著者
岡本 英生 森 丈弓 阿部 恒之 斉藤 豊治 山本 雅昭 松原 英世 平山 真理 小松 美紀 松木 太郎
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.84-93, 2014-10-18 (Released:2017-03-31)

大規模災害後の被災地では,ドアや壁が壊れて外部から侵入しやすくなった建物や,人々が避難して無人になった家屋や店舗が多くなることなどから,便乗犯罪が発生しやすい.また,災害によるダメージからの回復が遅れればそれだけ犯罪を誘発する要因が解消されず,犯罪は発生し続けることになる.逆に言えぼ,災害被害からの復旧・復興が速やかに進めば,犯罪発生は抑制されることになる.災害の被害が大きいほど,また災害被害からの回復が遅いほど犯罪が発生しやすいということは,阪神淡路大震災(1995年1月発生)のあとの被災地住民を対象とした調査では示されている.そこで,本研究では,地理的条件などが異なる東日本大震災(2011年3月発生)でも同様なことが言えるかどうかを調べた.東日本大震災のあとの被災地(宮城県及び福島県)の住民(n=1030)を対象にインターネット調査を実施し,ロジスティック回帰分析により検討したところ,震災被害が大きいと,また震災被害からの回復が遅いほど,「自転車・オートバイ盗」や「住宅への空き巣」が発生しやすいことなど,阪神淡路大震災後の調査と同様な傾向が確認できた.
著者
高山 佳奈子 山本 雅昭 神例 康博 松原 英世 品田 智史 張 小寧 松宮 孝明 斉藤 豊治 平山 幹子 佐川 友佳子 嘉門 優 永井 善之 大下 英希 中島 洋樹 井上 宜裕 前嶋 匠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本・中国・台湾・韓国などの東アジア諸国では、従来、それぞれソビエト連邦法、ドイツ法、日本法などの影響下に独自の刑事制度を発展させてきた。経済刑法もその一部であり、個別に発生する問題に対処するための立法が多かった。しかし、経済活動の国際化に伴い、各国に共通する問題が見出されるとともに、その対策においても、相互の方法を参照する意義が高まっていることが、本研究によって明らかになった。その意義は、個別具体的な立法のみでなく、刑法総論や制裁制度論全般に及んでおり、今後研究を継続する必要性もまた示された。
著者
岡本 英生 森 丈弓 阿部 恒之 斉藤 豊治 山本 雅昭 松原 英世 平山 真理 小松 美紀 松木 太郎
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.84-93, 2014

大規模災害後の被災地では,ドアや壁が壊れて外部から侵入しやすくなった建物や,人々が避難して無人になった家屋や店舗が多くなることなどから,便乗犯罪が発生しやすい.また,災害によるダメージからの回復が遅れればそれだけ犯罪を誘発する要因が解消されず,犯罪は発生し続けることになる.逆に言えぼ,災害被害からの復旧・復興が速やかに進めば,犯罪発生は抑制されることになる.災害の被害が大きいほど,また災害被害からの回復が遅いほど犯罪が発生しやすいということは,阪神淡路大震災(1995年1月発生)のあとの被災地住民を対象とした調査では示されている.そこで,本研究では,地理的条件などが異なる東日本大震災(2011年3月発生)でも同様なことが言えるかどうかを調べた.東日本大震災のあとの被災地(宮城県及び福島県)の住民(n=1030)を対象にインターネット調査を実施し,ロジスティック回帰分析により検討したところ,震災被害が大きいと,また震災被害からの回復が遅いほど,「自転車・オートバイ盗」や「住宅への空き巣」が発生しやすいことなど,阪神淡路大震災後の調査と同様な傾向が確認できた.
著者
神山 敏雄 佐久間 修 恒光 徹 垣口 克彦 浅田 和茂 斉藤 豊治
出版者
岡山大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、経済犯罪の総論的課題については、従来の日本の経済犯罪研究の歩みと研究方法を分析・検討することによって経済犯罪研究の全体像を明らかにし、そして日本における経済犯罪現象の諸相を概観することによって今後の研究課題を模索した。各論においては、以下の諸分野の経済犯罪を取り上げて研究した。先物取引の分野においては、当該取引をめぐる犯罪の現状を分析した上で、判例、捜査実務、学説の役割を検討し、今後の当該犯罪についての経済刑法の課題を指摘した。企業秘密の分野においては、企業秘密の概念やその侵害に対して刑法とその他の法律はそれぞれどのような役割を果たすべきかを検討した上で、刑法の限界を明らかにした。証券取引の分野においては、特に、インサイダー取引の現状分析とその犯罪化立法の問題点を取り上げて検討した。出資法の分野においては、従来の犯罪形態を分析した上で、これらの犯罪対策手段として行政処分と刑罰はどのような役割を果たすべきかを検討した。連鎖取引の分野においては、無限連鎖講と連鎖販売取引をめぐる犯罪を取り上げ、その実態と対策を検討した。クレジット・カード濫用の分野においては、その実態、当罰性、刑法の役割について検討した。コンピュータ濫用の分野においては、コンピュータ犯罪の動向とコンピュータ・ウイルスの問題について詳細な資料を駆使して検討を加えた。外国における経済犯罪の実態と理論については掘り下げて研究する予定であったが、当初の計画通りには進展しなかった。これまで外国の経済犯罪に関する文献について5篇を取り上げ、紹介・論評することができたが、引き続き今後の研究に委ねることにする。
著者
澤登 俊雄 村井 敏邦 前野 育三 福田 雅章 荒木 伸怡 斉藤 豊治 新倉 修
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、主として、アメリカ、イギリス カナダ、ドイツ、フランス、北欧各国の少年司法制度、児童福祉制度における「こどもの権利保障」の内容につき、体系的に整理された詳細な「共同調査項目表」を作成し、それに基づいて調査・分析を行った。この「共同調査項目表」は、少年手続を審判前、審判段階、処分決定と処遇の3段階に分け、それぞれ少年の権利保障、適正手続の観点から有意義と思われる全25項目(さらに細項目は約225項目に分かれる)について調査する質問票であり、各質問番号を各国横断的に比較することで、明確に各国権利保障の状況の比較分析ができるよう工夫されている。これについて、最新の法令、判例、運用等を紹介したことはもちろん、これらでは十分に解明しえない諸点については、外国人研究者への直接質問等により正確を期した。これらの比較の上に立って、各段階、各国毎に、適正手続、国親思想、保護主義、刑罰主義、職権主義、当事者主義等の基本概念を縦軸に、「少年司法運営に関する国連最低基準規則」、「子ともの権利条約」等、子どもの権利保障を重視した諸々の国際準則が各国においてどのような影響を与えているかを横軸に、総括的なまとめを行った。その際、これらの知見が、日本法、とりわけいま問題となっている少年手続の基本構造をめぐる議論にどのような示唆を与えるものかを常に念頭に置いて分析したことはいうまでもない。詳細は今年中に発行を予定されている書物(「少年司法と適正手続」)に譲ることとするが、国際準則の影響下、全般的には子どもの権利保障が進みつつあるものの、各国固有の歴史的、政治的、社会的背景を反映し、各国における問題関心、権利保障の具体的な現れ方には、看過できない大きな相違があることが感じられた。