- 著者
-
藤田 正雄
波夛野 豪
- 出版者
- 日本有機農業学会
- 雑誌
- 有機農業研究 (ISSN:18845665)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.2, pp.53-63, 2017-12-25 (Released:2019-05-21)
- 参考文献数
- 16
有機農業への新規および転換参入者を対象とするアンケート調査を2013年9月から12月に実施した.新規および転換参入ともに,参入のきっかけは「安全・安心な農産物を作りたい」が最も多く,販路を自分で開拓し,農業粗収益,実施面積も,参入時に比べ増加していた.しかし,栽培技術の未熟さが,新規,転換参入ともに経営安定の課題であった.また,有機農業の実施面積率では,新規参入者は開始時より100%実施しているという回答が多く,転換参入者は部分実施が多かった.販売先では,参入時において新規が消費者への直接販売,転換は農協・生協が多かったが,現在ではともに流通業者の割合が増加していた.有機農業者を増やすには,栽培技術の確立と地域の条件に応じた普及体制の整備が求められる.