著者
増田 明子 松井 剛 津村 将章
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.25-32, 2020 (Released:2020-08-04)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本論文では,鹿児島県志布志市が公開したネット動画の炎上事例をもとに,消費者がストーリーについて表明する多様な解釈,すなわちナラティブが,どのようにうねりを持って集合現象になるのかを,消費文化理論の観点から検討した。3種類の定性データを分析した結果から,理論的示唆として,多様なナラティブの発生によって論点が細分化,同質化,差別化して論点が収束・発散するプロセスは,社会が抱える矛盾を解消するロジックを見出す神話的プロセスであることが明らかになった。本事例から導かれた3つの神話的プロセスとは「反セクシズム神話」,「反反セクシズム神話」,「メタ的神話」である。
著者
岩崎 達也 大方 優子 津村 将章
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.12-24, 2018 (Released:2021-09-01)

本研究は、アニメ聖地巡礼に見られる持続性に焦点をあて、巡礼者のその地へのリピート訪問行動という視点から消費者行動概念のフレームを用い分析を行った。熊本県人吉市におけるアニメ『夏目友人帳』の聖地巡礼者を対象とした調査から、聖地巡礼旅行者の行動メカニズムとして、彼らの行動はアニメ作品への興味、愛着により生起し、その行動の過程で関心の対象がアニメ作品から聖地が存在する地域そのものへと波及していき、その結果として再訪行動が引き起こされることが示された。このような旅行者一人一人のリピート訪問行動が、アニメ聖地巡礼による地域誘客の持続性につながっていると結論付けることができた。
著者
津村 将章
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.54-76, 2018 (Released:2020-01-24)
参考文献数
164

本論はマーケティング・コミュニケーションにおいて,どのような視点でクリエイティブを行うことが有効であるのかについて論じている。特に本論では物語広告を中心とする。物語は強い説得効果を持つが,マーケティング・コミュニケーションにおいて,どのようにして物語広告のクリエイティブを考えるのか,マネジメントするのかという議論はあまり行われてこなかった。本論では,物語論や創作論,心理学,マーケティングの視点を踏まえて,クリエイティブに関する考察を行った。その結果,物語広告のクリエイティブにおいて有用であると勘考される要素は,登場人物,意図性,因果性,物語構成である。これらの要素が受け手に理解できるように描かれているかが,広告効果に影響するものであると考えられる。