著者
坂東 伸幸 後藤 孝 赤羽 俊章 大貫 なつみ 山口 朋美 佐和 弘基 西原 広史 田中 伸哉
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.142-147, 2013 (Released:2013-08-30)
参考文献数
16

穿刺吸引細胞診は甲状腺結節の質的診断のために最も有用な検査である。当院ではこれまでプレパラートに穿刺吸引細胞を吹き付ける従来法で細胞診を行ってきたが,診断率は高くなかった。そこで液状処理細胞診(Liquid-based cytology;LBC)を採用した。2007年4月から2011年5月までに従来法で穿刺吸引細胞診を施行し,パパニコロウのクラス分類で判定した426病変(従来法群)と2011年6月から2012年8月までにLBCを施行し,当院で甲状腺癌取り扱い規約第6版に準じて判定した297病変(LBC群)との比較を試みた。検体不適正についてLBC群では27病変(9.1%)であり,従来法の68病変(16%)と差を認め,同規約の付帯事項である10%以下を達成した。手術施行し,病理組織と対比できた従来法群125例においてclass Ⅲを除くと感度69.6%,特異度95.2%,正診率80.5%であったが,LBC群53例では鑑別困難例を除くと感度,特異度,正診率とも100%を示した。穿刺吸引細胞におけるLBCは従来法と遜色ないと考えられる。
著者
田中 伸哉
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.136-145, 2019-04-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
14

1990年代以降,多くの骨粗鬆症治療薬が開発されてきた.しかし,現存の骨粗鬆症治療薬では効果不十分な症例にしばしば遭遇する.最新の骨粗鬆症治療薬は高い骨同化作用と骨折抑制効果が証明されており,そのような症例に対しても効果が期待できる.骨粗鬆症治療は長期的な戦略が必要であるが,これらの骨粗鬆症治療薬を適切に使用することにより戦略は飛躍的に進歩する.最新の骨粗鬆症治療薬の概略と治療戦略上の位置付けについて解説する.
著者
杉本 芳範 田中 伸哉 古川 彰久 渡辺 和夫 吉田 敏臣 田口 久治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.205-210, 1987

ジャケット冷却時の醪温度応答特性の解析結果をもとに, 温度制御方式としてカスケード制御を採用し, 総米1トン仕込みの醪で発酵ガス発生速度をオンライン計測しつつ計算機を利用した適応的自動制御を行ったところプロセスは順調に制御され, 生成酒の品質も目的に近いものが得られた。
著者
石川 耕平 佐藤 憲市 伊東 民雄 尾崎 義丸 浅野目 卓 山口 陽平 石田 裕樹 石塚 智明 岡村 尚泰 渕崎 智紀 谷川 聖 田中 伸哉 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.688-693, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

Tumefactive multiple sclerosis (MS) は広範な浮腫や巨大な病変を形成することから, 脳腫瘍と鑑別が困難な例が多い. 本症例は66歳男性で右上下肢の単純部分痙攣発作で発症した. 左前頭葉の病変は画像上悪性グリオーマが疑われ摘出術が行われたが, 病理検査で脱髄性の所見や広範な出血および壊死像, Creutzfeldt cellを認めたことからtumefactive MSの診断に至った. 診断には病理検査が決定的となるが, 画像上病変部の血流上昇を認めないことが悪性グリオーマとの鑑別点と考えられた.
著者
田中 伸哉 西原 広史
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

これまでの研究で、アダプター分子Crkの癌化における役割を解析し、癌腫、肉腫、脳腫瘍など様々なヒト癌細胞株を用いてsiRNA法にてCrk knockdown細胞株を樹立した。何れの種類のCrk knockdown細胞においても、接着能、浸潤能、足場非依存性増殖能、in vivo造腫瘍能など、癌細胞の悪性化を示す指標に、著明な減少がみられ、Crkはヒト卵巣癌、軟部肉腫、脳腫瘍において、悪性化に必須の分子であることが明かとなった(Oncogene, 25,2006 : Mol.Cancer Res., 7,2006)。また、Crkの癌化におけるシグナル伝達メカニズムを詳細に解析するために、NMRを用いた構造解析を行い(Nature Struct.Mol.Biol., 2007)、昨年度は、Crkのシグナル伝達を抑制する薬剤開発する前段階として、単一の遺伝子変化に対応する薬剤スクリーニングの系を確立した(BBRC,373,2008)。この系を用いてCrkを発現させたアストロサイトに対して、dual luciferase assayを行い96wellプレートで薬剤をスクリーニングして、Crkシグナル阻害薬を同定した。以後の研究では、真にCRKシグナルを抑制する薬剤か否かを個別に判定していき臨床応用可能か否かをin vivoの系で解析していきたい。また、今年度の研究において癌細胞の浸潤能にはシグナル伝達アダプター分子CRKが必須であることが判明しているが、CRKによるGab1のY307のチロシンリン酸化制御が重要であることが明らかとなっていたが、本年度の研究ではY307F変異体により細胞接着斑の形成異常が誘導されることが明らかとなった(Watanabe, et al.Mol.Cancer Res., 2009)。さらにCrkはDock180を介して細胞の運動を制御するが、その際にDock180結合蛋白であるElmoのりん酸化が必要であることが判明した。