合 章
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.31-38, 1985-03-15
被引用文献数
2

大阪湾南港岸壁に接した約7万m^2の水域に厚さ約50cmの覆砂が行れたので,その後の砂質の季節的変動について調査を実施した。その結果,海底から約10cm以深の砂質は,3年間経過後も清浄に保たれていること,夏季表層部の底砂は他の近隣水域と同様に著しく悪化するが,秋季から冬季にかけてきわめて清浄な砂質に変化すること等が明らかになった。これは,秋季以後本水域では波浪が卓越し,夏季に堆積していた有機物などが,底層水の流動によって底砂から洗い出されるためと考えられる。