著者
高浜 龍彦 古瀬 彰 水野 明 浅野 献一 吉竹 毅 柳生 邦良 和気 一夫 川内 基裕 宮脇 雷士夫 横井 泰 岡部 英男 古由 直樹
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.503-506, 1985

最近Osserman分類IIA型2例, IIB型1例の3例の胸腺腫を伴わない重症筋無力症に対し, 胸腺全摘, 郭清術術前に, 新鮮凍結血漿2,400ml(2例), 4,800ml(1例)を用いた血漿交換療法を施行することにより, 全例手術当日に容易に呼吸器離脱を行うことが出来た。これは, 血漿交換非施行例27例(I型1例, IIA型8例, IIB型11例, III型4例, IV型3例)の平均人工呼吸日数2.7±3.1日(最長12日)と比較しても, IIA型+IIB型19例の平均人工呼吸日数21±2.4日(最長11日)と比較しても, 術後の人工呼吸所要時間を著しく短縮させ得たと考えられる。4800mlの血漿交換を行ったIIB型の例では, 血中抗アセチルコリン受容体抗体は, 血漿交換施行前の30nmol/lから8.0nmol/lへと著明な減少を認めた。1例に術後非A非B肝炎罹患を認めたことから, 軽症例は本療法の適応外とし, 術前に測定した抗アセチルコリン受容体抗体の値や, 臨床的重症度に応じて血漿交換量を加減するのが適切であると考えられる。